『僕らの季節』
🌱「ぅぅ…寒む…」
冷たい風が頬を刺すように吹き、木々の枯葉が舞う冬。
イルミネーションが輝く街中にある公園で純喜は立っていた。
🌱「遅いなぁ…」
仕事終わりに待ち合わせたのは良いものの、時間を過ぎても一向に恋人の姿は見えない。
何度目かのLINEを開いてメッセージを確認するも、1時間前から変わった様子は特にない。
🌱「もぅ…何してんねん…」
吐いた息は白く、足と手の先から順に体の温度が少しずつ下がっていくのが分かる。
そうこうしているうちに、雪までちらつき始めた。
そう言えば、冬はメンバーたちと雪国でキャンプをしたっけ…。
まるで雪だるまにでもなったみたいに、もこもこの真っ白なダウンを着込んではしゃぐ瑠姫を思い出して少し吹き出す。
綺麗やったな…
そんな事を考えても瑠姫の姿は見えず、時間だけが過ぎていく。
早く会いたい…
そう思えば思うほど、たまらなく恋しくなってくるのは、 すっかり日が落ちて暗くなったからか、寒くて人肌恋しい季節だからか、 それとも自分の周りにいた待ち人たちがすっかりいなくなってしまったからか…。
瑠姫も自分と同じように思ってくれているだろうか…
そうだ。 今すぐ瑠姫に会いに行こう。
どうせここに1人でいたって何もできない。 瑠姫がそばにいないと。
👑「純喜」
そう思って一歩踏み出した瞬間、突然の聞き慣れた声が背中から聞こえた。
反射的に後ろを振り返れば、そこには大好きな人の姿があった。
🌱「やっと来た〜」
👑「ごめん。充電切れてた」
🌱「なんやねん〜お前〜めっちゃ待ってんけど!」
👑「まじごめんwうわ!ほんとだ手冷た!」
🌱「やろ?!あっためてまじで」
👑「やだ。寒いの嫌だもん」
🌱「お前まじで…もうはよ行こ。美味しい店予約してんねん」
唇を尖らせて文句を言いながらも隠し切れない嬉しい気持ちが顔に出てしまっている純喜を瑠姫は笑うけれど、 繋いだ手をぎゅっと握り直して、キラキラと輝くイルミネーションの中を、2人は笑い合いながら歩いていくのだった。
コメント
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ごにょごにょ文句言いながらも お洒落な店予約してるとか いい男すぎるよじゅんき