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🐧side
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23:40
ぴこん、とスマホに通知が来た音がした。
チラッとスマホに目をやると、「うるみや」の文字が見えた。LINEが1件届いている。
作業中だったがスマホを手に取り、LINEを開く。
うるみやから来ていたメッセージは、「なぁ」の一言のみ。
どした?と返信すると直ぐに既読が付く。
少しして、「なんもない」と返信が来た。
以前にもこんなことがあった。夜中にふとLINEをしてきたものの、特に話したい内容はない。寂しい、誰かと話したい、そう思った時俺にLINEしてしまったという。
今回もこれかな、と考えつつ「ディスコ繋ぐ?」と返信する。
すぐに返信が来たが、「うーん」という曖昧な返事。少し待ってみると「そっち行ってええ?」と来た。週に何回か顔を合わせているが、なんだか嬉しい。
「ちゃんと掃除してないから汚ねえけどそれでもいいなら」と、嬉しさを悟られないように返す。
「へーい」この返信を見た1分後には、家のチャイムが鳴った。
はーい、と適当に返しながらドアを開けると、パジャマ姿のうるみやが。とかいう自分もパジャマだけど。
「邪魔すんでー」「邪魔すんなら帰ってー」「はいよー」そんなお決まりの会話をして、わざと家を去ろうとするうるみやの手首を掴む。
家が隣なのに顔がほんのり赤い気がする。たしかに風はあるが、マンションなのでそこまで気にならない程度だ。そんな寒い?と聞くと、あー、うーん、と返事は歯切れが悪い。
まあいっか。うるみやを部屋に招く。
「ゆーて汚なないやん」そう言われたが、掃除機は1週間くらい掛けていないし机には少しゴミが残っている。
「お前ん家の方が汚い?」と聞いたら「うるみやん家の方が綺麗ですー」と言われた。3日前くらいにお邪魔したが俺ん家とあまり変わらない気がする。
ここで言い返すと拗ねそうなので適当に返事をしながらお茶を出す。「あざます」と礼を言われた。別にそんな事言わなくてもいいのに、と思ったがこういう事をしっかり言う所がうるみやらしいなぁとも思った。
「作業もう少しでキリよくなるからちょい待ってて」とパソコンに向かうと「俺はめんどくさい彼女か」とツッコまれる。お前の中のめんどくさい彼女ってイメージそんな感じなんだ。
「しょーがねーから手伝ってやんよ」そう言ってパソコンの画面を覗き込まれる。
1人で難なくこなせる簡単な作業だったけど、すぐ傍にうるみやがいるのが嬉しくて何も言わなかった。
23:55
ようやく作業が終わった。
なにする?と聞いてみると「なんかしたいけどなんもしたない」とかいう返事。
なんじゃそりゃと言いつつ、2人でソファに座る。
なにか面白そうなのはやってないか、番組表を見てみるがこの時間はニュースだらけだ。
特に面白くもないニュースを2人で見ていたが、家に来たのに何もしなくていいのか?と思いうるみやの方に目をやる。
すぐに視線に気付き、なに?と言われた。
本当になにかしに来た訳ではなさそうな雰囲気なので、なんもないとごまかしておく。
いつもより表情や声が柔らかい気がする。俺の家落ち着くのかな。
うるみやの顔を見ていると、少し前の事を思い出した。
公式ペアという関係だったからか、グループ結成当初から関わりが強かった。
うるみやの歌や活動に対する覚悟、情熱。
うまくいかないことだらけだった過去。
少し自分と似ていて、なぜか嬉しくなってしまった。
喧嘩もたくさんしたし、こいつとやっていけるのか不安になった事もある。
ただ、
自分が精神的に辛い時、何かに困っている時、すぐに手を差し伸べてくれたのは紛れもない、うるみやだ。
最近気付いたその気持ちに、似合う名前が見つからない。
愛情・尊敬・友情・信頼
この辺の感情がぐちゃぐちゃになっている感じだ。
もし仮にこの感情が恋だったとして、うるみやも同じ気持ちかなんてわからないし、「好きです」なんて言う勇気は持ち合わせていない。
それに、関係を持ってしまうと「しゃるろ」「うるみや」という存在が無くなってしまう可能性が大きく跳ね上がる。
もちろんうるみやも大切で大好きなメンバーだが、それと同等かそれ以上に活動も大事だ。
活動を辞めなければならない。そんな事になってしまうのは絶対に嫌だ。
まあ、別にこいつと一緒に居れればそれだけで嬉しい。ずっと一緒に居たいなぁ。
色々と考えていたが、ふと時計に目をやると日付が変わっている事に気付いた。
明日は会社に出社しなければならない日だ。
早いけど寝る?と声を掛けてみると「泊まってええん?」と驚いた顔をしている。
別に泊まるのは今回が初めてじゃないし、少しでも長く傍に居たくて「いいよ」と即答した。
歯を磨きにうるみやが家に戻ったので、俺も歯を磨きながらベッドやベッドサイドを軽く整える。
よし!とか思ってたらチャイムが鳴った。あいつ歯磨くの早くね?
電気を消して、ベッドに入る。
シングルベッドに男2人。
かなり窮屈だが、いつもより暖かい。
「蹴んなよ」と念を押しておく。落ちたら痛いもん。
「それはわからんなぁ」と言われて少しムカついた。
デコピンでもしてやろうかと思ったが、腕が動かしずらくて諦めた。
まあ、たまにはこんなのもいいかと思いながらおやすみと声をかける。
ありがと、と聞こえたような気がしたが、寝ているフリをした。
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