「あーん、、、ほら、///♡」
!?!?、あーん、だと。なんというドキドキの過剰摂取だ。可愛すぎる。というかそれ以前に間接キスだ。やばい。
「私の口ついたのじゃ、やだ、?///」
「ッ、、」
特に抵抗する理由はない。故に。
「、どうかな、美味しい?///」
「、最高です///」
緊張しすぎて味はよく分からなかったが、凄く、濃厚な口当たりだった。雪の唾液のせいなのだろうか。そうこう考えているうちに、
「ご馳走様、でした 」
「ぁ、うん」
「えっと、凛くん、」
意外と食べるのが早い雪は、頬に少しついたクリームを舐め取り、
「どうだった、、関節キスは?///」
「ッ、、」
「次は、直接///なんてね、♡」
やばい。こんなキャラだったか?、雪本来の性格はいたずらっぽいモノなのだろうか。
何にせよ、仲は縮まってきつつある。良い兆しだ。口元をまだ意識しつつ、そんなことを考えるのだった。
「さて、」
例のパフェを食べた後、雪がクレープを持ち帰りで注文し、カフェをあとにした俺達は、少し離れた遊園地まで来ている。と言っても、あまり大きいものではないが、観覧車だけはそこらの遊園地とは一線を画す大きさだった。
「遊園地、、、、!!」
雪はあまり来たことがないのか、とても喜んでくれているようだ。
「あの、凛くん、、///」
「?、どうしたの」
「、」
雪の指差す先には、メリーゴーランドがあった。しかも、二人乗り。
「あぁ、///、、、、乗る、?/// 」
「ん、、、ありがとう///」
あまり、というかほぼ並んでいなかったので、すんなり乗れた。しかし、ここで究極の選択が。
「凛くんは、前がいい?、後ろがいい?」
「えっと、、」
前。後ろ。前は、後ろからの喜ぶ声を聞きながら、あわよくば胸が背中に、、、。後ろはほぼバックハグしながら匂いを堪能できる。どっちに転んでも勝ちだが、性欲は前がいいと訴えている。
「凛くん!」
「え?」
「早く乗らないと始まっちゃうよ!」
「あ、ぅ、、、!!」
そして。
「後ろが良かった?」
「いや、いやいや、前が一番いい、です///」
俺は前に座っている。上下するメリーゴーランドに動かされ、雪の大きなモノが背中に当る。
「あははっ、、楽しい〜!」
「あははっっ、俺も!」
喜んでくれているようで良かった。俺はちょっとテンションがおかしくなっているが、それとは別に悦んでいる場所もある。メリーゴーランドではなく、ズリズリと当てられる雪の双岳に、だが。理性は早く終われと、欲求はもっと当たれと。そう語りかけてくる。
「楽しかったぁ〜」
「うん、うん、間違いないね」
「?」
こういうところは鈍感な子だ。全く。ご馳走様です。 そろそろ暗くなって来る頃だ。帰ろうか、と思っていると、
「えっと、凛くん、///」
「どうした、?」
若干カフェの時とのデジャブを感じつつ、返事をする。
「最後に、観覧車、乗ろうよ」
暮れつつある夕日は、二人の感情を表しているようだった。
ガコンッ、と扉を閉める。唯一未成年でも乗れる合法の密室、、、、観覧車の中だ。
「///」「///」
俺の心臓、いやおそらく雪の心臓も、ものすごい速度で気持ちを綴る。
少し上がって、下からはもう見えないところで、雪は言った。
「今日はありがと、楽しかった///」
「!、そ、そうか、なら良かった」
実は、デートは人生で初めてだったので、内心喜んでもらえるか不安だったが、そう言ってもらえるのは報われた気がして嬉しい。
「、、逐一、スマホ見てたから、気になって少し見ちゃって、、、///、デートプラン、考えてくれてたんだね///」
「、ごめんっ、ダサかったか」
そうやって自分を下げる俺に、雪は蔑むでもなく。
「そんなわけ、ないでしょ?、私のためにここまでしてくれて嬉しいよ、///」
「、」
少し潤んでいる彼女の目は、なにかしようとしてくれているようだ。 ゆっくりと向かいから俺の隣の席へと移る雪。
「プランの項目の中に、あったよね、///、観覧車で、手を繋ぐ、って」
「ぁ、」
そこまで見られてたとは。恥ずかしくて死にそうだ。
「ん、、、いいよ、手繋ご、?♡/// 」
柔らかい手に優しく握られる。暖かい。血の巡りが早くなる。もう耐えられないかもしれない。
「ッ、、、」
「それと、、これはお礼?//的な、、、目、閉じて、?」
「、わ、分かった、?」
男ながらに、ドキドキし過ぎて涙が出つつある。何をされるんだ、と考えた刹那。
「ん、、、、、///♡」
柔らかな感触が唇に。体感は凄く長く感じた数秒だった。ゆっくりと目を開けると、優しく笑う彼女がいた。
「大好きだよ///、♡」
その瞬間、観覧車はちょうど一番上に到達したのだった。
観覧車を降りたあと、直ぐに閉園時間になってしまった。俺達はササッと門をくぐり、外へ出た。
「、今日は、色々ありがとね、////」
「ああうん、こちらこそ、」
最後の観覧車でのこともあって、手をつなぐことへのハードルは下がってきつつあるが、後の出来事のせいで、よりハードなことへのハードルは大きく上がってしまった。
駅まで、ゆっくり、ゆっくりと歩いていく。気まずさからも少しはあるが、お互いに気持ちが確認できたのが後になって恥ずかしくなっている、というのが九割だ。
「ぁ、、、じゃあ、私これだから、///」
「、おう」
最後に、なにか言うことがあるはずだ。それでもまだ、俺の口からは出そうになくて。
「あの、!!」
雪の口から、言葉は放たれた。
「、、、、またね、!」
「!、、、うん」
それだけ。それだけのやり取りをして、雪は電車に乗り込んだ。後ろ姿だったので、見間違いかもしれないが、雪はかすかに口角が上がっていたような気がした。
「、帰るか、、、」
俺も、無意識に口角が上がっていたが、それは気づけないほど、無意識だった。
デートを終えた日の、翌々日。いつもより早めに家を出る。早起きな方なので、いつもよりも更に人が少ない。雪との登校時間が被らないようにする作戦だ。
これには蚊も予想外だろう。
そんなこんなで早めに学校についた俺。流石にこの時間帯だ。一番、、、、、、、
ではなかったようだ。見たことのない、少し青みがかかった銀髪の高身長女子がいた。
「ぇ、、」
思わず声がでてしまった。音のする方へ銀の宝石が振り向く。
そして。
「、、、、、、、ぁ、君、名前は、?、 、、、、、、できれば視界に入れたくない、、、、そうだ!、廊下で待っててくれないか?」
は?、なんだコイツ。
「お前、素でそれやってんのか、、、まず、人に名前を聞くときは、自分からだろ?」
「おっと失礼、ボクとしたことが、」
少し間を置いて、カットのミスった宝石系女子が言う。
「ボクは、飛倉 音々、、、今日からこのクラスに入る、転校生だよ」
また一段と騒がしくなりそうだ、と、漫画みたいなセリフを頭の中だけで言うのだった。
第四話《完》