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夏彦さん=nt

ダニー=dn

スタッフ=st





omr side



「うっざいなぁ…」


汚い言葉が口から漏れる。


nt「んっ?今なんて言った?」

dn「えなんか言った?」


─ ミスった、声入っちゃった。


今はサポメンのベースとドラムのレコ真っ最中。レコ部屋の中に繋がるマイクに自分の声が入ってしまったのだ。


「ああ、ごめん。なんでもない。」


「続けて」と言ってソファの方に目を向ける。

そこには若井に撫でられながらの膝枕で静かに息をする涼ちゃんが居た。


若井が羨ましい。

でも態度に出しちゃダメだ。

涼ちゃんは少なくとも体調が良くない。

だから張り合ったりする時じゃない。


涼ちゃんが好きなら、涼ちゃんを大切に思ってるならそんなこと分かりきってる。


でも、


なにその若井の幸せそうな顔

なにその落ち着いた涼ちゃん


─ 意味分かんない。いやだ…


作曲者だから本レコ中は指示マイクから離れられない。特にサポメンの時は加減が必要だから常時着いていないといけない。


─ 早く戻りたい。俺も涼ちゃんに触れていたい。


そう思いながらも、出来る限りソファに居る2人を視界に入れないようにして、夏彦さんとダニキの方に集中する。

いつも通り進めていった。


st「はい!森さん神田さんレコ完了です。お疲れ様でしたー」


nt「ういっす、お疲れ様でしたー」

dn「はーい、お疲れ様でした。」


次は若井。

ソファの方に振り返ると、声をかける前に若井は立っていた。

涼ちゃんはボーッとしたままソファの上で座っている。


若井がこちらに真っ直ぐ歩いてきた。


wki「涼ちゃんさ、本人は眠いだけって言ってるけど眠いにしては体温冷たいし、顔色も悪いから様子みてて欲しい。」


ちゃんと涼ちゃんのことを考えている若井を見て、さっきまでイライラしてた自分が心底馬鹿らしく思えた。


「うん、分かった。 ありがとう若井」


素直に涼ちゃんの事を伝えてくれた若井に感謝をし、嫉妬してた自分と羨ましさを押し隠した。


wki「…急なんだけどさ、」


若井が少し重々しく口を開く。

周りのスタッフはレコーディング作業の方に意識がいっているらしい。


「…? 」


wki「俺たちって好きな物よく被るよね」


─ なんだ、そっちも気付いてんじゃん


少し驚きながらも流石だなと感心する。

ここまで互いに気付けてるなら遠回しに話を進める必要も無いだろう。


「ははっw涼ちゃんのことでしょw」


その言葉で若井の口角も緩む。


wki「そ!w」


心につっかえていたものがどんどん落ちていくのを感じた。

互いに気付いてたことに「きめぇ〜!」と2人で軽く笑い、一段落して息を1つついて若井の肩を軽くどついた。


「…負けないから」


と俺は言う。

きっと俺の顔は自信満々で悠々とした表情なんだろう。

若井もそれに答えるようにニヤッと笑って


wki「こっちのセリフ」


と言った。


いつもはヘラヘラしてるくせに、こういう時はちゃんとした顔するんだよな。


wki「てか、俺の事うざいって思わなかった?」


ころりと表情を変えて不思議そうに聞く若井。


「お前だって思ってたでしょ?w」


俺が笑いながら質問に質問で返すと「まあ、ちょっとは?w」と予想通りの返答をした。


「まあ、うざいなとは思ってたけど、メンバーに嫉妬とかバンドの終わりみたいなもんだし、大切にしたいって思いは一緒じゃん?だったら別に、そうでも無いかなって」


飄々と話しながらも、若井とこんな話をしたことはあまり無かったので少し違和感を感じ、言葉が綴られていくごとに自分がいじってる自分の手元の爪に目線が落ちていった。


それでも最後には目の前の幼馴染の顔を見上げる。 若井は俺の言葉に一瞬驚いたような表情を見せ、すぐに「大人になったなw」と笑ってレコ部屋に入った。


─ 幼馴染ってこえぇー


馬鹿みたいに気が楽になった。


俺たちは敵でも恨む相手でも無い。

平等な友人。大切なメンバー。


“ただのライバル”


自然と口角が上がり、これからが楽しみになる。


「じゃあスタートして〜」


切り替えて目の前のマイクにそう言う。

レコ部屋内に居る若井が「リョーカイッ!!」とひろこで返事をしたのが面白く、高笑いを軽くしたあと涼ちゃんの居るソファに向かった。


涼ちゃんはいつの間にかソファに深く座ってぐだっとしていた。


涼ちゃんの横に座る。


「りょーちゃん」


そう呼ぶと涼ちゃんは虚ろな目で僕に気づき、自然にずりずりと寄ってきた。


fjsw「…あっち、行かなくていいの?」


少し途切れ途切れの文。


「うん、若井なら大丈夫」


fjsw「そかそか、」


涼ちゃんが僕の肩に頭を乗せ寄りかかる。

涼ちゃんの手を取って自然に指を絡ませ、恋人繋ぎで握った。

握り返される力は弱々しく、いかにも元気が無かった。


多分涼ちゃんなら大丈夫?って聞いても「大丈夫」としか返さないし、「体調悪いの?」って聞いても「そんな事ないよ」としか言わない。


だったらゆっくり休ませてあげよう。


時間が経ち、若井がレコ部屋から出てきた。

正直涼ちゃんのレコはまた後日にしようと思っていたが、僕が仕切る前に涼ちゃんがレコ部屋に入っていってしまった。


鍵盤に手を置き軽く音出しをして、やる気満々な感じ。


─ 休んだら楽になったのかな、


あまりにも行動がスムーズだったのでそう思ってそのまま涼ちゃんのレコーディングを開始した。



━━━━━━━━━━


\5話後記╱


もとぱがちゃんと確認出来ましたね!

諦めのようにも見えるし、受け入れのようにも見えるし。まあそこら返は複雑です!


緊張したり気まづくなると爪とかピックをいじいじしだすおもりの癖が出てます。


次回はりょつ目線で話が進んでいきます。

辛そうなりょつが盛り沢山!最悪だぁ!


ではまた次回!🙌🏻💕


コメントとハート、すごい励みになってます。なしでは生きていけない!!

今回もお待ちしております〜🙈💗

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コメント

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やっぱり、話が深いから分かりやすいし続きがとてもたのしみになるよー!

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