fjsw side
─ あとちょっと頑張れば終わり…
─ あとちょっと、あとちょっと…
頭重いし、足はほぼ感覚無しで手も痺れてきてる。音出しをするピアノの音よりも自分の荒い呼吸の方が大きく聞こえた。
omr「はーい涼ちゃん〜?準備いい?」
「っ、おっけーでーす」
出来るだけいつも通り返事をする。
鍵盤に力を込める。
元貴の声とイヤモニのリズムに合わせて指に意識を集中させた。
omr「…うーん、全体的に遅れてる。イヤモニに問題ありかな」
半分ほど通した時の元貴の言葉。
遅れてる。
だよね…体が重くて思うように動かない。
イヤモニのせいでもなんでもない。完全に僕のせいだ。
少し気が滅入って俯く。
「ごめん…もっかいお願いします、」
omr「…涼ちゃん、今日無理そうだったらまた後日に出来るからね。予備日とか、余裕まだあるし」
wki「無理そうだったら言って。」
スピーカーから珍しく若井の声が聞こえた。
あっち側の窓に目を向けると、元貴と若井がマイクに身を乗り出しながらこちらを見ていた。
─ バレちゃってる…怒ってるかなぁ、
イヤモニのせいでもなんでもないというのを元貴も感じ取ったのだろう。
僕は彼らに苦笑した。
申し訳なさと反省が募る。
これ以上心配はかけられないし、本当に辛くなったらちゃんとギブアップさせてもらおう。
そう決め返事をする。
「うん、分かった」
st「無理せず!じゃあ2回目行きますね〜」
スタッフさんの言葉ににこっと笑って答える。
「お願いしま〜す」
自分が思ってるより早く、的確に一定のリズムで。感じて聞いて、考えて動く。
「はぁっ…はぁ…」
今自分がどこを弾いているのかすら分からない。
突然、目の前の鍵盤がぐにゃりと歪む。
同時に膝の力が急にカクンと抜け、足がほつれた。
ダーンと鍵盤の汚い音が響く。
─ あ、無理そう
諦めて身体の力を抜いた瞬間に、扉を勢いよく開けて2人が駆け寄ってくるのが見えた。
視界は暗転。
でも、肌が冷たい床を感じることは無かった。
━━━━━━━━━━
\6話後記╱
とうとうりょつが気絶してしまわれました…
最後に冷たい床を感じる事がなかったと言ってることは、部屋に入って駆け寄った2人がしっかり受け止めてくれたということですね、
次回最終回です!
もしかしたら間が空くかも…
ハートやコメントのほどよろしくお願いします
いつもめちゃくちゃ励みになって進みが早くなってます。本当にありがとうございます!
今回もぜひぜひ…あればあるほど頑張れます🙈💗
ではまた次回!最終回にて🙌🏻💕
コメント
11件
あがぁ
静かながら読んでいました! 最終回楽しみにしてます😖
今回も最高でした! とうとう最終回! 続き楽しみに待っています!