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「まずは聞きこみ調査からだ!!」
そう言う俺に国見は眉を顰める。
「聞き込み調査?」
部室で先輩捜索宣言をした日の翌日、俺と国見は今呑気にランチタイムを楽しんでいる。
屋上はよく晴れて、まるで人探しの話に似合わない。
「2年の先輩に聞くんだよ。失踪数日前とかの様子」
「それで聞き込み調査、ね」
そして国見は、んー、と少し考えては
「俺の知ってる2年の先輩に片っ端から聞いてみよ」
「まじありがてぇ…俺も行くわ」
そして昼食を平らげた俺たちは2年のいる教室へと急いだ。
まずは先輩の同クラから聞き出すことにした。
「え?京介のこと聞きたいの?」
「そっス」
「んー、そうだなあ。なんか結構ぼーっとしてたことが多い気がする」
「なんでか分かりますかね…?」
「それが分かんなくてさ、ごめんね」
「いえ、ご協力ありがとうございました」
他にも何人かの先輩に聞いてみたが、みんな少しの違和感を話してくれるだけで大した収穫は得られなかった。
「はー、上手くいかねー」
「まぁ最初はこんなもんでしょ」
「だよなぁー」
…
八木先輩…
“怪我大丈夫か?手当してやっからこっちおいで”
“金田一!スパイクうますぎだろー!”
“お前らといると楽しいよ”
八木先輩………!
「おい!」
「うわっ、」
「またぼーっとしてた…ここ屋上なんだから危ないことしないで」
また俺は八木先輩を思い出してた。そばにあった優しさが、温かさがこんなに深く俺の心に残っているなんて思ってもなかった。
「なあ、国見。俺先輩のご両親にも話聞こうと思う」
「は…!?いや、正気か?!ご両親が今いちばん辛いに決まってるだろ?! 」
「そんななか情報よこせって…さすがにそれは…」
「俺は本気だ。国見。八木先輩のこと諦められねえから」
「だから、迷わない」
どれだけ罵倒されても
どれだけ石を投げられても
俺は成し遂げてやる
諦めない先輩の姿を見てそう思ったんだ。
「…はぁー……」
「国見…」
「何変な顔してんの?一緒に会いに行くんでしょ」
「〜〜〜!!くにみ〜〜!!」
「だからそれやめてってば!」