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ウォルピスカーターside
「今日の撮影も頑張ったなぁ〜」
ぽつりと独り言を呟く。
今日の撮影を終えたことだし、煙草吸って帰ろうかな〜、なんて、帰り支度をしながら考えていたら、「あの」とニャンヤオに声をかけられた。
「どした?ニャンヤオ」
「ウォルピス、この後空いてたりしません?」
「え?この後?まぁ、空いてるっちゃ空いてるけど…」
「じゃあご飯行きましょうよ。俺、奢りますよ」
ニコニコとしながら、ニャンヤオはそう言う。
珍しいな、ニャンヤオがご飯誘うなんて。
「おっ、いいね〜。どこ行く?」
「そうですね〜…」
「え?何?二人とも、ご飯食べに行くの?」
話を聞いていたのか、りするくんが少しだけ不機嫌そうに会話に混じる。
思わずりするくんの方を見ると、近くにいたのえるも話を聞いていたようで、二人とも何処と無く不機嫌に見える。
え?何何何…?なんで不機嫌なの?もしかして、ご飯行ったらダメなやつか?
「う、うん、ニャンヤオが行こーって」
「…なにそれ。二人だけで行くとか、許せないんだけど…」
「ならそれ、俺も行きたいんだけど?」
俺の返答に益々不機嫌そうな二人。
何処に食べに行くか考えていたニャンヤオの方を見ると、不機嫌そうに二人を見ている。
えぇ…?なんだコイツら。
なんでそんな不機嫌なの…?
あ、そっか!四人で食べに行けばいいのか!
まぁよく考えりゃそうだよな。
メンバー四人中二人が夕飯食いに行くってなったら、(スタッフは兎も角)当然四人で行くことになるよな。
そこをさも当たり前のかのように、二人で行く前提にするのは良くないよな。
そりゃ二人も不機嫌になるの当たり前か。
「ごめんごめん!当たり前だろ!四人で行こう!な!」
「…俺、ウォルピスと二人がいいんだけど?」
完全に不機嫌なりするくんは、静かにそう言う。
えぇ!?そんなに嫌だった!?
そんなに仲間外れにされた感じがした!?
「いや、最初に誘ったの俺なんですけど?」
「つか、ニャンヤオ、普段ご飯とか誰か誘って行かないくせに何なの?…ウォルピス、俺と”二人で”行こうよ」
のえるとニャンヤオも完全に不機嫌だ!
え!?なんでコイツら怒ってんの?!
のえるとりするくんはまだ分かるけども、ニャンヤオ、お前はなんでそんなに不機嫌なんだ?!
とりあえずこの場を収めないと。
スタッフ達も空気の悪さに戸惑ってるし。
「落ち着けってお前ら。喧嘩するなら俺、行かねぇけど?」
「…すいません。ちょっと頭に血が上っちゃって…」
「…ごめん、ウォルピス。…ちょっとイラついてたみたい」
「俺も、ごめん。…でも、二人きりがいいって言うのは本当だよ」
「?のえる、なんか悩んでんの?」
「あ、いや、…あー、まぁそうかも?」
「(…?歯切れ悪いな)まぁとにかく、喧嘩しないなら四人で飯食いに行こうよ」
「…はい、そうですね。なんか良いところ、探しておきますね」
「…そうだね。俺も探すか」
ニャンヤオとりするくんは、そう言って帰り支度をしながらどこが良いかと探し始めた。
よしよし、これでOK!
俺も帰り支度終わったし、タバコ吸おうかな。
そう思っていたら、のえるが小声で話しかけてきた。
「…ウォルピスさ、今、ちょっとだけ時間貰ってもいい?」
「ん?おう、いいよ」
なんだろ?やっぱり、なんか悩んでるのかな?
そんなことを思いながら、のえると共に別室へ移動した。
りするside
「…ほんと、のえるも良い性格してるよね〜」
「人の事、言えるんですか?」
「煩いなぁ。お前も俺の敵だよ」
せいだんのリーダーであるウォルピスカーターことウォルピスは、俺の恋人。
新体制に入る前からずっと好きで、こんなに人を好きになったの初めてで。
新体制に入った頃に、漸く付き合えた僕の大好きな人。
なのに、のえるとニャンヤオは、人の恋人に手を出そうとしている。
ほんと、良い性格してるよ。
元々のえるとは付き合い長いし、彼奴もウォルピスが好きなのは知ってた。
俺よりも、のえるの方がウォルピスと一緒にいられる時間が長いのは分かっていた。
だからこそ、奪われないようにしなきゃいけなくて。
例え、のえるがウォルピスに告っていたとして、嫉妬に狂った俺がのえるを殺そうって思ったとしても、恋人の俺が守らなきゃいけないんだ。
まぁ、二人には付き合ってること言ってないけどさ、何となくは察してくれても良くない?
これでも三年は一緒にやってきたんだからさ。
取り敢えず、さっきのやつ追求しなきゃ。
「ニャンヤオってさ、本人がいる前であんなことするんだね」
「はい?なんの事ですか?僕がご飯誘うのはそんなにおかしいですか?」
「相手を選べって言ってんの!…彼奴、恋人いるからね?」
「知ってますけど?」
「はぁ?!知っててやってたの?!うわ、ほんと終わってんだね」
俺の発言に気に障ったのか、ニャンヤオは明らかに不機嫌そうだ。
「ほんと、何の話ですか?俺が誰を誘おうかなんて、りするさんには関係なくないですか?」
「だーかーら!ウォルピスには恋人がいるの!相手選べって言ってんの!目の前でやられたら嫉妬するに決まってんじゃん!」
ニャンヤオチューside
せいだんのリーダーであるウォルピスカーターことウォルピスは、僕の恋人。
僕からの一目惚れで、アタックしまくって漸く付き合えた最愛の人。
なのに、のえるとりするさんは人の恋人に手を出そうとする。
本当に終わってんなぁって思ったよ。
恋愛経験はそんなにないけども、だからこそ、初めて心の底から好きだって、愛してるって思ったのは彼だけだ。
だからこそ、奪われないようにしなくてはいけない。
それこそ、例え、俺の友達に彼を会わせて、友達に彼を奪われて、絶望して焦った俺が二人を殺したとしても、俺が奪われないようにしないといけないんだ。
こういうところがサイコだって言われるのかな?
まあ、彼の為ならなんだってするのは、当たり前のことだろう。
まぁ、二人には付き合ってること言ってないけどさ、何となくは察してくれても良いのでは?
これでも三年は一緒にやってきたのだから。
とりあえず、なんか怒ってるりするさんをどうにかしなきゃ。
「ほんと、脈絡がないですよ。なんでそんなに怒ってるんですか?そんなに俺がウォルピスを食事に誘ったのが嫌なんですか?」
「はぁ?何、当たり前のこと聞いてるの?そんなん嫌に決まってんじゃん!さっきも言ったけど、目の前であんなことやられたら普通に嫉妬するから」
「…はぁ。まぁでも、俺も同じことされたら嫉妬するのは分かります。でもりするさんのはただの横恋慕では?」
「はぁ?横恋慕なのはそっちじゃん?」
この感じは長期戦になりそうだなぁ。
そんなことを考えながら、反論の言葉を探す。
えるのside
ウォルピスを連れ出すのは成功した。
肝心なのはこの次。
ちゃんと聞かなくては。
せいだんのリーダーであるウォルピスカーターことウォルピスは、俺の恋人。
旧体制の時からずっと好きで、新体制に入る前に俺から告って付き合うこととなった。
新体制になる時に、長い付き合いであったりするさんが加入し、外部の人間であるニャンヤオが入ることになって、あ、このままでいたら絶対にウォルピスが他の人に取られるって、危機感を覚えた。
だから取られる前に、先に自分の想いを伝えることにした。
俺が本当に心の底から好きだと、愛していると思えたのは彼だけだ。
だからこそ、俺は絶対に奪われるわけにはいかないんだ。
例え、何度だって絶望することがあっても、奪われるわけにはいかないんだ。
まぁ、二人には付き合ってること言ってないけどさ、何となくは察してくれても良いんじゃないかな。
これでも三年は一緒にやってきたんだし。
「のえる?どうした?」
少し心配そうなウォルピスの声。
ああ、好きだなぁって改めて思う。
だからこそ聞かなくちゃ。
「ウォルピスさ、なんでニャンヤオとご飯食べに行こうと思ったの?」
「は…?え、いや、誘われたから…?」
困惑するその声と言葉に、ハッとする。
今の言葉、めっちゃ重くなかったか?
なんか、束縛したいみたいな感じに取られたら嫌だな。
…嫌われたらどうしよう。
「…あ、ごめん。束縛するつもりはないんだ。…だけどさ、ウォルピス。流石にメンバーと行くなら、流石に二人きりはやめて欲しいな」
ウォルピスが試し行動をするほど、俺は寂しがらせてはいないはず。
ウォルピス自身忙しい身であるし、俺自身も毎日連絡するのは厳しいので、定期的に連絡を取り合っていた。
それだけでなく、お互いに時間が合えばデートだって行くこともあった。
いや、俺がそう思っているだけで、彼はそうではないのかもしれない。
それに、こんな束縛するみたいな言い方も良くないだろう。
俺自身、束縛とかそういうのは嫌だけど、ウォルピスはどうだろうか。
…前言撤回。
やっぱウォルピスに束縛されるのは、別にいいな。
寧ろありか?
「えー…っと…、のえる?」
相変わらず困惑した声にハッとする。
「え、あ、な、なに?」
「お前、あの二人と喧嘩でもしたの?」
「…ん?」
何故そうなる。
今のを聞いて、嫉妬しているって思わないのか?
俺ら付き合ってるよな?
「?のえる?」
コテンと首を傾げ、不思議そうに俺の顔を覗き込んでいる。
ク ソ か わ。
「…別に二人とは喧嘩してないよ。ただ、ちょっと嫌だなぁって思って」
「そうなの?…不満があるならちゃんと言った方がいいよ。…何かあった時に言えなかったら、後悔しかしないよ」
ウォルピスのその言葉は、俺の心に非常に重くのしかかる。
ウォルピスは人ではない。
所謂、怪物だ。
しかも厄介なことに死んで復活する度に、記憶を無くす。
ただ記憶を無くすだけなら、どうにでもなるだろう。
無くす記憶は完全にランダムなのだ。
直前の記憶が無くなることもあれば、数秒前から数十年といった単位で無くすこともある。
旧体制の頃、事故でウォルピスが目の前で死んだ時、俺らのことを完全に忘れてしまい、人間の姿ではなく、本来の姿である怪物である本能を剥き出しにして、俺らは一度、ウォルピスに襲われかけた。
以前から、ウォルピスから言われていた。
もし、誰のことも覚えていなかったら、怪物となって襲おうとしたら殺して欲しいと。
思い出すまで何度も殺してと。
だからその時、一心不乱で包丁をウォルピスに突き立てて殺した。
幸か不幸か、一度で俺らを覚えているウォルピスの状態で、復活した。
俺にとって、それは絶望だった。
その時の衝撃や感触は、寝ても醒めても今でも消えなかった。
「…そうだね」
俺の言葉は、自然と暗くなる。
ウォルピスはその時の記憶がないのか、ニコニコと笑みを浮かべている。
その笑みは、きっといつかは曇ることだろう。
不安を隠すように、そっとウォルピスの手を握る。
ウォルピスは不思議そうにしている。
「…ウォルピスさ、」
「ん?」
「…俺の知らないところで死なないでよ」
俺の言葉にキョトンとした様子で、数回瞬きした後、コクリと頷いた。
ウォルピスカーターside
のえると話していて、突然彼は暗くなってしまった。なんでだろ?
なんか知らんけど、手を握られたし。
のえるの手は、不安を隠しきれないほどに震えている。
表情も言動も非常に暗い。
のえるの目は不安に揺れている。
いや、不安というより絶望か?
のえるはどうやら、俺が死ぬのが怖いらしい。
のえるの知らないところで死ぬなって言われても、俺はそんなの選べない。
俺は必ず死んでしまうのだから。
「そろそろ戻ろうよ。俺、タバコ吸いたいし」
「…そうだね」
俺の言葉に肯定しつつも、のえるは動こうとしない。
あー、これ、良くない傾向だ。
放っておいたら、壊れそうだ。
のえるのの手を引いて、撮影部屋へと戻る。
撮影部屋に戻ったら、なんかこっちはこっちでバトってんだけど。
スタッフ達は片付け終わっていたのか、帰りたそうにしている。
俺らの存在に気づき、目で訴えている。
「…えぇ…?」
俺の困惑の声に、りするくんとニャンヤオは気づいたのか此方を見た。
「ウォルピス!遅い!」
むぅっと拗ねたような声色のりするくんは、真っ先に俺の元へやってきた。
なんだなんだ。
「なんかあったんですか?」
ニャンヤオは俺の後ろにいる、暗い表情ののえるの方を見ている。
「んー…っとねぇ…まぁちょっとね」
「…、なんか言ったんですか?」
「そんなやばいことは言ってないけどな〜 」
「…のえる、大丈夫?」
「…」
ニャンヤオの心配そうな声に答えず、ただただ俺の手を強く握る。
「…のえる…?」
「…、ほんと、気に入らないなぁ(ボソッ)」
「…早く帰ろうよ」
暗いのえるの声は、重く深い絶望を伺える。
ただ、その手は離さない。
「…のえる?離さないと荷物取れないんだけど…」
俺の言葉に遮るように、のえるは手を離し、そして顔を埋めるように抱きしめた。
ほんと、どうしたんだこいつ。
「…ウォルピスと二人きりにさせて欲しいんだけど」
「はぁ!?」
苛立ったりするくんの声。
やっぱこいつもおかしいな。
「まぁまぁ。俺ら、先に行ってますね。場所は送るので、のえるが落ち着いたら来てくださいね」
「おー、ありがと」
「…」
「ちょっと!ニャンヤオ?!」
「はいはい、落ち着いてくださいね〜」
非常に苛立った様子のりするくんを宥めながら、スタッフ達と共に自分の荷物とりするくんの荷物を持って、スタジオから出て行った。
ソファに移動し、タバコを吸う準備をする。
のえるはただただ何も話さずに、俺の隣に座っている。
「…」
「…のえるってさ」
「…うん」
「俺のこと、怖いって思わないの?」
タバコに火をつけながら、そう問いかける。
のえるはすぐに口を開き、言葉を紡ぐ。
「怖くないよ。怖いって思ったこと、一度もないから」
涙を堪えるかのような深い息を吐きながら、そう答える彼は嘘を吐いていない。
だからこそ、【愚か】だと思ってしまう。
人ではないからか、それとも何度も死にすぎたせいで、記憶が欠けてしまったからか。
理由など、今更どうでもいい。
ただただ俺は、彼らを守らなければならない。
「…(もう少しか)」
煙草の紫煙を吐きながら、隣で啜り泣く友人を慰める。