pixivの再掲です
垢→やゆよ @user_npdx4375
桃青 病み
いふ side
「はぁ、…」
俺は、暗い部屋でひとり、ベッドに横たわっていた。天井をじっと見つめながら、また一つため息がこぼれる。20代後半、180センチ、昔から人に頼られてばかり。兄弟おらんけど、まるで兄みたいなポジションやった。自分の中で背が高いだけで人に頼られるのは当たり前。俺が頼るなんて考えたこともなかった。
「つかれた…」
何日もまともに眠れてない。目を閉じても、心の中がざわざわして、安らぎなんてない。そんな自分がどうしようもなくて、何かにすがりたくなる。気がついたら手首を見つめてた。カッターがすぐ近くにある。でも、切ることができない。深くする勇気もないし、傷がバレたらどうしようっていう怖さが常に頭をよぎる。
「やばすぎやろ…笑」
自分を嘲るように薄く笑って、手を引っ込めた。結局俺は中途半端。助けを求めることも、傷つけることもどっちつかずで、ただ痛みだけを残して、何も解決しない。
ないこ side
夜中に目が覚めた。横を見ると、まろがいない。どこに行ったんだろう…と思いつつ、喉が渇いたから水を取りにリビングへ向かった。その時、トイレの扉が少しだけ開いていて、中からかすかな吐き気を催す音が聞こえた。
「まろ…?」
扉をそっと開けると、そこにはトイレに座り込んで吐き続けるまろの姿があった。顔は真っ青で、額には汗がびっしり。体は小刻みに震えていて、苦しそうに背中を丸めている。
「まろ、大丈夫!?」
慌てて駆け寄って背中をさすった。吐くたびに彼の体がぐったりしていくのがわかる。胃の中にはもう何も残っていないのに、空嘔吐が止まらない。喉を押しつぶすような音がトイレに響くたびに、心配で胸が締めつけられる。
「まろ…、?…どうしよう…」
しばらくして、ようやくまろが少し落ち着いた。俺はティッシュで彼の汗を拭いて、そっと声をかける。
「大丈夫?なんでこんなことに…」
まろは疲れきった顔で俺を見上げ、小さく息を吐いた。
「…いつのまにか、苦しくなってて」
いふ side
「はぁっ、…」
「…サスサス」
ないこが優しく背中をさすってくれるのがわかる。その手の温かさに、俺は少しだけ安心した。けど、心の奥底にあるこの重苦しい気持ちは、そう簡単に消えるもんじゃない。
「なんでこんなに無理してるの?頼ってくれてもいいんだよ」
ないこが言う。
俺は、黙って少し考えた。ないこはいつも優しい。ほんまに俺のことを気にかけてくれてる。けど、俺は頼れへん。昔からずっと、頼られる側の人間やったから。
「昔から…俺、背が高かったし、人に頼られるのが普通やった。頼るっていうのが、どうしても…」
ないこは少し悲しそうな顔をして、俺の手を握った。
「それに、年上やから…」
「まろ、年上だから年下だからとかじゃなくて、俺は、もっと頼られたいの。まろが無理してるのは、俺だって辛いから」
その言葉に、俺は少しだけ胸が痛んだ。ずっと頼ることを怖がってたけど、もしかしたら…もっと早く、ないこに甘えても良かったのかもしれない。
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