今日で交際を初めて半年。
半年記念なんて面倒臭いっていう人もいるけど、私はそういうのを大切にしたい。
特に、「半年でも祝おうね!」とかは言っていないけど、きっと大丈夫。きっと。
…面倒臭いって思うかな。
どうしよ。そういうの無理って、別れの言葉を告げられてしまったら。
正直、めっちゃ迷った。彼に会いにいくか。
でも、この状況を変えたい。
これがきっかけで関係が良くなるかも知れない。
そう信じて、私は彼へのプレゼントを手に取り急いで彼の家に向かった。
私は深い息をつく。
寒さのせいか、震える指先でインターホンに手を伸ばす。
押そうとした時、
ガチャ
「あれ、まちこ」
思ってもいなかった展開にびっくりする。
「や、やっほー!来ちゃった! 」
「俺もちょうど行こうと思ってた笑」
と、せんせーはくしゃっと笑った。
彼も半年記念、覚えてくれていたんだ、、
と嬉しさでいっぱいになった。
それから
彼の家で私が見たいと言った映画を見て、今までの写真を見返して、調子に乗って6号のケーキを買ってきて。
すっごく楽しかった。幸せすぎた。
最近のことが嘘みたいに。
彼は私へのプレゼントに紫と緑の色が入ったブレスレットをくれた。
時刻は21:46
もう夜遅いから。と私を家まで送ってくれた。
期待していた事はなかったけど…
最高な一日だった。
荷物を片付けて、メイクを落として。
一息ついた時に彼がくれたブレスレットを取り出そうとした。
(あれ、ない)
外でバックを漁った覚えもないし、自分の家で見た記憶もない。
きっと彼の家に置いてきてしまったのだろう。
送って貰ったのに取りに戻るなんてバカだよなぁ。
とか思いながら足は彼の家に向かっていった。
(そういえば、せんせーに連絡入れてないや。)
けれど彼の家は目の前。
返信がすぐ来るか分からないのにそれを待ってうろちょろしてるなんて、周りから見たら変な女すぎる。
申し訳ないけど彼は怒らないだろうし。と、ドアにそっと手をかけた。
あれ、鍵が閉まってる、、
いつもは空いているのに。
私は2人で植えたリンドウの花瓶の下に隠してある家の鍵をとり、 不穏な空気を漂わせる彼の家に足を踏み入れた。
「おじゃまします、、」
私は電気の付いていないリビングに足音を立てぬようソッとブレスレットを探す。
「あった…!」
意外とすぐに見つかった。
ソファーの下にあるブレスレットを回収し、後は静かに、バレないように外に出るだけ。
(…なんか、悪い事してるみたい。 )
彼は許してくれるんだろうけど、 プレゼントを忘れて行ったくせに勝手に家に入って気づかれないように家を出るなんて、さすがに失礼きまわりない。
私は彼に家に入ったと、知らせようと部屋の明かりがもれているドアを開けようとした。
「彼女さん大丈夫なの?」
「今日優しくしといたし、しばらくは大丈夫かな笑」
「え〜かわいそ〜笑」
(え?)
ドア越しに聞こえてくる声は確かにせんせーと女の人。
「そんな事より、ね?」
最後に聞いたのは女の人の子の言葉。
きっと、私、酷い顔してんだろうな…笑
私に気づきそうにない彼らを後にし、私は急いで家を出た。
…まさか、転んでしまうなんて。
走るからだろうけど。
擦りむいた両膝から血が滲む。
(はぁ、、なれない靴でくるんじゃなかった。)
普段履かないこのヒールは貴方のかわいいが聞きたくて買ったのよ。
…悔しくて。悲しくて。涙がこぼれる。
薄々気づいていたの。
貴方は私の事、もう好きじゃないって。
他の女の匂いが服に染み付いていたんだもの。
でも、貴方のふとした瞬間にみせる笑顔や優しさのせいで別れを切り出せなかった。
好きなのは私だけだったの。
そんなのとっくのとうに知っていたのに。
認めたくなかった。
(笑…辛いなぁ。)
今は一人でいたいのに。
神様はとことん私を嫌っているのね。
座り込んで動けない私の方向に 後ろから男女二人が歩いてくる。
「早くホテル行こー♡」
(もう、、やめてよ。)
「あれ、まちこり?」
コメント
1件
待ってました! 嬉しいです🤗 あと、ネタバレ?になるかもしれないんですけど、 リンドウの花の意味を知って続きが楽しみです❤️