紅斗
真弥
紅斗「ねぇ真弥」
真弥『ん?どうしたの紅斗』
「俺達、別れよっか」
久しぶりにデートをした恋人から告げられた言葉は俺が、1番聞きたくない言葉だった。
『え?』
「ごめんね、じゃ」
『待ってよ紅斗!』
「何?」
「用がないならもう良い?俺行くわ」
ガチャバタン
『なんで?なんでよ…ボソッ』
一年後…
プルループルルルルー
『はい、どちら様でしょうか?』
[わたくし、朝霧病院の医師、愛塚と申します。結城真弥さんの電話番号でお間違い無いでしょうか?]
『?はい、間違いないですけど、病院の方が俺に何のようでしょうか?』
[それがですね…カクカクシカジカ]
『え?』
『紅斗が、死んだ?』
[はい、それで、橘花紅斗さんの方から
結城さんに渡しておいて欲しいと言われたお手紙がありまして…]
『そ、そうなんですか』
[そのお手紙を後日お送りしますというご報告をしたいと思いお電話をおかけいたしました]
『わ、かりました。』
[それでは後日ご自宅の方にお届け致します。
失礼致します]
プーップーッ
紅斗が死んだ?なんで?、なんでだよ?あいつ、事故にでもあったのか?でもそんな筈は…
『グスッ紅斗…会いたいよ…』
数日後
『あ、これ…紅斗からの手紙だ』
『読むの少し怖いな…でも、紅斗の死の真相が分かるかもしれない!読もう!』
『んーと?』
「真弥へ、
お元気ですか?きっとこの手紙をお前が読む頃には俺はこの世にいないんだな。
俺、真弥に隠し事をしてた。それがさ俺、
生まれつき持病があってさ俺達が別れた時でで言うと余命があと長くて1年しかなかったんだ。それで真弥を残して、真弥の前で死ぬのは
怖くてお前を振ったんだ、ごめん
今、真弥は新しい恋人でも出来たか?
もしそうだったら少し嫉妬するな(笑)
俺は真弥の事を忘れた日なんてなかったよ。
毎日毎日、夜になると真弥の声が聞きたくて、
真弥からの「好き」が欲しくて、寝れなかった。
なぁ真弥、俺はさ、不器用で真弥を沢山困らせて、泣かせて、真弥のことを幸せにしてやらなかったかもしれない。だけどさ、1つだけ覚えていて欲しい事があるんだ。
今までもこれからも、俺が真弥を思う気持ちは誰にも負けないよ。絶対!これだけは断言できるんだ。だからさ、もし生まれ変われたら、
また来世が在るのなら、その時も俺は真弥を
探すよ、そしてまた真弥と恋に落ちる!
まだ真弥が俺を思ってくれていたとしたら
約束して欲しい。来世でまた一緒になる事を。
またね、真弥。愛してるよ」
数十年後
俺は橘花紅斗という大馬鹿野郎からの手紙を
何回も何十回も、涙が枯れるまで読んだ。
毎日一回は読んだと思う。
そして今日は俺の命日だ。もう意識も朦朧としている。俺の近くで歳が15歳も離れた弟が
死なないで!真弥兄さん!と叫んでいる声が聞こえる。次第にその声も小さくなって行く。
あぁ、俺はもう死ぬんだなと思った時だった。
「真弥」
『え?!紅斗…?』
そこには紅斗が立っていた
「迎えにきたよ」
『グスッおせーよ、バカ!』
「ぎゅっ うん、ごめんね」
『ずっと、ずっと寂しかった…!』
「ごめん、ごめんね。」
『うん…』
「じゃあ、行こうか」
『…!おう!』
16年後
はぁ、もう春かー俺は西条雷善、前世は
結城真弥。今日から高1。
紅斗にはまだ出会えてない。
だけど、今日友達と行ったカフェで会った
昔の俺の幼馴染、東優からは
何だか懐かしい感じがする。
なんだろう、この気持ち
コメント
1件
あの、お気付きの方も居ると思うんですけど、西条雷善と東優は「雨と雷」という作品にも 出ている2人です。 まだ読んでいない方は読んでみてください。