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夜鐘
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大正
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裏五条
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【転移白石】によって第11層に現れたアトミルカ精鋭の3人。
その気配をすぐに察知して身構えたのが逆神六駆。
ほんの数秒遅れてそれに気付き、『結晶』を迎撃態勢に移行させるのが阿久津浄汰。
「おい、なんだこの野郎! 急に出て来やがって! しかもお前! なんか髭生やしてたり、チームの頼りになるおじさんポジションがオレと被ってんだよなぁ! おい、なんか言えや! この髭!!」
死亡フラグをせっせと立てて行くのが逆神大吾。
大吾が握りしめたフォークを舌なめずりする。
やっている事が完全に敵の雑魚キャラだった。
「3番。座標の確認をしろ。間違っていましたでは済まんからな」
「はっ! ……間違いなく、ここは監獄ダンジョン・カルケルの第11層です!!」
「そうか。良し。では、あれが異界の門だな。速やかに解放する。10番、取りかかれ」
「ははっ! 『スパイク・ニードル』!! くっ! これは……!!」
2番は報告しようとする10番を手で制して、「なるほど。まあ、防御層くらいは用意しているだろうな」と頷いた。
「はっはー! 残念でしたぁー! そこの防御層の解除キーはオレが持ってまーす!! 獲れるもんなら奪ってみやがれってんだぁ!! おおん!?」
敵のただならぬ煌気に警戒を強める阿久津は、六駆に一応質問した。
「おい、逆神ぃ。てめぇの親父がぶっ殺される流れだけどよぉ? 問題ねぇのかぁ?」
「葬式はちゃんと出しますよ! ばあちゃんとお袋に連絡しなくっちゃ!!」
「かぁー。相変わらず、ドライなヤツだなぁ。俺ぁ家族持つなら、てめぇみたいな息子とあんな親父は御免被るぜぇ」
「何言ってるんですか、阿久津さん! 犯罪者のあなたが家族なんか持てませんよ!?」
「正論で返して来るとは、お前も成長してんなぁ? ……おっ。てめぇの親父がすげぇ勢いですっ飛んで行ったぞ」
「あれじゃあ死なないんだよなぁ! 敵さんも手加減しちゃって!」
大吾の悲鳴はカットされ、吹き飛ばされる結果だけが反映される。
彼は2番に何をされたのかも理解できていないだろう。
対して、六駆と阿久津の2人はしっかりと見ていた。
2番はただ、煌気を込めた右足で大吾を蹴り飛ばしたのだ。
だが、六駆の言うように2番は手加減していた。
仮に解除キーが必要となった場合、それまで壊してしまっては面倒だからである。
「……ああ。これならば、私がいれば問題はなかろう」
防御壁に手を触れ、煌気の質を感知した2番は満足そうに言った。
この段階になると、六駆も黙っていない。
親父がぶっ飛ばされるのは問題ないが、異界の門に手を出されると大問題。
作戦の評価に傷がつき、まかり間違って報酬が減額でもされたら目も当てられない。
「阿久津さん。あっちの2人をお願いできますか?」
「くははっ。結構な無茶を言ってくれるなぁ? そっちのおっさんほどじゃねぇが、残りもそれなりに厄介そうなのによぉ!」
「では、お任せします! ふぅぅぅんっ!! 『瞬動・二重』!!」
六駆が両足に煌気を込めて、超スピードで2番との距離を詰める。
このパターンは敵が「いつの間に!?」と慌てるまでがワンセットなのだが、今回はそうならなかった。
「……なんだ、お前は。その動きの速さは尋常ではないな。監察官……にしては、いささか若すぎるが」
「あらら。おじさん、かなり強いですね? これはアトミルカさんの記録更新だなぁ!」
「悪いが、お前が何にせよ相手をしている暇はない。……『魔斧』!」
「うわぁ。こういうシンプルな武器を持ってる人って大概強いんですよ! 『光剣』! 一刀流!! 『断罪』!!」
2番の持ち出した武器は斧。
それが3番の作った『圧縮玉』なのか、具現化武器なのかは分からない。
だが、六駆が先手必勝を取りに行くと言う事実が、2番の強さを物語っていた。
「……ぬっ。これはなかなか! 私にスキルを使わせるとは、何十年ぶりだ! 若い使い手よ、精々誇れよ!! 『アキレウス』!!」
「しまったなぁ。『光剣』じゃ耐えられないや。でもなぁ。『龍剣』は南雲さんのイメージを大事にしたかったからなぁ。あだだだだっ」
斧をまるで存在しないかのように軽く、加えて早く振り、真空波を起こす2番。
六駆はそれを受ける事にしたらしく、『光剣』にヒビを走らせながら、自身も後方に吹き飛ばされる。
そこには奇しくも父親の大吾が回復した直後の状態で立っており、六駆を受け止めた。
「どうした、六駆ぅ!? お前がぶっ飛ばされるとか、嘘だろ、お前!!」
「それを言うなら、親父に受け止められた事が僕の人生で最新の汚点になったよ。最悪だ。イメージが最悪だよ。なんか親子共闘! みたいな空気になってるところも最低だ!!」
2番の強さは本物だった。
長きにわたりアトミルカの実働部隊トップとして君臨してきた実績は伊達ではない。
だが、その2番も驚いていた。
手加減したとは言え、自分の蹴りを喰らった大吾が驚異的な回復力を見せている事もそうだが、手加減をしていないスキルを受けて致命傷にすら達していない六駆を見て、彼は事の重大さを理解する。
「3番。計画変更だ。この猛者たちはここで仕留める。後の憂いとなるのは確実だ。お前はそっちの囚人を無力化せよ。私は……すぐに異界の門を解放する!!」
2番は当初の計画を破棄し、第2案に移行する。
その思い切りの良さも衰え知らずであると理解した上で、3番は「了解しました」と返事をした。
◆◇◆◇◆◇◆◇
その頃。
激しい煌気のぶつかり合いにより、サーベイランスが不調をきたしていた。
映像が乱れるだけでは済まず、山根と六駆の間の通信も途絶する。
制御不能になったサーベイランスの再起動を図るべく、本部では山根が奮闘していた。
「山根くん! アトミルカの侵入者の経路は分かったか!?」
「今忙しいっす! けど、サーベイランスのデータから推測するに、転移系のスキルか装置を使ったみたいっすね!」
「まさか、カルケルの最下層に転移をして来るとは……! 想定外だ! どうにか逆神くんに頑張ってもらうしかないか」
2番の情報がまったく得られない状況なので無理もないが、南雲は六駆ならば相手が3人でも対処は可能だと考えていた。
が、その推測は外れる。
これまで圧倒的な信頼を1度として裏切る事のなかった逆神六駆が、南雲の希望的観測とは違った事実を報告して来たのは、それから5分が経ってからだった。
「おっ! 通信状態改善っす! 映像出ます!」
「よし! 逆神くん! こちらは南雲だ! そっちの状況を教えてくれ!!」
六駆は申し訳なさそうに「すみません」と言った後、状況を端的に述べた。
『敵の2番さんが、親父を武器にして防御壁をぶち壊しました! 考えましたねー! この方法なら、解除キーがあってもなくても関係ないや!!』
「ええっ!? 2番がいるの!? と言うか、大吾さんは生きてるの!? なに!? 親父を武器にしてって報告がこの世に存在するの!?」
映像がモニターに映し出されると、大吾の足を掴んで振り回す見た事のない男がそこにはいた。
「さ、逆神くん! 大吾さんを救出するんだ!!」
『あ、大丈夫です。聞こえます? 親父の声』
オペレーター室が静寂に包まれる。
それを壊すのは、汚いおっさんの悲鳴だった。
『南雲さぁん! 違うんだよぉぉ! オレぇ、すっげぇ頑張ったんだけどぉぉ!! あ、気持ち悪い! ゔぉえ! このおっさん、無茶苦茶するんだけど!? お助けぇぇぇぇ!!』
逆神大吾の耐久性に言葉を失くす一同。
そこに、息子の六駆が凶報を運んで来た。
『たった今、防御層が全部壊されました! 異界の門を親父でガンガン殴ってます! あっ! ダメだ! 今、門が開きました!!』
逆神六駆を擁して、異界の門の解放を許すと言う異常事態。
事態はさらに悪い方へと転がり始める。
コメント
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うわ、めっちゃカオスw まさか大吾さんが武器にされるとは思わなかったわ…「親父を武器にする」って報告が普通に通じちゃう世界観、やばいな。六駆くんがちょっと焦ってるの新鮮だし、2番バニング・ミンガイル、一気に強敵感出してきたね。次どうなるか気になる!