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・森先生×貧ちゃん
・森先生と貧ちゃんの顔が激似設定
・「」←森 『』←貧ちゃん
・地雷の無い方のみどうぞ
(貧ちゃん視点)
俺達は別に双子とかではない、ただ顔が似ているだけの全くの赤の他人である。何故か本物の弟のごとく森を可愛がっている自分がいるが…ぶっちゃけメガネと前髪で見分けられるくらいは出来るんだから皆も「どっちがどっち?」だなんて聞かないで欲しいな。
「貧ちゃん、何してるの?」
背後から森が抱きしめてくる、そんなまるで恋人みたいなことしなくても…。
『煙草吸ってんの、お前喫煙者じゃないんだから腕離してくれる?煙草の臭いつくよ?』
「分かりましたよ兄さん」
『何その呼び方』
俺達は兄弟でも何でもないのに何故「兄さん」だなんて呼ばれなければならないんだろう。
「あはは、僕達何だか似てるから本当の双子の兄弟みたいに呼べないかなって」
何だよそれ、双子だったら一緒にいられるってか?常に一緒にいられる訳じゃないのに。俺はまだ…自分の夢すら叶えられてないのに。…今なら叶えられるかな?ここはベランダだ、このマンションからなら一発で…
「ダメだよ、貧ちゃん」
森の声のトーンが落ちた、お前は俺の考えてることが分かるのかよ。俺が死のうとしてることが。本当、腹立つくらいに頭良いな。俺は森の方を振り返る。
『俺の夢、今なら叶えることが出来るのに?』
(森視点)
貧ちゃんは今、夢を叶えようとしている。そんなことしたって夢は叶えられないのに。そもそもどうして貧ちゃんは「空を飛ぶ」なんて夢を絵に描いたんだ?
「…いい?貧ちゃんの夢は叶えられないよ。こんなことをしたって、貧ちゃんは空を飛べないんだよ?今だって、足震えてるじゃん」
ベランダにいるのを見た時から微かに貧ちゃんの足は震えていた、本当は死ぬ勇気なんて無かったんだ。希死念慮はずっと変わってない、薬を飲んでも治らない。本当に死ぬまで終わらない。
『…森、俺…どうすれば良かったの…?』
貧ちゃんの声が震えている、今にも泣き出しそうだ。家族にも親友にも縋れなかった貧ちゃんが僕を頼り縋ろうとしている。不思議と嫌ではなかった、寧ろ…もっと頼って欲しいと思う自分がいる。僕は貧ちゃんの手を取り、ベランダの外からリビングへと引っ張る。窓を閉めカーテンを開ける。足をガクガク震えさせ貧ちゃんは崩れ落ちた。
「大丈夫だよ、貧ちゃん。ここに居れば何も怖いものは無いからね」
僕が優しい声音で背中を摩ると、貧ちゃんは泣き崩れた。あぁ、やっと溜め込んでいた苦しみを吐き出してくれた。毎日のように大量の薬を過剰摂取しそれでも死ねないと泣き喚く貧ちゃんを見ていられなかった。これからは僕が貧ちゃんを守ってあげないと。
『…森、ごめん…俺のせいでこんな面倒を…』
また自責思考になってる、小学校の頃からそんな感じだったよね?自分に自信が無くて常にキング達の顔色を伺って。辛かったよね。自分に自信が無いのは僕もそうだけど…僕は「良い子」だったから「悪い子」じゃないから。今だって「良い先生」だと評判も受けている。
「こうなったのは貧ちゃんのせいじゃないよ、貧ちゃんは何も悪くないんだから。貧ちゃんが本当は”良い子”だってこと、僕は分かってるから」
そうだよ、貧ちゃんは好き好んでいじめをしていたわけではない。ただ…流されやすかっただけなんだ。それが悪いことに繋がってしまったわけで。貧ちゃんは中学が一緒だった為何度も僕に謝ってきた。そこで僕は「この子はただ悪い子なだけじゃないんだ」と思った。
『…俺さ、小学校の卒業式の記憶覚えてないんだ。みんなに聞いても誰も答えてくれないし、まさか俺何かやばいことやっちゃったんじゃないかって…お前だったら転校してたけど今先生だから何か知らないかなって』
キングに聞いたよ、あの話…鷹里小学校飛び降り未遂事件。その日は鷹里小学校の卒業式だった。そして卒業式を終えた後、1人の男子生徒が6年1組の教室の窓から飛び降りた。教師が発見した時には窓は開かれておりカーテンも揺らめいていた。その被害者が貧ちゃんだった。最初は誰もが皆驚き悲鳴を上げ学校中で大騒動を起こしたという。
「……」
今、この状況で言うのは危険だ。発狂してまた飛び降りをしかねない。卒業式の日、久しぶりにパソコン室の掲示板を見ようと学校を訪れていた。ドサッと鈍い音がしたので何事かと駆けつけたら、貧ちゃんが頭から血を流して倒れていた。僕は血の気を失いその場に倒れた、つまりは僕がこの事件の第一発見者だったのだ。その後僕らは救急車に運ばれ事なきを得た。まだ…今じゃない。言うのは今じゃない、また貧ちゃんが落ち着いたら。
「…貧ちゃんは、やばいことなんてやってないよ。僕も貧ちゃんも”良い子”なんだから」