テラーノベル
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薬で髪の毛が抜けた。
もう死ぬって言うのに死ぬ前にも地獄にいるよう
「元貴!見てこのニットの帽子!」
「可愛いね。……。」
「……元貴。」
ふぁさっ。
「似合うっ…元貴に似合うやつ選んで来たんだ!」
「……ありがとう。」
僕は歯を食いしばって涙をこらえる。君に涙を見せないように。
「……っ、元貴……泣いていいんだよ。」
「っえ?……。」
「泣くの我慢してるでしょ。笑」
君には丸見えだったんだね。
「おいでっ!」
あぁ温かい。涼架の匂い。
「……。りょかっ……愛してる。」
「僕もだよ。元貴。」
「おやすみ。」
ここどこだろう
周りには花があって。緑が深い森。
あっちの方キラキラしてる。街かな?
「いだっ。っ!?」
傷だらけだ。てか身長高くね?
スマホスマホ……。
ん?ないじゃん。
涼架のところに……行かなきゃ。
譲れないものが沢山あるから。
どさっ。
あぁもう引き返せないや。
暗い、足元がよく見えない。
ひとりは嫌だよ。涼架が恋しい。
あはあはっ笑
……幸せそうだな。僕には明日なんてないのに
彼奴のために明日があるなら僕は其奴が嫌い
ふわぁっ
高っ……。広い世界っ。
日本?なのか……
僕のことなんてちっぽけに見えるや
“愛してる”なんでもういらないよ。
「涼架……涼架の匂いがする。」
今だけただ抱きしめて欲しい。
私は嗅ぐ完璧な思いはこの世にないと
あなたを嗅ぐ