学園長「さっそくじゃが、一試合目を始める!一覇衆一番手前へ!」
?「はぁ~い!」
学園長の言葉とともに校庭に出てきたのは、栗色のクルンとした髪が特徴の忍びだった。
?「初めまして。僕の名前は蚶良(きさら)。不破雷蔵殿にお相手願います!」
雷蔵「えっ?僕?!」
驚いて声を上げると、蚶良は口角を上げた。
蚶良「はい!」
慌てて校庭に出る。
雷蔵「よっよろしくお願いします!」
蚶良「はにゃ~。よろしくお願いします~。」
僕は苦無をかまえて、蚶良を睨んだ。
蚶良は額に渦のような模様のある黒い半狐面をしている。口元は雷蔵が苦無を構えたときに口布を上げたため、表情は分からない。
雷蔵〜表情がわからないのはつらいな。~
雷蔵「蚶良殿!お相手願う!」
僕は目の前の武器を構えていない蚶良に向かって走り出し、苦無を振り落とした。‥‥‥はずだった。
蚶良「遅いよ~。」
いつの間にか後ろをとられていた。
雷蔵〜はっ速い!〜
雷蔵「クソッ!」
苦無をふるうが、蚶良は蝶のように避ける。
蚶良「そんな力任せに振るったら当たるものも当たらないよ~。」
雷蔵「クッ!」
どんなに急所を狙っても一つも当たらないことに、だんだんと怒りを覚えた。そして次々と攻撃を繰り出した。が、
雷蔵「っ!」
攻撃することに夢中だったためか、足元の小石に気づかずに体制を崩してしまった。
蚶良「隙あり〜。」
蚶良の苦無が首に当てられた。
学園長「そこまで!勝者蚶良!双方武器をおさめよ!」
学園長の言葉に、蚶良は苦無をしまった。
蚶良「戦場で冷静さをなくして周りが見えなくなるのは命とりですよ。不破殿。」
そう言って蚶良は小走りで仲間の元へと帰っていった。
待機場所へ戻ると、伊作先輩がやってきた。
伊作「怪我はない!?」
雷蔵「はい。あの、すみません。負けてしまって。」
仙蔵「気にすることはない。」
立花先輩が僕の頭を触る。
三郎「それにしても、雷蔵が冷静さをなくすなんて。」
雷蔵「うぅ、不甲斐ない。」
文次郎「そんなに落ちこむな。相手はお前たちのひとつ上だ。これから力をつければいい。」
雷蔵「はい‥‥。」
仙蔵「まぁ。私達6年生はそんなこと言ってられんがな。さて、次はどんなやつが出てくるだろうか。」
不敵に笑う仙蔵に、悪寒を感じた。
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