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曲パロです。
「親愛なるあなたは火葬」
という曲を参考にさせて頂きました。
多分最後ら辺は聞いた事あるんじゃないかな?
スタート。
孤児院に白虎が出た。
その白虎は人間だった。
異能力者だった。
小さな白い少年だった。
私は少年の父親だった。
少年は私が嫌いだった。
私は少年を痛ぶり続けた。
心が締め付けられるくらい。
私は少年に怨まれるだろう。
だが、それでいいのだ。
少年にとっての “ 怪物 ” になるのだ。
「お前は私が嫌いか?」
少年は睨む。
「それでいい」
「お前は私を怨め」
「死ぬ迄、ずっと」
これは少年の為。
これは仕事。
自分を殺してでも達成してみせる。
怪獣になりたい。
怪獣ならば殺せるからって。
壊獣にもなれないくせに。
僕は夜歩いていた。
白虎が追い掛けて来る。
自分の背後にへばりつく様に。
逃げても逃げても追い掛けて来る。
怪獣になりたいのに。
怪獣になったって意味無いのに。
全部分かってるくせに。
綺麗な川に人の足が浮かんでいた。
つい助けてしまった。
性別は男性だった。
整った顔だった。
僕の様な怪獣と違って。
彼は「太宰」と名乗った。
包帯を全身に巻いていた。
彼の目線は、
優しかった。
暗い倉庫に満月の光が照らされる。
僕の本性が現れる。
本性?
いや、
正体?
知ってる。
月下獣だ。
僕は怪物だ。
化け物だ。
醜いんだ。
恐ろしい。
気色悪い。
汚い子だ。
太宰さんは優しい。
僕は怪物なのに。
優しく包み込んでくれる。
歪な子なのに。
いらない子なのに。
「君はとてもいい子」
なんて云うんだ。
存在価値なんて元から亡いのに。
僕は怪獣だ。
壊獣なのだ。
唸っても唸っても聞こえない。
彼は本当に優しい。
そうか
本当に聞こえない。
醜い罵声が聞こえない。
「敦くん」
「大丈夫だよ」
「私が守ってあげるから」
唸っても唸っても貴方だけは、
「大好きだよ」
と云ってくれた!
「はい」
笑って。
心の底から。
「僕もです!」
耳鳴りが無くなった。