※注意
人の心が読める快斗と未来が読める新一の話。SPY×FAMILYの設定だけ借りたやつです。 どうしても二人が協力していくところが好きな私得でしかない物語。短編のつもりですが、続きはモチベが上がれば書くかもしれません。マフィアパロも書きたかったり…
「遅かったな、キッド」
自信ありげな表情をする探偵に追い詰められた怪盗は動揺することもなく、むしろ歓迎するかのような態度で答える。
「名探偵は先回りがお好きなようで」
「今日はやけに大人しいな。ついに自首する覚悟でもしたか?」
いつもとは違うその態度に不安感に襲われながらもそれを悟られないよう言葉を返すと、相手は気にも留めていないといった様子で月にビッグジュエルをかざす。
「目当ての物じゃなかったから返しておくぜ。中森警部にでも返しておいてくれ。」
「オメーの目当てのものって一体…」
(例の組織絡みなのか…?)
投げられた宝石を慌てて受け取った探偵は目の前の怪盗に対して浮かんだ疑問を呟くと、怪盗はまるで心を見透かしたように探偵を見つめながら話す。
「ああ、例の組織絡みさ。さすがは名探偵だな。」
「オ、オメーな…」
(いつもこいつは俺の心を見透かす…)
ハハ、と空笑いを漏らす探偵を横目で見ながら怪盗はまたもや探偵の心を見透かしたように一点を見つめる。
「見透かしてるのではなく、読んでいるんですよ。貴方が未来を見れるようにね。」
「なんでそれを…!」
「明晩、再びこの場所でお逢いしましょう。貴方の秘密を公にして欲しくなければ。」
目を見開き青ざめる探偵の白く透き通った手に軽く口付けをすると、闇夜に浮かぶ満月に照らされる白いマントが風に流されて いく。
「あいつ…覚えてろよ…」
高校2年の冬、これが二人の関係が変わるきっかけとなった。
「新ちゃーん!」
「黒羽、久しぶりだな。つーかその呼び方やめろ」
「はいはーい」
東都大学の食堂に二人の会話が響き渡るといつもの如く周りからは強い視線を注がれる。
探偵として、或いはマジシャンとして人気のある二人でも、いつも理学部で男子に囲まれているため大学内で騒がれるのにはまだ慣れていなかった。
「なんか俺たちすげー人気みてーだな…」
「どう考えても工藤だろ?俺はまだまだ駆け出しのマジシャンだしなー」
(とは言っても、こいつのマジックには人を魅了する力があるんだよな)
「あっそう?新ちゃんは優しいねー」
「オメーまた人の心読みやがって…」
「聞こえてくるんだからしょーがないじゃん?」
何度か理学部内の友人にマジックを披露した時にはがっちりと心を掴み、それはもういつの間にか新一まで見入ってしまっていたほどだ。
「んで、俺を呼び出した理由は大方仕事についてってとこか?」
「ああ。次の仕事まで日にちが無かったから仕方なくオメーをここに呼び出したんだけどよー。あいにく人が多すぎるぜ」
仕事の話を始めた二人はすぐさま怪盗と探偵モードに切り替えた。
食堂内は混雑しているとはいえ、学生モードで気が抜けたときにこのことについて知られる可能性があるからだ。
それでも場所を移さないのは、長く怪盗をやり続けている快斗とコナンの姿になっていても様々な難事件に首を突っ込んでいた新一のリスクが大きいほど燃えるタイプのせいだからであろう。もっとも、一番は移動が面倒だからなのだが。
「今回は中森警部が警察の守備を減らしてきてるみてえだぜ。その代わり、館内の至るところにレーザーセンサーや鈴木次郎吉の開発したセキュリティシステムを採用してるときた。」
「警察に安易に変装させない上に最新機器に頼ってきやがったか。これは手間取りそうだな」
手間取る、といいつつも阿笠博士の尽力により赤外線レーザーを見ることができる特殊眼鏡や、二人が理学部で学んだ原理を応用した装置などを作成し既に対策はできている。
「まあオメーなら余裕だよな。いざとなったらこの俺が助けてやるよ。」
「それはそれは、名探偵のお手を煩わせるわけにはいきませんね。」
「まあ、くれぐれも気をつけてくれよ。」
「…ああ。」
かくして数日後、広々とした館内に煙幕と共にキザな怪盗が舞い降りる。
end
コメント
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最高すぎん……!?人の心が読める怪盗と未来が見える探偵ってことは2人が協力し合ったらめちゃくちゃ凄いこと起きそう……!! 2人はライバルだけど協力関係でもあるっていうのが好きすぎる🥰🥰
わぁぁ!最高!((それしか言わねー ちょっくら、私もそこに…((