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「性癖を語るのって、めちゃくちゃ楽しいのよ」
スマホ片手に、突然i4は語り出した。
アイフォーは、怪訝そうにi4を見る。
「経験したことがあるような物言いですね……そんな夢のようなことやったことあるんですか?」
「あるんだなぁこれが。いやもうね、本当に盛り上がる」
「ぐ腐腐……」と気味の悪い笑みを浮かべるi4。笑い方こそ気持ち悪いが、本当に楽しそうだ。
アイフォーはそれを見て、羨ましそうな声を出す。
「楽しいでしょうね。良いなぁ、私もやってみたいです」
「じゃあ今からやろうよ、i4と」
「……へ?」
アイフォーは、i4のそんな発言に、素っ頓狂な声を上げた。
i4は、気にもせず話し続ける。
「あ、でもR指定が付くようなのは止めてね? せいぜいR-15で。てことではい始めー!」
「え、え?」とアイフォーが困惑しているのも気にせず、i4は手を挙げた。
「ハイじゃあ私からっ!! 人外っ!!」
「好 き で す ね あ な た ! !」
知ってはいた。i4の人外オタク歴は長いのだから。事実、アイフォーも大好きである。
「仕方がないじゃん!! 人外が私を狂わせたんだ!! だから私達もこんな棒人間なんだってッッ!!」
きっと、i4が人外にハマらなければ、私達代理はこんな姿じゃなかっただろう。それは間違いない。
「いやまぁ否定しませんけども!! そもそもどこにハマったんですか!?」
「星のカー○ィで丸にハマった!」
「経緯が変!」
少々語弊を招きかねない言い方をしたので、こちらで訂正しよう。i4は人外の中でも丸顔人外が特に好きなのだが、星のカー○ィをきっかけに、丸顔人外の基本である丸をよく描くようになったのだ。
i4の声は、どんどん大きくなっていく。
「次にF○Fにハマり、見事、爆弾頭と逃亡者棒人間とインターネット上の男に狂わされた!」
「伏字が変!」
伏字のコツを知りたいところである。
i4はありったけの声をあげた。
「そして人外にハマったんだぁぁぁぁ!!」
鼓膜を破られそうなほどのその声量に、アイフォーは慌ててi4を止める。
「声出し過ぎですッッ!!」
バシッと、i4の頬をぶっ叩いた。
「痛いッッ!!」
頬を押さえのたうち回るi4を、アイフォーは見下ろす。
「丸顔人外が好きな理由を簡潔に言えと言われたら?」
「描くのが簡単であるうえ、自由度が高いから!」
「異形頭が好きな理由を簡潔に答えよ。これは?」
「無機物という物に感情が宿ることでしか得られない栄養素があるから!」
アイフォーは腕を組み、唸った。
「完璧ですね。ここまでくるともはや狂気さえ感じます」
「えへへ~、そう?」と、ビンタの痛みも忘れ照れるi4。反応も面倒なのではガン無視することにする。
i4は全く気にしていないようだ。アイフォーを指差し、尋ねてきた。
「そう言う君の性癖は何なのさ?」
「……ギザ歯」
アイフォーが素っ気なく答えると、
「っあああああ良いよねえええええ!!」
と、またまたi4がのたうち回る。
そして始まったのは、ギザ歯への愛の熱弁だった。
「ギザ歯によって増す人外感! 際立つ性格!」
「普段冷静なキャラがギザ歯だったら、不敵な笑み浮かべた時に少し凶暴っぽさ出ててめちゃくちゃ格好良いし、精神年齢が幼い子がギザ歯だと、より馬鹿っぽさ出てて良き……!!」
「口から見えるギザ歯の数(?)によっても印象変わるよね! 多ければチャラいキャラにもなるし、知的にもなるし、少なければ馬鹿キャラにもなるし……!」
アイフォーは呆然とした。驚きを通り越して、もはや軽蔑さえ覚えるくらいの熱弁。自分よりも熱弁され、自信が萎んでいく。
「私より熱弁するじゃないですか、私の出番返してくださいよ」
「あああごめんごめん、つい……」
「これだからあなたって人は……」
ため息を吐きながら言うアイフォーに、i4が被せてくる。
「あと私手袋が好きでさ」
「無視しないで?」
それさえも無視し、i4はまた語り続ける。
「指抜き手袋が特に好きなんですよ」
「……某音ゲーの逃亡者棒人間の二次創作に狂わされましたね」
もうアイフォーは、i4に話を聞いてもらえることは諦めることにした。どうやったって、コイツは自分勝手なのだ。
「あとインターネット上の男だね、アイツが指抜き手袋なんてはめるから……」
「手袋の可能性は無限大ってことですね」
一応、手袋はアイフォーの性癖でもある為同意する。話を聞いてもらえはしないが、性癖について話すことに、少し楽しさを覚えている自分がいた。
「そうだね、考えてくださった人と握手したい自分」
そこまで言い終わると、突然i4は、ハッとしたようにアイフォーを見た。そして、みるみる内に申し訳なさそうな顔になる。
「ごめんごめん! 私だけ語りすぎたわ……。アイフォーちゃんは好きなシチュとかカプとかあるのかい?」
罪悪感はあるようで、アイフォーは少し安心する。流石に、罪悪感さえ持たない酷い奴ではないらしい。
さてじゃあ、楽しもうじゃないか。性癖語りを。
「カプでしたら、執着甘々サド攻めと快楽弱々強気受けが好きです」
開き直り、アイフォーが曝け出す。
「うちの子のBLカプ大体それだもんね。ギルアヴィとかヒカネオとか……。まぁ言っても、分かってくれるの君だけだけど」
どちらも、i4の自創作キャラのCPである。
「受けは攻めに対して全く恋愛感情を持っていないというのが大事です」
「それな分かる。受けは攻めにぐちゃぐちゃにされときゃ良いんだよ……ってか、よく恥ずかしがらずに言えたな?」
i4だったら、間違いなく恥ずかしがるだろう。恥ずかしがらずスパッと言える、そういうところは、アイフォーを尊敬したい。
「うちの子のNLとかGLでしたら、そういうの無いんですけどね……。一生いちゃいちゃしとけって感じなんですが……」
i4宅の自創作キャラCPとして、NLだったらレオレニ、黛ツキ、あおにじが挙げられる。GLだったら、スザミノだろうか……。あ、知らなくて大丈夫だよ。
どれも我ながらに良いカプ達なので、いつか語りたいところだ。
アイフォーは、少し考えた後言った。
「シチュでしたら、監禁された受けが逃げ出せそうになったところで攻めに捕まって、心へし折られるのが好きです。可哀想は可愛い」
「王道だね〜! 監禁良いよねぇ……私もうちの子監禁したい。なんなら痛めつけて酷い目に遭わせたい」
ぐ腐腐と笑うi4に、アイフォーは呆れた。
「妄想でしといて下さい……というか、現実にいないでしょ」
「そうだった」
それは、悲しい現実であった。
ゆうクロ。
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コメント
4件
みんなの性癖も知りたいネ
いやーめっちゃ分かるわ!性癖語りってなんであんなに楽しいんだろうね。i4の人外愛が爆発しまくってて、読んでるこっちまで「うんうん、それな!」って頷きまくっちゃった(笑)。アイフォーもギザ歯愛をさらっと言うとこ、めっちゃ渋くてカッコよかったよ。二人のテンションの上がり下がりが生き生きしてて、読んでてすごく楽しかった!