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玉座の上に座る帝釈天。
その階段下に座るはる。
『わずか三年で…よく頑張ったな。』
帝釈天ははるへ笑みを向けた。
それを聞いてはるもつられて笑顔になる。
「えへへ〜」
それも束の間、帝釈天の顔が一変して真顔になった。
『はるよ…最後にもう一度聞く。
本当に良いのだな?以前話した通り、その先に』
「天ちゃん。私の気持ちは変わらないよ。」
帝釈天の言葉を遮るはる。
「その先がどんな結果になったとしても……。それに、そのために私は頑張ったんだから!」
顔は笑っているが、決して軽い気持ちで言っているわけではない。
(聞くまでもなかったか……)
初めて会ったときと同じ輝き。
帝釈天は、はるの魂の強さを改めて認識した。
『そうか…』
少し懐かしそうな、でも寂しそうな表情をする帝釈天。
『では最後に、お主に名前をつけなくてはな。』
頭にハテナが浮かぶはる。
「名前?私ははるだよ??」
『はるはうさぎの魂の名前じゃ。お主は人間の魂へと転換し転生する。魂の生まれ変わり。名前を変える必要があるのじゃよ。』
「ん???」
難しい話がよくわからず、理解ができていないはるに、帝釈天はいつも通り簡単に説明した。
『新しい姿に変わるから、名前も変えないとダメってことじゃ』
「なるほど!……でもずっとはるだったし…」
理解はできたが、今更名前が変わることに少し戸惑うはる。
『ふむ……ならば【はる】を残そう。
例えば………【こはる】……はどうじゃ。』
「こはる…うん!かわいい!」
名前を可愛いと褒められて、少し嬉しくなった帝釈天だったが、それを悟られないよう淡々と話を続けた。
『次は苗字じゃな。う〜む……そうじゃな….』
こはるは目をキラキラさせながら帝釈天の言葉を待っている。
名前を絶賛された故、はるの期待を肌に感じて余計に悩む帝釈天。
(なんかプレッシャーが………)
悩み抜いた結果
(月……まぁある意味ここが生まれ変わりの家みたいなものなのか…月ノ城…月城……ふむ。)
考えがまとまった帝釈天。
『【月城こはる】。お主の名前は今日から月城こはるじゃ。』
「月城こはる….わかった!」
嬉しそうにその場で軽くビンキーをするこはる。
「はるって言う名前はね!ゆきとくんがつけてくれた名前なんだ!」
「それに天ちゃんが付け加えてくれて月城こはる!!」
「2人は私の名付け親だね!2人とも大好き!」
帝釈天の胸が、わずかに揺れた。
【大好き】
この言葉を言われて嫌な気になる人などいないだろう。
帝釈天ももちろんそうだ。
ついドキッとしてしまったが、今日は威厳を示さないといけない日。
表情を崩さぬよう、必死に務めた。
『……ちょうど明日がお主の命日か。』
『こはるよ。今日の夜中に儀式を行い、明日の命日に転生を行う。それまでよく休んでおくと良い。』
2021年1月1日。
こはるの転生が決まった。
待ちに待った転生に大喜びのこはる。
「はい!」
(….やっと雪斗君に会えるんだ…!!)
大きな返事をし、部屋を後にするこはる。
玉座の窓から空をみる帝釈天。
『いよいよ……じゃな……』
竜崎
そこに浮かぶ地球を
静かに眺める帝釈天。
その表情を、誰も知ることはなかった。