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Episode 9『君の秘密に触れた夜』
月が高く昇り、カーテンの隙間から冷たい光が差し込む夜。
静まり返った部屋の中で、シャワーの音が止まった。
「ふぅ……」
バスルームから出てきた日帝は、肩にかかったタオルを無造作に払う。
濡れた髪から滴る水が、鎖骨をなぞって落ちていく。
……その瞬間だった。
「……日帝ちゃん」
ベッドに腰掛けていたアメリカが、低い声で呼ぶ。
その目は、何かを見逃さなかった。
「……っ」
バスタオルの隙間から――
日帝のフードの中に隠された“猫耳”が、ぴくりと震えたのだ。
「今……動いたよね、それ」
「……見てない、よな?」
「いや、見た。バッチリ」
アメリカは立ち上がると、ゆっくりと歩み寄る。
逃げようとした日帝の肩を、優しく、でも確実に押さえて。
「俺だけには、隠さなくていいんじゃない?」
「……これは、お前に見せるようなもんじゃない」
「違う。俺“だから”見せてよ」
その声は優しく、けれどどこか甘く濁っていた。
我慢してきた想いと欲が、滲んでいる。
「っ……バカ……っ」
「バカでいいよ、俺は日帝ちゃんの全部が欲しいから」
言葉とともに、アメリカの手がゆっくりと日帝のフードに触れる。
ためらいながらも、そのまま外されて――
ふわっと現れた、柔らかそうな猫耳。
「……かわ……」
「言うなっ……!」
恥ずかしさに耳がぴくぴく揺れて、顔を真っ赤にしてそっぽを向く日帝。
その仕草が、またアメリカの理性を削っていく。
「俺以外には絶対見せるなよ」
「見せるわけ、ねぇだろ……!」
「だよな」
強く抱きしめたその腕の中で、日帝の体が少しだけ震える。
でも、拒まない。
「耳……触って、いい?」
「……変態」
「うん、日帝ちゃん限定の変態だから」
くすぐるような囁きとともに、アメリカの指が猫耳に触れた瞬間――
日帝の体が、ピクリと跳ねた。
「や、っ……そこ、敏感だから……!」
「……じゃあ、いっぱい触る」
耳の先を撫で、根元をそっと揉む。
甘い声が、何度も何度も漏れていく。
「ねぇ、日帝ちゃん。俺だけの子になってよ」
「……もう、とっくに……なってる、だろ……」
「じゃあ、もっと証明させて」
言葉の意味を理解した瞬間、日帝の頬がさらに染まった。
けれど、その目は――少しだけ、濡れていた。
「……好き、だよ」
アメリカが囁いたその言葉に、
猫耳がふるふる震えて、小さな声が返ってきた。
「……俺も、だよ……ばか……」
その夜。
誰にも見せない、ふたりだけの秘密が、
月の光の下でそっと溶けていった――。