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『しょーたくん、大好きっ!』


「大きくなったら結婚しようねっ!」


『うん!』




そう言って絡めた小指、ぽっぺにしたキス、




翔太は覚えてるの?




約束したじゃん、




ずっと、待ってるのに。




私は、この物語の主人公にはなれないんだ。




『翔太おはよう!』


「おはよ」




小さい頃からいつでも一緒にいた、私の大好きな人。




ねぇ、私じゃダメなの?




“翔太くんおはよっ!”




最近隣のクラスに転校してきた女の子、すごく可愛くて私なんかより何倍も愛想がある、女の私でも憧れるくらい完璧だ。




たまたま家が近くて、途中から三人で行くことになっている。




「おう、」




そんな彼女に対し、翔太は少し顔を赤らめて答えた。




そう、翔太は彼女の事が好きなんだ。




教室に入る時、彼女はまたねと優しく微笑んだ。




「じゃ、また」




と少しぎこちない翔太に、思わず笑ってしまった。




教室の中へ入り席に着くと、私の前の席の彼は振り向いて話し出す。




「今日いつもと違う匂いだったよね!?」


『知らないよ、』


「相変わらず可愛いかったなー」


『へぇ、』




まるでお前とは違って、とでも言いたげに話す翔太にムカついて、興味無さそうに答える。




私がどんな気持ちで聞いてると思ってんの、




その言葉をぐっと飲み込み、こう言ってみた。




『じゃあ告白すれば?』




彼はそれを聞いて、一瞬止まってから首をぶんぶんと振って答えた。




「無理無理、俺が告白なんて」


『それじゃ彼氏できちゃうかもよ?』


「それはっ、」




告白するのが怖いんでしょ、振られるかもしれないからね。




でも私は知ってる。相手も翔太の事が好きだって、そんな仲でもないし直接言われたわけでもないけど、見てれば何となくわかる。




けれど、こんな事絶対言わない。だってほんとに付き合っちゃうかもしれないから。




二人の恋を邪魔したいとは言わない、ただ翔太はずっと私だと思ってたから、それが崩れるのが嫌なだけ。




「、、、」




どうしよ、ちょっと気まずくなっちゃった。




その時ちょうどチャイムが鳴った。彼は何か言いたげだけど、黙って前を向いた。




放課後、いつも通り三人で帰る予定だったが私が委員会の仕事があったため先に二人で帰ってもらうことにした。




本当は嫌だけど、




私は急いで終わらせ走って帰った。間に合うわけないけど、




結局誰とも会うことなく家にたどり着いた。




ベットに飛び込み、大きなため息をつく。




すると、ピコンと携帯が鳴った。翔太からだ。




恐る恐る通知を開くと、今までの事を後悔した。




「俺、付き合うことになった!」




もう最悪だ。




次の日、私は一人で学校に行った。一人だとやっぱり寂しいな、




少し早く着いたため教室にはほとんど人がいない。




はぁ、退屈だ。




『ぁ、』




たまたま外を眺めていたら、二人の姿が見えた。見つめ合っては笑いあって、幸せそうだな、




カーテンを閉めて、席に戻る。




机に伏せて、疲れたから少し寝ようかなと思った。だが、すぐに廊下から聞き馴染みのある声が聞こえて、目が覚める。




「〇〇おはよー!」




やけに機嫌がいい。




「どうしたのお前、元気ねーじゃん」




誰のせいだと思ってんのよ。




『別に、そんなことないよ、』




無理やり笑う気もなくなり、少しキツく言ってしまった。




「なんか、怒ってる、?」




もう質問に答えるのもめんどくさくなって、




『なんでもないから』




と言い、前を向かせた。




そしてまた机に伏せて、ため息が漏れた。




今日はそれから一回も話さなかったな。それは次の日も、その次の日も同じでしばらく続いた。




時々話す内容といえば彼女の事ばっか。




毎日二人で登校して、二人でお昼ご飯を食べて、二人で帰る。ずっと一緒にいた。




だけど、今日は少し違った。




朝いつものように学校へ向かっていると、一人でいる翔太を見かけた。




今日は休みなのかなと思い、翔太に話しかけてみた。




『おはよう!今日はひとり?』




そう聞くと、黙って頷いてからこう言った。




「振られちゃった」




彼はそんな暗い告白を少し鼻で笑って言った。




は、なんで?




『なんで別れたの?』




そう言うと私の顔を見て話し出した。




「彼女といる時、ここ〇〇と行ったらとかこれ〇〇と食べたらって思っちゃってたんだ」


『え?』


「俺、一番大切なやつが近くにいるの忘れてたわ」




そう言って、照れ隠しなのかそっぽを向いた。




なんで今なの、




『遅いよ、ばーか』


「ごめん、」




それから下を向いた彼に抱きついてみせた。




私はこの物語の主人公になれたのかな。




~fin~

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