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2024 11⁄11 20時43分 投稿
2024 11⁄18 13時35分 戦闘職業追加
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この話から、ステータスを載せる話には題名の横に◇を、所持品を載せる話には◆を載せるようにします。
※ここで言う「題名」は話の一覧ページに載る題名のことを指しています。
本文の一番上に載せてある題名にはマークを付けません。
◆◇◆◇
俺の身体が完全に扉の内部に入ると、扉の外に再び散らばっていた石が浮かび上がって扉を塞いでいくのと同時に、扉がゆっくりと閉まり始めた。
そして扉が完全に閉まる直前、ガルードがにやっと笑ったのが見えた。その笑みは、まるで何かを企んでいるように見え、俺の胸の中に不安が広がる。
「……なんだ、あの笑いは?」
不安を感じながら、視線を扉に向ける。
だが、もう既に扉は完全に閉じられていた。
暫く俺は扉の前から動けなかったが、背嚢の中からアルの鳴き声が聞こえてきて我に返り、深く考えてもしょうがないと思い、とりあえず背嚢の中身を確認することにした。
背嚢の中ではアルが丸くなって寝ている。そのメルヘンチックな世界観に少しほっこりしつつ、俺は背嚢の中身を確認し始めた。
背嚢(小)
使用容量・11 / 25
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フレリア銀貨×25
フレリア金貨×5
フレリア白金貨×2
ステータス本×1
モンスターの乾燥肉×36
櫟松明×1
紋章箱×1
ガラス瓶×3
麻服・上×1
麻服・下×1
ガルードの槍×1
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この世界に来てから初めて今持っている持ち物を確認して、意外と物資が揃っているようで驚いた。
そしてその物資の殆どが以前女神セリアから貰った物と、城塞都市フィルアで確保した物だった。
俺はあの頃の安定した生活を思い出しながら、ガルードの槍を手に取って数回振ってみた。
すると、思っていたよりもずっと軽くて驚いた。
これなら、普通に使いこなせそうだ。
槍を振り回してにやにや笑っている俺の背後で、アルが背嚢の中で身体を起こし、あくびをしながら不思議そうにこっちを見ていた。
◇◇
迷宮は松明の明かりで薄暗く照らされ、壁は石レンガのような物が重ねられて出来ている。結構頑丈な作りをしていて、少なくとも崩壊の危険性はなさそうだ。
そして段々と奥に進むにつれて、不気味な静けさが漂い始めた。聞こえる音は、俺とアルの足音だけだ。
「モンスターも怖いけど、何も聞こえないのもそれはそれで怖いな、、、」
そうして少し警戒しながら進んでいくと、突然目の前が開けた。
そして俺の目の前には、巨大な円形の縦穴が広がっていた。
俺はその壮大な光景に思わず身震いしながら、ゆっくりと縦穴の縁へと歩いた。
縦穴に近づくにつれて穴の中から流れ出てくる冷気が濃くなってきた。
そしてその縦穴の壁に沿うように、石製の階段が螺旋状に地下深くまで続いていた。
その階段には一定の間隔で、僅かに淡いオレンジ色の炎を灯している松明が嵌めてあった。
どうしてこの無数にある松明が今まで消えなかったのか疑問に思ったが、深く考えてもしょうがないと思った。現に、俺の背嚢の中に入っている松明もずっと燃えてるし。
あの松明、不思議なことに熱くないし触れたものも燃えないから、背嚢の中に入れて持ち運びできるんだよね。便利なものだ。
光源は問題なさそうだが、やはり長い間使われていなかったのか階段は苔生し、所々ひび割れている。
俺は不死だからとりあえずは大丈夫だと思うが、流石に階段が崩れたらアルを助けられる保証はない。アルと一緒に降りるのは危険か。
「……アル、少し待ってていてくれ。」
俺は足元で俺を見上げているアルに声をかけると、アルは小さく「ニャー」と鳴いてから地面に背中を丸めて座り込んだ。
だが、顔を少しだけ上げ、俺を見つめている。
そんなアルを見て、ふと、もしかしたらもう戻ってこれないかもしれない。と、そんな考えが俺の頭をよぎった。
だが、俺はそんな考えを振り払って、背嚢からモンスターの乾燥肉を取り出してアルの近くに5枚置き、深呼吸を一つしてから、覚悟を決めて階段に脚を踏み出した。
そして段々と階段を下りていくと、次第に冷気が濃くなって空気が湿っぽくなり、圧迫感が増してくる。
暫く階段を降りていった時、突然脚を置いていた場所の階段が崩れて下も見えない程深い穴へと吸い込まれていった。
もしかしたらああなっていたのは俺だったのかもしれない。
そんなことが頭をよぎって、そこからはより一層慎重に階段を降りていった。
そしてどれほど階段を降り続けただろうか。ようやく、床が見えてきた。
思わず俺は床の上に敵がいるのではないか、と目を凝らしたがそこにいたのは敵ではなく、ただひたすら静けさだけが漂っていた。
念の為槍を握りしめながら床の所まで降りてきて、円形の床の中心に歩いていったその時、突然地下から岩が崩れるような音がし始めた。
「、、、!」
逃げる暇もなく、前方の床が震えだす。まずは一番手前の床が微かに揺れ、続いて不気味な音が響くと、床の割れ目から大きな手が現れ、ゴツゴツとした巨大なモンスターが姿を現した。
「やっぱりかよ、、、!」
なんとなく予想が出来ていたお陰か、俺はモンスターが床を割って出てきた瞬間に攻撃を仕掛けることが出来た。
そして地面を割るようにして出てきたモンスターは、巨大な岩のような皮膚を持つ、ファンタジーとかの物語でよく出てくるゴーレムのような見た目だった。体高は推定でも2mを超え、無骨な手足がゆっくりと動き出す。
そして、勢いよく槍を持って突撃した俺に対して右手をかざしてきた。
そして鉄と岩がぶつかり合うような鈍い音がして、完全に俺は攻撃を止められてしまった。そして完全に隙が出来てしまった俺に向かって、反対の重い拳を真っ直ぐに振り下ろしてきた。
「くそっ、、、!」
間一髪、俺は槍の柄でその攻撃を受け止められた。
しかし、その衝撃で俺の腕が痺れた。見た目からして想像できていたが、やっぱりとてつもない力だ。
だが、それ以上にこの槍が壊れなかったのが驚きだ。槍を通してでもあの衝撃だ。普通に鉄を粉々にするくらいの力はあってもおかしくない。
だが、そんなことに怖気づいている暇はない。
槍を握り直し、急いで間合いを取る。ゴーレムは攻撃の構えをしただけで、追撃を繰り出してこない。
さっきの攻撃の感触的に、攻撃が通用している感じではなかった。やっぱり、槍で仕留めるのは難しいのか、、、?
そんなことを思いながら俺は槍を再び構え、再びゴーレムへと突進していく。
右からゴーレムの腕が、俺を薙ぎ払おうとしているのか、地面スレスレに飛んでくる。その気配にいち早く気づいた俺は、咄嗟に地面に踏み込んで跳躍した。
俺の爪先をゴーレムの腕の硬い感触が掠めたときは、流石に寒気がした。
そうして上手くゴーレムの攻撃を躱した俺は、地面に足がついた瞬間に光魔ルグナルの種族特性〈身体能力強化〉を活かして、ゴーレムの懐に飛び込むことに成功した。
そして真っ直ぐに握られた槍を、俺はゴーレムの胸部へ向けて思い切りぶん投げた。
そしてとてつもない程の勢いになった槍は岩を砕く音を響かせながら見事にゴーレムを貫通し、そのまま反対側の壁に轟音を立てて突き刺さった。
※ピコーン※投擲※スキル獲得※
※ピコーン※槍使い※戦闘職業獲得※
お、なんか獲得できた。スキルの方は名前からして、物を投げて攻撃するスキルかな。
あと、戦闘職業ってなんだ?後で確認してみるか。
ちなみに岩のような頑丈な身体を持つ流石のゴーレムも完全に身体を貫かれたら動けないらしく、地面に膝をついて動かなくなった。
そしてゴーレムの残骸は地面に潜り込むように沈んでいった。
そして完全にゴーレムの残骸が見えなくなると床の一部がゆっくりと光り、消失していった。そしてその下には再び階段がつながっていた。
「まだまだ先は長いな、、、」
俺は再び気を引き締めて次の階段へと足を進めた。
そして、さっきまでの階段よりも劣化が激しくなったように感じる階段をずっと降りていくと、再び同じような床が見え始めた。
そしてこの階層で出てきたモンスターは、空中に浮かび上がるようにして、冷気の籠もった煙を身体に纏わせながら音もなく床から現れたのは、黒い影のような、ヘビの形をしたモンスターだった。