⚠️太中&芥敦(本作品の五年後のお話です)
太、中→27 芥川→25 敦→21
※二組とも五年前に婚約(?)済。
芥敦にべびちゃんがいます。
太中多めです。
「だァざーーい!起きろ!」
『んぇーー……後五分だけ寝かせて………』
「駄目だ!手前の可愛い後輩に会いに行くんだろーがっ!」
私と中也が結婚して五度目の春。
私の可愛い後輩の芥川くんが、私よりも先に父親になった。
今日は其の御祝いを渡しに行く、と叩き起されたのが数分前……。
『ねぇ〜私と子作り……んぶっ!?』
「手前が父親なんて想像出来ねぇから辞めろ
朝食出来てるからさっさと食って支度しろ」
目の前でほかほかと湯気を立てる朝食達。
私の嫁はこんなにも素晴らしいなんて……♡
『中也〜これ美味し〜』
「そうかー、喉詰まらせんなよ」
『ねぇ中也〜!明日暇?』
「普通に仕事。明後日も」
『ちぇ、』
喉奥から出てきそうな言葉を味噌汁と一緒に飲み込む。
何時もの事だが、朝食は何時の間にか平らげてしまっていた。
『ご馳走様。
ねぇ、明日は休んでよ』
「無理だ。二日も休めると思うか?手前も働いて稼げ……
って…おい!皿を下げろ!!」
『はいはい、そんなに怒ってると背伸びないよ〜』
ぽん、と頭を数回撫でてから食器を下げて水をかける。
結婚して直ぐの時、洗い物をしようとしたらぶっ飛ばされたことがある。(太宰に任せたら皿と洗剤無駄になる。by嫁)
「置いとけ。早く着替えろ」
『矢張り、君は母親……』
「巫山戯んじゃねぇぞこの阿呆
俺は手前で手一杯だからな」
中也はそう言うと、浴室に籠ってしまった。
芥川「太宰さん、中也さん!お久し振りです」
『元気にしてたかい?』
芥川「ええ、お陰様で」
数年振りに会った芥川くんは前よりも幾分か顔色がよく、健康そうに見えた。
芥川「どうぞ、少し散らかっていますが」
「どうも」
中也は小さくお辞儀をすると、私の手をそっと掴んだ。
小さな手を握り返すと、少し悲しそうな顔で私を見つめていた。
『如何かした?』
「……何でもねぇ」
芥川くんの後を追うように足早に靴を脱いで家に上がっていく。
帰ったら直ぐに慰めてあげようと思いながら、玄関で靴を脱いだ。
敦「太宰さん、お久し振りです
中也さん初めまして。敦と申します」
「……中原です。宜しく
これ、出産祝いです」
敦くんも芥川くんと同様に、顔色も良くて元気そうだった。
軽く挨拶をした中也は、敦くんの腕の中で眠る赤子をじっと見ていた。
芥川『この子が娘のあやめです。
菖には、希望だったり良い便りという花言葉があるんです。
良かったら中也さん、この子を抱いて頂けないでしょうか』
「……良いのか?」
芥川『ええ、座ったままで良いですよ』
芥川くんが敦くんから赤子を受け取ろうとすると、彼女は目に涙を浮かべ、じたばたと腕を動かした。
芥川くんはゆらゆらと躰ごと揺らしながら、座っている中也の前に屈んだ。
芥川『頭を確り支えてください。……そうです。手を離しますよ』
「初めまして。
……かわいい、」
芥川『中也さん……とてもお上手です』
中也は赤子を優しく撫でながらゆっくりと躰を揺らすと、先程までのぐずりが嘘のように、にこにこと笑っていた。
「ふふ、凄くいい子だなぁ」
敦「あやめが泣かないなんて……。
龍之介さんが抱くといつも泣いてしまうのに」
芥川『……辞めてくれ、悲しくなる』
仲睦まじく会話をする二人を見ながら、中也に躰を寄せて赤子の手に触れた。
「芥川、太宰にも抱かせてやってくれ」
芥川『勿論です。敦、頼んだ』
敦「分かりました。
ちょっとごめんねぇ
太宰さん、頭の所に手を確り添えてください!
……手離します」
『……あらら、そんなに嫌?』
赤子は私の腕から逃れるかのように躰を大きく反らせた。
しかし、中也が頭を撫でると、彼女は嬉しそうに笑った。
敦「中也さん凄いです……!あやめがこんなに安心してるなんて……」
「そんな事ないですよ。あやめちゃんはきっと美人さんですね〜」
彼女は中也を見つめ、小さな手で中也の指を握る。
彼はとても小さな手に握られた指を見つめ、嬉しそうに笑っていた。
一旦終わります。
あと一話続く予定です。
コメント
2件
あやめちゃん,わかってるねぇ…