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「今日は可奈ちゃんのお誕生日ね〜。」
そう言って手に持っていた花を花瓶に入れた。
「お誕生日おめでとう、可奈ちゃん。今日で13歳なのね〜。」
切ない目をしながら彼女は言う。
「ほら、可奈ちゃんの大好きな熊のぬいぐるみさんよ〜。」
と、バッグから可愛いピンクのリボンが結ばれた小さい子熊を棚に置く。
「なーんて。可奈ちゃんはもうそんな歳じゃないわよね〜。」
独り言を呟きながら彼女は私が寝ているベットの上に乗り、私の手を取り、彼女の頬にあてる。
「可奈ちゃんの手はあったかいね〜。」
なんて言いながら、目に涙をためて言う。
「そろそろ帰ってきてよ…。」
と言いながら、彼女は私の顔に雫をこぼして、
「…。」
無言で涙を流す。
「じゃあそろそろ私は帰るわね〜。」
と呟きながら病室を出ようとする彼女を私はただ横で見守るしかなかった。
「…早く元気になってね、そしたらまた一緒に遊んでね。」
なんて言って、彼女は病室を出た。
そんな彼女を見送った私は、
「私だって貴方と遊びたいよ…。」
と呟きながら彼女と同じように、
一粒の涙をこぼした。