テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
最初に向かったのは、植物園だった。
平日の午前中ということもあり、人はそれほど多くない。
色とりどりの花が咲き、緑の香りが優しく漂っている。
「きれい。」
渡辺は自然と笑顔になった。
宮舘はそんな横顔を見つめる。
「翔太。」
「花より翔太の方がきれいだね。」
「……っ!」
渡辺は立ち止まり、真っ赤になる。
「だから!」
「そういうこと普通に言うな!」
「本当のことだから。」
宮舘は穏やかに微笑むだけだった。
「もう知らない。」
渡辺は少し早足で歩き始める。
宮舘も笑いながらその隣へ並んだ。
「怒った?」
「怒ってない。」
「照れてるだけ。」
「知ってる。」
その返事に、渡辺はまた顔を赤くした。
___________
温室へ入ると、一面に色鮮やかな花々が咲いていた。
渡辺はスマホで写真を撮る。
「涼太。」
「一緒に撮ろう。」
「もちろん。」
二人は人の少ない場所で肩を寄せ合い、自撮りをする。
一枚。
二枚。
三枚。
どれも自然な笑顔だった。
写真を確認した渡辺が小さく笑う。
「涼太。」
「今日ずっと笑ってる。」
「翔太と一緒だからね。」
宮舘は何でもないことのように答える。
「……反則。」
「ん?」
「その返し。」
渡辺は小さく笑いながら宮舘の腕を軽く叩いた。
___________
植物園を出る頃には、お昼が近付いていた。
近くの商店街を歩いていると、小さなソフトクリーム屋さんを見つける。
「食べる?」
宮舘が聞く。
「食べる。」
渡辺は即答した。
二人は一つずつソフトクリームを受け取る。
歩きながら食べていると、不意に宮舘が笑った。
「翔太。」
「口。」
「え?」
渡辺が首を傾げる。
「クリーム付いてる。」
「うそ。」
慌てて口元を触る渡辺。
「反対。」
宮舘は笑いながらハンカチを取り出し、優しく口元を拭いた。
おその★
5,350
おその★
21,025
#⛄️
kaede🍁
79,808
「はい。」
「これで大丈夫。」
渡辺は恥ずかしそうに俯く。
「……子どもじゃないんだけど。」
「今日は甘えていい日。」
宮舘はそう言って微笑む。
渡辺は照れながら、小さく笑った。
「じゃあ。」
「今日は甘えとく。」
「うん。」
「いくらでも。」
宮舘の返事は迷いがなかった。
___________
時計を見ると、もうすぐ正午。
「そろそろお昼にしようか。」
宮舘がそう言うと、渡辺は嬉しそうに頷いた。
「今日はどこ行くの?」
「秘密。」
宮舘は意味ありげに笑う。
渡辺は不思議そうに首を傾げながらも、その表情はどこか嬉しそうだった。
___________
宮舘が案内したのは、落ち着いた雰囲気の和食店だった。
個室へ通されると、渡辺は少し驚いたように周りを見渡す。
「予約してたの?」
「うん。」
「今日はデートだから。」
宮舘は穏やかに微笑んだ。
___________
料理が運ばれてくる。
旬の食材を使った色鮮やかな料理に、渡辺の目が輝いた。
「すご。」
「美味しそう。」
宮舘はそんな渡辺を見て嬉しそうに笑う。
「いっぱい食べて。」
「翔太が美味しそうに食べる顔、好きだから。」
「……またそういうこと言う。」
渡辺は照れながらも箸を進めた。
「これ美味しい。」
「本当だ。」
「今度家でも作ってみようかな。」
「涼太が作ったら絶対美味しい。」
二人は料理を分け合いながら、穏やかな時間を過ごした。
___________
昼食を終えると、二人は近くのショッピングモールへ向かった。
「翔太。」
「何か欲しいものある?」
「うーん。」
「今日は見るだけ。」
そう言っていた渡辺だったが、雑貨屋の前で足が止まる。
店内には可愛らしい食器やアロマ、インテリア雑貨が並んでいた。
「これ可愛い。」
渡辺が手に取ったのは、赤色のマグカップ。
「涼太の色。」
宮舘は隣に並ぶ青色のマグカップを手に取る。
「じゃあこっちは翔太。」
「……ペア?」
「うん。」
渡辺は少し照れながら笑った。
「買おう。」
「毎朝これでコーヒー飲もう。」
宮舘も嬉しそうに頷く。
「そうしよう。」
___________
買い物を終えた二人は、モールの中にあるゲームセンターへ。
「久しぶりじゃない?」
渡辺が笑う。
「学生みたい。」
「たまにはいいかなと思って。」
宮舘がクレーンゲームを指差す。
中には白い犬のぬいぐるみが並んでいた。
「翔太。」
「あれ好きそう。」
「可愛い。」
宮舘はすぐに百円玉を入れる。
一回目。
失敗。
二回目。
惜しい。
三回目。
ぬいぐるみが見事に落ちた。
「取れた。」
宮舘はぬいぐるみを渡辺へ差し出す。
「はい。」
渡辺は目を丸くする。
「俺に?」
「もちろん。」
「今日の記念。」
渡辺は嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめた。
「ありがとう。」
「大事にする。」
___________
その後は映画館へ。
二人で恋愛映画を観ることになった。
感動する場面になると、渡辺は静かに涙を拭う。
上映が終わり、館内の明かりがつく。
宮舘は何も言わず、そっとハンカチを差し出した。
「……泣いてない。」
「うん。」
「じゃあ、このハンカチはいらない?」
「……使う。」
渡辺は照れ笑いを浮かべながら受け取る。
「やっぱり泣いてるじゃん。」
「うるさい。」
宮舘は笑いながら渡辺の頭を優しく撫でた。
___________
映画館を出ると、時計は午後四時を少し過ぎていた。
空はゆっくり夕焼け色へ染まり始めている。
「翔太。」
「もう少しだけ付き合って。」
「ん?」
「今日最後の場所。」
「まだあるの?」
渡辺は笑う。
「今日は本当に盛りだくさんだな。」
宮舘は優しく微笑み、渡辺の手を取り歩いた。
コメント
1件
二人のデートに終始頬が緩みっぱなしでした!「花より翔太の方がきれい」って、そんな台詞を自然に言える宮舘さん、反則ですよ〜。ソフトクリームの口元を拭くシーンとか、ペアのマグカップ選びとか、一つひとつの仕草に優しさが詰まっていて、読んでいて温かい気持ちになりました。渡辺さんの照れ顔が目に浮かぶようです🌷