別世界のすまない先生こと、アクアは軽く現実逃避をしていた。理由は・・・
「おいX!!僕の方が多く倒してただろ!!」
「はぁ!?貴様より余の方が多く倒したわ!たわけ!!」
目の前で、自分そっくりなすまない先生とアクアのいた世界にもいたエックスそっくりなミスターXが洞窟内に響くようにぎゃあぎゃあ喧嘩していた。
どうしてこうなったかと言うと、数時間前・・・
✵✵✵✵✵
「ミスターすまない!!勝負だ!!」
突然静かな教室に響く大きな声に、アクアはビクッとなる。それにすまない先生は答えた。
「また来たな!?ミスターX!!」
と、すまない先生も立ち上がり、2人は睨み合う。それにアクアはポカンとしていた。
「え、君たち、仲悪いね!?」
そのアクアの叫びにすまない先生どころか、ミスターXもアクアを見た。
「・・・ん?・・・貴様・・・すまないそっくりだな?」
と、Xはじっとアクアを見た。それにアクアはこそばゆさを感じつつ、答えた。
「え、えっと、僕は、アクアです・・・」
「ほぅ・・・?」
じっとミスターXの赤い瞳にアクアは軽く困惑していると、
「X!!アクアを困らせるな!!」
「ゔッ!!」
すまない先生がXの頭にゲンコツを食らわせた。かなりいい音が鳴ったが・・・
「痛いでは無いか!!やめろ!!その馬鹿力!!」
「馬鹿力!?お前が貧弱なだけだろ!!」
「言ったな!?貴様!」
「なんだよ!!」
「あ、あの二人とも・・・それくらいに・・・」
すると、ヒートアップした2人はアクアの話が耳に入ってないらしく、洞窟で勝負することとなったのだった。
これが数時間前の出来事である。
✵✵✵✵✵
(・・・こっちのミスターエックスと、僕って仲悪いんだなぁ・・・)
と、アクアは軽くはぁとため息つき、顔を上げた。すると、
じっ
「うわっ!?」
顔を上げた途端、Xがじっとアクアを見ていた。そして、すまない先生の方へ顔を向け、答えた。
「・・・貴様ら、兄弟とかか?」
「「は?」」
思わずアクアとすまない先生は同時にこぼした。
一応、別世界からのすまない先生。ということは伏せているのだ。
「いや、兄弟じゃない。なんでそう思うんだ?」
「・・・よく分からないが・・・どうも2人はとても余から見ればおなじに見えるんだ」
「目可笑しいんじゃないの?よく見なよ、アクアは髪の毛が長いし、着てる服だって、英雄の服に似た真っ白な服じゃん。どこも僕に似てなくない?」
「見た目の話ではない・・・余にもよく分からないが、貴様らは兄弟、双子というよりかは、まるで“同一人物”に見える」
その言葉にアクアはギクリとした。
(・・・こっちのエックスは、勘が鋭いな・・・)
すまない先生はどうする?というように目線を向けた。もう隠すのはムズいと感じたアクアは口を開いた。
「・・・実は」
ヒュッ
「ッ!避けろ!!」
すまない先生の言葉に、ミスターXとアクアはその場から飛び避けた。すると、そこには数本の矢が突き刺さる。
顔を上げると、大量のスケルトンが弓矢を向けていた。
次の瞬間、スケルトンが矢を放つ。それをすまない先生とXは盾で矢を防ぐ。
「ぐっ・・・!!」
「なんだこの量は!!スポナーでもあるのか!?」
ふと、アクアの視線の先には、スポナーが。
「あ、あそこ!!」
「・・・!本当だ・・・!!」
「だが、どうやってあそこまで?」
すると、アクアは立ち上がる。
「“僕が行くよ”」
「!?無茶だ!!こんな矢の中行けるわけないだろう!!」
そうXがアクアを止める。だが、アクアはニコッと笑う。
「大丈夫だよ!僕、何気に強いんだ」
そういい、アクアは矢の雨を一直線に突っ切る。
「おいバカ!!すまない!!止めなくていいのか!?」
思わずXはそう叫んだ。それに、すまない先生は答えた。
「・・・前に、すまないスクール宛に、ピリジャーの前哨基地全滅依頼が来たんだけど」
「こんな時に何話してる!?」
突然話始めるすまない先生に、Xは思わず声を荒らげた。だが、すまない先生は続けた。
「・・・そん時さ、アクアがその依頼書見て、アクア単独で勝手に乗り込んでったんだよね」
「は?」
ピリジャーとは、邪悪な敵対MOBの一種で、クロスボウで攻撃してくる厄介な敵。そのピリジャーがいる所が前哨基地。
一体一体が強く、厄介なMOBだ。
「・・・勝手に乗り込んで行って数分で帰ってきたんだよ。・・・“無傷”でね」
「・・・は?」
「・・・前に手合わせをしてもらったことあるけど、彼はかなり強い、僕が押し負けるほど」
すまない先生はギュッと盾を持つ手を強く握りしめた。
「・・・驚いたよ、あんなに恐ろしいと思ったのは、ヤマタノオロチ以来初めてだった。」
Xはその話にただ絶句していた。







