コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
アクアは矢の雨の中を突っ切る。だが、自分に飛んできた矢は全てダイアモンドの剣で切り落とす。
それはまるで、舞うかのように、矢の雨の中を進む。
そして、数体スケルトンを切り倒した。
その勢いのまま、アクアはスポナーの所まで一直線で突き進む。
着いたと同時に、アクアはスポナーに向かって剣を振り下ろした。
バギッと割れる音が響いた。そして、残ったスケルトンを一掃した。
すまない先生もXも、もう増えてこないスケルトンに対し、剣を奮った。
✵✵✵✵✵
「あー・・・きっっつ・・・」
すまない先生は剣のタングに顎を乗っけた。Xもゼェゼェ肩で呼吸をしていた。
「二人共、大丈夫?」
唯一アクアは何故かケロッとしていた。
「・・・もう何体倒したか分からない・・・」
「疲れた・・・本当に疲れた・・・」
ぐったりしている2人に、アクアは苦笑していた。
だが、その2人の後ろには、どこから来たのかクリーパーが爆発寸前だった。
「っ!!」
アクアは2人を押し飛ばした。そして、押し飛ばした瞬間、
クリーパーが大爆笑を起こした。
「「アクア!!」」
すまない先生とXが慌てて駆け寄る。煙が晴れ、周りのブロックは粉々に。そして、アクアが倒れており、背中に大火傷を負っていた。
「アクア!!」
「おい!!治癒のポーションはないのか!?」
「ちょ、ちょっと待って!!たしか、ここに・・・」
と、すまない先生が自分のインベントリから治癒のポーションを取ろうとした。だが、
「あいたたたー・・・」
突然声が聞こえ、2人はギギギとアクアの方へ目を向けた。
うつ伏せに倒れているアクア。むくりと、顔を上げた。
「あー痛かったァ〜」
「「ぎゃあああああああああああああああっ!?!?」」
思わずXとすまない先生は大声を上げた。そんな2人に対し、アクアはと言うと、
「え、うるさw」
と、鼻で笑うかのように笑った。
✵✵✵✵✵✵
「だ、大丈夫なのか???」
思わずXがそう聞くと、アクアはケロッと答えた。
「ん?大丈夫だよ?にしても、あのクリーパーの爆撃を直で受けるとこんなに痛いんだなぁ・・・死ぬかと思った。まぁ、“死んだけど”」
サラッと言った言葉に、2人は目を丸くした。
「「死んだ!?」」
「うん、あれ?言ってないっけ?」
そして、アクアは答えた。
「・・・“僕は不老不死”なんだ」
そうアクアはハッキリ答えた。それに2人は言葉を失った。
「いつからって聞かれると、いつからなんて答えること出来ないかなぁ?僕、とある事情で大半の記憶無くしててさ、風夜くんから聞いたんだけど、いまいちピンと来てないというか、なんというか?」
と、アクアはペラペラ話すが、2人は言葉を失ったまま、ポカンとしていた。やがて、すまない先生ははっとし、叫ぶ。
「いや、その前に!!怪我は!?あの怪我じゃ・・・」
すまない先生はその先の言葉を紡げ無かった。なぜなら、
爆発を直に受け、大火傷を負った“はず”の背中は
“怪我一つ無かった”
それに2人は目を丸くした。先程赤黒くなっていた背中は傷ひとつ無い。服が一部焦げているから、爆発を受けたことはわかる。
「あ、悪いんだけど、アートルム達には内緒にしてて?アートルムにバレたらめちゃくちゃ怒られちゃう」
と、アクアは苦笑いでそう頼んだ。
✵✵✵✵✵✵
「あ、おかえりなさい」
と、アートルムがそう返す。帰ってきたころはもうすっかり夜になり、途中でXと別れたのだった。
「うん、ただいまー」
と、アクアは素通りしていく。ふと、すまない先生の様子が可笑しいことに気がついたアートルムは聞いた。
「どうしました?」
すまない先生は躊躇うように、アートルムの疑問に答えた。
「・・・あの、アクアって・・・本当に、不老不死なの?」
そのすまない先生の疑問に、アートルムは答えた。
「“そうですよ”」
と。たった一言。
「・・・本当に、不老不死なんて、いるんだ・・・」
「・・・あの人は、大昔、とあるモンスターを倒した際、不老不死の呪いを受けたんですよ」
「待って!?大昔!?いまアクアは何歳!?どう見ても僕と同い年に見えるけど・・・」
「さぁ?・・・彼自身も分からないらしいですよ。長く生きすぎて」
そのアートルムから伝えられた真実に、すまない先生はただ目を丸くすることしか出来なかった。
「・・・彼は、長い長い年月を経ったひとりで生きていました。その中では、私たちそっくりな生徒と出会い、看取りを繰り返し、心が壊れかけ、とある方法で全ての記憶を失ったのです」
「・・・失った」
「えぇ・・・ただの人間が“不老不死”になるとああなってしまうと風夜・・・ではなくて、ウィオラはそうこぼしてました。・・・たまに、不老不死を望む人間を見ますが、私たちにとっては、なんでそんな不老不死“なんてものを”求めるのか、意味が分かりません」
それは、少し冷たく、鋭い言葉のような気がした。
「・・・ところで、何故突然不老不死のこと?」
「・・・え、あ・・・ええっと・・・」
「・・・・・・」
しどろもどろのすまない先生に、察しがいったのか、アートルムは立ち上がり、アクアを追いかけた。
(ごめんアクア・・・)
軽くすまない先生は合掌した。