コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「そう、それがね、社長の親戚のお嬢さんとするみたいで。チーフには社長も期待をかけてるから、社長の紹介でのお見合いなら、もう昇進も決まってるんじゃないかって噂になってて」
「……そう……」とだけ返す。他になんて言えばいいのかわからなかった。
「……ごめんね、美都。言っても言わなくてもいいからって、アミも話してたんだけど……。でも社内で噂になってるぐらいだから、そのうち美都の耳にも入るかなって。それまで知らないでいるより、早めに知らせた方がいいかなとも思って……」
「うん、いいよ」と、辛そうな表情のエミに声をかける。
「言いにくいことを、ありがとうね。私は、大丈夫だから」
無理に笑顔を作って口にすると、チーフが『待っていてほしい』と言っていたのは、このことだったんだと、妙に冷静に感じた。
そもそも好きだと告白されてはいたけれど、その後に何かリアクションがあったわけでもなかったし、はっきり言えば交際を申し込まれたのにも関わらず、向こうから電話がかかってきたことすら一度もなくて、どういう意味だったのかなと私もなんとなく思い始めていた頃でもあった。
だからもし、お見合いの話が本決まりになりそうで、お付き合いのこと自体がうやむやになっているのなら、もういっそこのままにしておいてもいいかなとも感じた……。