テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
紫水 兄弟
朝のリビング。
ソファの上で毛布にくるまったこさめが、もぞもぞと動いた。
🦈「んー……」
まだ眠そうなまま目をこする。
時計を見ると、もう朝の八時半。
学校が休みの日だからとはいえ、なかなかの寝坊だった。
するとキッチンから声が飛んでくる。
📢「お、起きたか」
🦈「いるまくん……」
📢「兄ちゃんだろ」
🦈「いるまくん」
📢「直す気ねぇな」
いるまは呆れながら笑った
📢「朝飯できてるぞ」
「たべるー」
こさめはふらふら歩いてきて椅子に座った。
しかし。
三秒後。
机に突っ伏した。
🦈「ねむい」
📢「もう起きろ」
🦈「むり」
📢「起きろ」
🦈「むりぃ」
いるまはため息をつく。
すると突然、こさめが腕を伸ばしてきた。
🦈「充電」
📢「なんだそれ」
🦈「兄ちゃんパワー」
📢「そんなもんねぇよ」
そう言いながらも、いるまはぽんっと頭を撫でた。
すると。
🦈「元気でた」
📢「単純すぎるだろ」
昼過ぎ。
いるまは自室で作業していた。
静かだ。
妙に静かだ。
こさめが静かな時は大体ろくなことをしていない。
📢「……嫌な予感するな」
いるまは席を立った。
リビング。
いない。
キッチン。
いない。
ベランダ。
いない。
📢「こさめー?」
返事もない。
そして最後に自分の部屋へ戻ると――
📢「何してんだお前」
🦈「ばれた」
自分のベッドの下からこさめが出てきた。
📢「なんでそこにいる」
🦈「かくれんぼ」
📢「一人で?」
🦈「うん」
📢「虚しくならない?」
🦈「ならない」
こさめは真顔だった。
🦈「兄ちゃん探しに来てくれたし」
📢「……」
いるまは額を押さえる。
こいつ、本当に自由すぎるだろ。
📢「暇だったならゲームでもしろよ」
🦈「飽きた」
📢「じゃあ動画見ろ」
🦈「飽きた」
📢「散歩」
🦈「暑い」
📢「わがままか」
するとこさめは立ち上がって、にぱっと笑った。
🦈「だから兄ちゃんと遊ぶ」
📢「嫌な予感しかしねぇ」
その十分後。
いるまはソファに押し倒されていた。
📢「なんでだよ」
🦈「お昼寝」
📢「自分の部屋で寝ろ」
🦈「兄ちゃんのほうが落ち着く」
そう言って、こさめは上に乗り、勝手に腕を抱き枕にする。
完全に猫だった。
気まぐれで。
自由で。
都合がいい時だけ甘える。
📢「重い」
🦈「こさめ軽いもん」
📢「精神的に重い」
🦈「ひどい」
けらけら笑うこさめ。
いるまは呆れながらも頭を撫でた。
🦈「兄ちゃん」
📢「ん?」
🦈「アイス食べたい」
📢「さっき飯食っただろ」
🦈「別腹」
📢「便利な言葉だな」
🦈「買って」
📢「自分で行け」
🦈「暑い」
📢「……」
数秒の沈黙。
🦈「兄ちゃん優しい」
📢「圧かけんな」
🦈「兄ちゃん優しい」
📢「わかったよ!」
こさめは勝ち誇ったように笑った。
🦈「やったー!」
いるまは深いため息をつく。
結局いつもこうだ。
振り回されて。
甘えられて。
なんだかんだ言いながら面倒を見る。
でも。
嬉しそうに笑う弟を見ると、それも悪くないと思ってしまう。
📢「ほら、行くぞ」
🦈「うん!」
こさめは勢いよく立ち上がる。
そして玄関へ向かいながら振り返った。
🦈「兄ちゃん!」
📢「なんだ?」
🦈「だいすき!」
あまりにも自然な一言。
いるまは少しだけ照れくさそうに笑った。
📢「はいはい。俺もお前のこと大事だよ」
するとこさめは満足そうに笑って、先に玄関へ走っていった。
そんな後ろ姿を見ながら、いるまは思う。
――本当に手のかかる弟だな。
けれどその顔は、どこか嬉しそうだった。
リクありがと〜ございました
リク待ってまぁぁぁぁす
コメント
1件
みぅです🤍🥀 読了しました…! この2人の空気感、めっちゃ好きです。こさめくんの「兄ちゃんパワーで充電」とか、ひとりかくれんぼしてるのに「兄ちゃん探しに来てくれたし」って真顔で言うところ、完全にいるま兄ちゃんに心開いてる証拠ですよね…尊い。 最後の「だいすき」をさらっと言っちゃうところ、不意打ちすぎてやられました。いるまくんも照れながら「大事だよ」って返すの、最高すぎます。 リクありがとうございます…!またこの2人に会えるの待ってます🌙
藍翠 瑠蒼
38