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同棲し始めて2日目
なつとこさめは、とある重大な問題に直面していた。
🦈「お腹空いた」
🍍「空いたな」
🦈「ご飯ない」
🍍「ないな」
二人で顔を見合わせる。
コンビニに行けば済む話だ。
だが。
なつは急に立ち上がった。
🍍「作るか」
🦈「えっ」
🍍「料理」
🦈「えっ!?」
こさめが二度見した。
なつくんが料理?
聞いたことがない。
🦈「できるの?」
🍍「できない」
🦈「こさめもできない」
🍍「じゃあ二人ならできる」
🦈「その理論大丈夫!?」
大丈夫ではなかった。
でもなぜか二人ともやる気になってしまった。
スーパーで買い物を終えた二人。
メニューはカレー。
理由は簡単。
🍍「切って煮れば完成らしい」
🦈「簡単そう!」
だった。
そして現在。
開始五分。
🍍「こさめ」
🦈「ん?」
🍍「指切るなよ」
🦈「だいじょ――」
トンッ。
🦈「あっ」
🍍「早い早い早い早い!!」
なつが慌てて駆け寄る。
幸いほんの少し切っただけだった。
🍍「痛い?」
🦈「ちょっと」
🍍「ほら見ろ!どうしたこのじゃがいもの形は!」
🦈「だってじゃがいもが逃げた!」
🍍「逃げねぇよ」
じゃがいもは逃げない。
なつは絆創膏を貼る。
その手つきは思ったより優しかった。
こさめはじーっと見上げる。
🦈「なつくん」
🍍「あ?」
🦈「優しいね」
🍍「……普通」
耳だけ少し赤かった。
その後。
野菜を切り終えた。
たぶん。
おそらく。
きっと。
🦈「なんか大きさバラバラじゃない?」
🍍「個性だろ」
🦈「個性かぁ」
🍍「個性だ」
押し切った。
鍋に投入。
炒める。
ここまでは順調。
問題はその後だった。
🦈「水どれくらい?」
🍍「知らん」
🦈「えっ」
🍍「えっ」
沈黙。
箱の裏を見る。
🍍「千ミリリットル」
🦈「何それ」
🍍「知らん」
二人とも知らなかった。
結局スマホで調べた。
文明の利器は偉大である。
ぐつぐつ煮込んでいる間。
暇になった二人。
なつはソファに座り、こさめはその隣へ。
肩が少し触れる。
こういう距離にまだ慣れない。
沈黙。
気まずい。
いや、嫌なわけじゃない。
むしろ好きだから気まずい。
🍍「こさめ」
🦈「なに?」
🍍「近い」
🦈「嫌?」
🍍「そうじゃねぇ」
🦈「じゃあいいじゃん」
こさめがにへっと笑う。
そのまま肩にもたれた。
なつの心臓がうるさくなる。
🍍「……お前さ」
🦈「ん?」
🍍「距離感おかしい」
🦈「そう?」
🍍「そう」
🦈「でも恋人だもん」
🍍「……」
強い。
これは‥強い。
そして完成。
した。
見た目は。
まあ。
ギリギリ。
🍍「食うか」
🦈「食べよう!」
二人で手を合わせる。
🍍🦈「いただきます!」
一口。
もぐもぐ。
もぐもぐ。
沈黙。
🦈「……」
🍍「……」
こさめが先に口を開いた。
🦈「おいしい?」
🍍「聞くな」
🦈「おいしくない?」
🍍「聞くな」
お察しだった。
薄い。
妙に薄い。
そしてじゃがいもが異常に大きい。
🦈「失敗だぁ……」
こさめがしょんぼりする。
すると。
なつはスプーンを置いた。
🍍「でも」
🦈「?」
🍍「二人で作ったしな」
🦈「うん」
🍍「初めてにしては上出来じゃね」
こさめの顔がぱっと明るくなる。
🦈「ほんと?」
🍍「ああ」
🦈「次はもっと上手く作れるかな」
🍍「たぶんな」
🦈「一緒に?」
🍍「一緒に」
その返事が嬉しくて。
こさめは満面の笑みになった。
なつはその顔を見て、少しだけ笑う。
正直、カレーは微妙だった。
でも。
今まで食べたどんな料理より。
今日のカレーは少しだけ特別だった。
コメント
1件
いやあ、この回めちゃくちゃ好き! カレー作り、まあ当然のごとく大惨事でしょ(笑)。でも「二人で作ったしな」「一緒に?」の掛け合いに胸がきゅうっとなったわ。じゃがいもの個性理論とか、指切る前の「だいじょ――」の間の悪さとか、日常の解像度が高いんだよな。不格好でも特別な味になるってのが、同棲始めたての甘酸っぱさにぴったり。次は上手く作れるといいね、リベンジ編も待ってる🔥
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