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翌日。
城の一室、国王と仁人の父――それぞれの父親たちが揃って座る前に、勇斗と仁人は並んで立っていた。
「……で? 昨日はどうだったの?」
「ちゃんと話はしたのか? 食事の席は? 失礼はしてないか?」
堅い顔のまま立て続けに尋ねてくるふたりの父親。
仁人は、ぎゅっと肩をすくめて目をそらす。
「えっと……その……」
『うん、すごく良かったよ』
勇斗はそう言うと――ふふん、と得意げに胸を張って、
自分と仁人の「繋がれた手」を見せつけるように軽く持ち上げた。
『ほら』
「なっ……!?」
仁人は顔を真っ赤にして手を引こうとするが、勇斗はしっかりと離さない。
そのまま、指先を絡めて、にっこりと微笑む。
『俺から言わせてもらえば――完璧な初デートだったと思うけど?』
「い、言わなくていいですって……!」
仁人は耳まで真っ赤にして俯くけれど、
手を無理やり振りほどこうとはしない。
国王と仁人の父は、顔を見合わせて、
ふっと、小さく笑った。
「なるほどな……これは、もう……そういうことか」
「ははっ、いやぁ……まさか本当に気に入られるとは。まったく、うちの子は恥ずかしがり屋で……」
勇斗は嬉しそうに仁人の方をちらっと見て、
もう一度、優しく指を絡め直した。
『これから、ちゃんと俺が守るから。』
その言葉に、仁人は黙って小さくうなずく。
手のひらは、あたたかい。
心の奥まで伝わる、そのぬくもりはもう――誰にも壊せない。
「……恥ずかしい、けど」
「……でも、悪くないかも」
そうして、
一夜の奇跡は、確かな始まりに変わっていた。
繋がれた手が、ふたりの未来をそっと結んでいく。
これから、きっと何度でも――その手を握り直しながら。