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だいたい全部酒のせい。
嗅ぎなれた畳の匂いと、和室には似合わぬ甘ったるい匂い。それはその人が元から匂わせている香りなのか、それとも雰囲気故のものなのか。アルコールで麻痺している自身では判断がつかなかった。
机の上には散乱したワインボトルと焼酎のビン。グラスの内が紅と薄い琥珀色で染まる。それをグイッとふたりは飲み干し唇を重ねる。
甘い匂いがより強くなる。お互いの呼吸が入り交じり、唾液を交換する。年齢が年齢というものがあり、そこまで激しく求めたりはしないがやはりこういう機会を得るとやはり盛ってしまう。この人の漂う匂いに連れ去られないよう、熱で理性を焼かれないように精一杯に気を付けながら愛撫を繰り返す。
「んっ、ぁ、は、はなまる、さんっ、」
「…..ユーハン……」
あぁ、綺麗だ。赤く染まる頬、白く柔らかな肌、涙目な瞳、普段はストレートなのに今では乱れる黒と赤のグラデーション。白いシーツにも使い慣れた畳にも似合うのか。けれどそれを知っているのは己ただ一人。そんな独占欲に似た何かを抱きながら色男に触れる。
「もう、はなまるさん、っ」
「そうだな。….脱がすぞ」
ゆっくり、ゆっくり、焦らすように服を脱がしていく。トップスを脱がせ、ベルトを緩ませ、ボトムスを脱がせる。さり気ない愛撫も忘れず、髪、頬、首元。体の至る所に愛を落とす。赤い花は咲かせぬよう注意を払いながら口付けをする。「見えるところには付けないでくれ。」という可愛らしい恋人からの言葉はきちんと守り軽く触れるだけのキスを付けていく。我ながらなんで真面目なんだろう。流石はハナマル様だな。
付けたい気持ちは山々だが、要は”見えないところ”につければいいだけの話。自分にしか分からない綺麗な赤い花を付ければいい話。
そんなことを考えていると必然的な気分は上昇し、興奮が高まってゆく。それはユーハンも同じなようで、ゆるゆると俺の服を脱がし始めた。時々可愛く喘ぎ声を漏らしながら、快楽に身を震わせながらゆっくりと、一つ一つずつ。
ユーハンの服を脱がせながら熱を持った下半身に目をやる。この人もこの状況で、…いや、俺で興奮しているのか。上がりそうな口角を必死に抑えながら、今度は腹や脇腹二の腕などに唇を落とす。この辺りなら少しぐらい花を咲かせてもいいのでは。そんな思いで音を立てながら吸い付いた。
「ぁ…..」
綺麗な赤い花。満足感を覚えながら撫でる 。
….そろそろ直接的な部分に触れていいだろうか。興奮がままならないまま、この人の乱れた部分に触れようとする。
けれど次の瞬間、俺の興奮は一気に静まる事となった。
「…..あれ?」
「どうかしましたか….?」
「…..たってない」
「あらら?」
両者無言。体制を整えた俺とユーハンは畳の上でただただ座っているだけだ。乱れてた服も一旦着直し、飲む前の状況に戻る。さて、ここからどうするか….
興奮はしているくせに下半身が反応しないという矛盾した身体に若干の苛立ちを覚えている俺とは違いまじまじと俺の使い物にならない下半身を服越しに見つめるユーハン。それはどういう感情なんだ?
「…..なんでそんなに見つめるの?ユーハンちゃん」
「いやぁ、珍しいなと思いまして。今までこんなことなかったので。」
「….なかったよな。」
#女主
「そうですよね。もしかして歳ですかね。」
「年齢自体は俺ら変わってないだろ….」
歳のせいではないと訴えるがそもそも自身の年齢ら40代に近い。一応20代後半という年齢で通じるユーハンの前で、この言い訳は少しばかり苦しい気がする。それでも俺はまだピチピチの20代だと思っているためその言い訳を貫き通す。
…..まだ、大丈夫だよな、流石にそこまでないよな。….ピチピチの20代は無理があるが一応俺は30代半ばで通用するぞ….
色々考えている内に「人は30を超えたあたりから体力などが急激に衰えていく」 という言葉に覚えがあるのを思い出してしまった。…..いやいや、まさかな?というか冷静に考えたら原因は酒のせいだろ、と頭を振る。そんな俺に見向きにせずユーハンは俺の下半身をまじまじと見つめていた。
「なんですかね?もしかしてあれですかね、EDですかね?」
「え???」
「あらら?知りませんか?ED」
「いや…..」
「知らないですか。サルディス家に入るためならなんだってした頃に本で読んだんですけど、ED…勃起不全のことですよ。勃起障害とも言われますね。あぁ、歳を重ねるごとに多くの男性が経験するものですから、そこまで酷い病気とか難病という訳ではないですよ。そこは安心してくださいね。症状としては性行時に十分な勃起が得られないとか…。」
「いや違う、知らないって意味の「いや…..」じゃなくてだな、それは違うぞって意味の「いや…..」なんだよ。冷静に考えたら原因は酒だろ?」
「確かに、そうですね。」
恋人を勝手に不能にしやがって。俺の下半身を見ながらにこにこしながらEDの話をするユーハンを見て素直に思ってしまった。
この人は悪魔か。悪魔か。
そんな悪魔なユーハンも可愛らしいと思ってしまう。それは惚れた弱みだろうか、それとも俺がただ単純なだけだろうか。かと言ってこの状況を素直に受け入れてください。と言われたらそれはまた別の話。
ふんふんと愉快そうに鼻歌を歌いながら見つめるユーハン。酒のせいか、普段よりふわふわにこにこしているユーハン、これだけ見れば可愛らしいと思えるが、状況が全く可愛くないのだ。にこにこしながら見つめる先は俺の全く反応していない息子。一気に可愛らしさの欠けらも無い。
「はぁ……」
「そんなに落ち込まないでくださいよ、ハナマルさん。EDなんて年取れば大体の人が経験するんですから。」
「落ち込んでないし、EDのせいでもないから….。」
「あらら….」
「ねぇ、なんでそんなに残念そうなの?」
ただだでさえ掴めない人柄だというのにアルコールが入り交じっているから余計掴みにくくなっている。ふわふわ漂い、すり抜けていく。さながら空気のようだ。
と色々と考えているうちに段々と疲れが自身へ襲ってくるのを感じた。アルコール故の睡魔とも言えるだろう。どうしたものか、ふぅ、と深い息を吐く。
…と下半身に何かが触れている感覚。
「….おいおい待て待て、何してるんだ、ユーハンちゃん。」
「応援、してあげようかと思いまして」
「いらないなぁ、……」
「撫でたら反応しますかね?」
「嘘だろ….」
よしよ〜し。がんばれ〜。君なら出来るよ〜。などと呑気なことをいいながら本当に俺の息子を撫で始めるユーハン。眺めるだけには飽き足らずってか。本当にこの人は酒が入ったら予想を超えてくる。今回はアルコールの度数が強かったぽいからよけいに。普段は手袋で隠れてる白くて小さな手で俺のを撫でるユーハン。視覚から、感覚からも興奮が伝わるがやはりというか、今の俺には全く無意味な行動だった。今日はおそらくダメな日なのかもしれない。ユーハンと久々に飲めるから普段より飲むペースが早かったのが良くなかったのかもしれない。
「….たちませんね。私は元気な君が見たいんですけどね、ほらほらでてきてください。」
「そう簡単にでてこないっての….」
「うーん、困りましたね、優しい撫で方だからダメなんですかね。よしよしされるより荒めの方が好みですか?」
「急にSっぽいこと言わないでくれる?俺がドMみたいじゃん….」
「….それとも咥えてみます?」
「は?」
「うん。どうですか?」
ベルトに手をかけながら、真っ直ぐに俺を見つめるユーハン。何を言い出すかと思ったら。次に俺の言葉を発するまでの時間はおそらく数秒。それを永遠と錯覚してしまうくらいには混乱していた。
俺は永遠の時間から脱し、乾きを覚えた喉から声を絞り出す。
「なに、そこまでしたいの、?」
「うーん….そうですね。」
「何ここまで強引にしていたのに、随分と煮え切らない返事だな…無理しなくていいんだぞ?俺なら大丈夫だから。」
「別にハナマルさんの心配はしてません。」
「えぇ….」
何を言っているのか分からないとでも言いたげな表情をしながら平然とそんなことを言う。冗談ではあるだろうが(いや、本気だとした場合俺の心臓がきゅっと寂しくなってしまうため冗談であって欲しい。)、ただでさえアルコールで普段は掴みにくくなっているのに、そう分からない表情をしないで欲しい。そんな表情も可愛らしいし、好きではあるけれど。こう見ると普段のユーハンを見るとかなり分かりにくく表情を出さないように心掛けているのだろう。気疲れしないものなのか、いや今その話はどうでもいい。
「….俺の為ではないのね。」
「ええ…発散させてあげないと!とかそういう気遣いから来るものでは断じてないですよ。断じて。」
「いいよ、二回も言わなくて。寂しくなるから…えぇ?じゃあなんなの。」
「わたしのため。」
「ん??」
「私の、ため。」
….そう言い終えるや否や、唇を重ねられた。ちゅ、ちゅ、と角度を何度も変え何度も口付けしてくる。豚むような、軽いキス。その間も服の中に手を入れたり、耳元を撫でたりと様々な愛撫を捧げられた。いつの間にか体制が変わり対面座位のような姿勢になっていたことに気付いたのは互いの唇が離れた時だった。先程より距離が近づいたことにより再び甘ったるい香りが鼻をくすぐる
「…まだ、なにもしてないですよ?」
「….なにも?」
「達してもいないし、満足もしていないし。….このまま熱を籠らせたまま強制終了なんて冗談ですよね?」
「…..へぇ?」
服で阻まれていて肌に直接触れないのが嫌だったらしく、自分も脱ぎ始め、ついでに俺の服も脱がしていく。唇を重ねながら、ノールックで器用に。段々と口付けは浅いものから深いものへと変わっていく。水音、甘い匂い、互いの唾液。全て入り交じり、なんとも例え難い多幸福感と興奮が溢れる。けれどまだ足りない、まだ。それは目の前にいる男もそうだった。
「…俺一人じゃ、多分これはどうにも出来そうにないんだよね。」
「….はい。」
「頑張れそう?ユーハンが頑張ってくれるなら俺の息子もその内元気出てくると思うんだけど。」
「分かってますよ。生憎焦らしプレイは好みじゃないので。頑張らせて頂きますね?」
「さすが、頼もしいなぁ、」
「そうですか?…まぁ、頑張りますのでハナマルさんも私のこと触って、求めてくださいね?」
「言われなくても。」
案外たまにはこういうのも悪くはないかもな。と思いながら俺はアルコールに感謝しながら
目の前で頑張る可愛らしい彼が乱れてく様を俺は眺めることにした。