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「 黄ちゃん 、 お早う 」
駅の改札を出ると 、 後ろから声を掛けられた 。
ふわふわとした 、 優しい声 。
俺は振り返って 、 声の主に微笑みかける 。
「 緑先輩 、 おはよ ~ ございます っ 」
声の主 ____ 緑先輩が 、 目を細めてふわりと笑う 。
その優しい微笑みに 、 俺は自分の胸が高鳴るのを感じて 、 慌てて顔を逸らす 。
けれど 、 緑先輩はそんな俺の様子を気にする様子もなく 、 「 それじゃ 、 行こうか 」なんて言って歩き出す 。
綺麗な横顔をちらちらと見上げながら 、 俺は先輩の隣を歩く 。
… こうして並んで歩いていると 、 なんだか恋人のようで嬉しい 。
なんて考えが頭に浮かんだけど 、 俺は慌ててそれを振り払う 。
____ だって 、 緑先輩には 、 俺以外に好きな人がいるから 。
緑先輩の視線の先にはいつも桃先輩がいるのを 、 俺は知っている 。
… 少しくらい 、 俺のことを見てくれてもええのに 。
そんな苦い気持ちを抱きながら 、 俺は今日も緑先輩のことを目で追ってしまう 。
たとえこれが 、 叶わない恋だとしても 。