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第一話「大丈夫、は口ぐせ」
幼い頃。
「無個性だって!」
笑われても、押されても、物を隠されても。
緑谷はただ笑った。
「……大丈夫。」
泣きたいのに泣かない。
痛いのに痛いと言わない。
助けてほしいのに、誰にも言わない。
気づけば、それが当たり前になっていた。
雄英高校。
入学してからも変わらない。
爆豪に強い言葉をぶつけられても、
相澤先生に厳しく叱られても、
訓練で骨が軋むほど痛くても、
「平気です。」
その一言だけ。
誰も、本当は限界だなんて気づかなかった。
ある日の実戦訓練。
敵役との戦闘で腕を強く負傷した。
「緑谷!腕!」
飯田が叫ぶ。
しかし緑谷は笑う。
「これくらいなら。」
腕は震え、血が制服を濡らしている。
それでも最後まで戦い抜いた。
訓練終了後。
保健室。
「どうしてすぐ来なかったの!」
リカバリーガールが怒る。
「みんなのほうが大変そうだったので……。」
怒られても、困ったように笑うだけだった。
その日から。
1-Aのみんなは気づき始める。
「緑谷って、一回も弱音吐かなくない?」
「確かに。」
「痛いって聞いたことない。」
「怒ったこともないよね。」
おかしい。
人間なのに。
数日後。
寮。
深夜。
廊下を歩いていた麗日が、小さな物音を聞く。
「……?」
物置の前。
そこには緑谷がいた。
誰もいないと思っていたのだろう。
壁にもたれ、
震える手で肩を押さえ、
苦しそうに息をしている。
「っ……はぁ……。」
痛そうに顔を歪める。
その瞬間だけ。
彼は誰にも見せたことのない表情をしていた。
「……緑谷くん?」
声をかけられた瞬間、
彼はすぐ笑った。
「あ、麗日さん。
こんばんは!」
さっきまで苦しんでいた人とは思えない笑顔。
「……大丈夫?」
「もちろん!」
「ほんまに?」
「うん!」
でも。
麗日には分かった。
その笑顔は、
「心配をかけたくない。」
ただそれだけのために作られた笑顔だった。
その夜。
麗日は眠れなかった。
(緑谷くん……あんなになるまで、一人で我慢してたんだ。)
そして翌日。
A組全員が、緑谷の「我慢」が想像以上に深いものだと知ることになる──。
続く。
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るーなね
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#緑谷ヴィラン化
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コメント
1件
わあ……読み終えました。緑谷くんの「大丈夫」って口癖、胸に刺さりました。誰にも弱音を吐かず、一人で痛みを抱え込む姿が痛々しくて。でもラストの物置のシーン、麗日さんに見つかって慌てて笑顔を作る彼が切なくて、涙が出そうになりました。この「気づかれてしまう」展開、続きがすごく気になります!