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第二話「限界は、見えない」
翌朝。
教室に入ってきた緑谷は、いつも通りだった。
「おはよう!」
明るく笑い、ノートを開き、授業を受ける。
昨夜の苦しそうな姿など、まるで幻だったかのように。
しかし、麗日は気になって仕方がない。
(絶対に無理してる。)
昼休み。
「緑谷くん、一緒にご飯食べよ!」
「もちろん!」
笑顔で席につく緑谷。
だが、お弁当を一口食べたところで箸が止まる。
「……?」
ほんの一瞬だけ、眉をひそめた。
すぐに笑顔へ戻し、
「今日もおいしいな。」
そう言って食べ続ける。
だが、目の前に座る飯田は見逃さなかった。
(今……痛そうな顔をした?)
午後は戦闘訓練。
ペアを組み、障害物エリアを突破する課題だった。
「スタート!」
緑谷は先頭を走る。
そのとき。
ガンッ!
瓦礫の破片が肩に直撃した。
「緑谷!」
轟が叫ぶ。
普通なら動きが止まるほどの衝撃。
だが緑谷は、
「問題ない!」
そのまま走り続けた。
歯を食いしばりながら。
誰にも気づかれないように。
訓練終了。
順位は一位。
「さすが緑谷!」
「すごかった!」
みんなが称賛する。
緑谷は照れ笑いを浮かべるだけだった。
「ありがとう。」
しかし。
更衣室へ向かう途中。
廊下でふらついた。
「……!」
壁に手をつく。
呼吸が乱れる。
視界がぼやける。
(まだ……大丈夫。)
(倒れるわけには……。)
自分に言い聞かせ、一歩踏み出した、その瞬間。
ガクッ。
膝が崩れた。
「緑谷!?」
ちょうど通りかかった切島が駆け寄る。
「お、おい!」
緑谷は慌てて立ち上がろうとする。
「ご、ごめん! ちょっと滑っただけだから!」
「滑ったって……顔真っ青だぞ!?」
「本当に平気!」
笑う。
でも、その笑顔は震えていた。
そこへ相澤も駆けつける。
「何があった。」
「先生、緑谷が急に!」
相澤は緑谷の肩に手を置いた。
「……腕を上げてみろ。」
「できます。」
上がらない。
肩が震えるだけだった。
「……。」
「本当に平気です。」
「……まだ言うか。」
相澤の声は低かった。
「お前、自分の限界をどれだけ隠してきた。」
教室は静まり返る。
緑谷は目を伏せ、小さく笑う。
「みんなに迷惑をかけたくなくて。」
その一言に、クラスメイト全員が息をのんだ。
「迷惑なんて思わねぇよ!」
切島が声を上げる。
「そうだよ!」
「何で一人で抱えるんだ!」
次々と声が飛ぶ。
緑谷は驚いたようにみんなを見つめる。
誰も責めていない。
誰も怒っていない。
ただ、心配している。
そのことが、緑谷には少し信じられなかった。
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るーなね
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#緑谷ヴィラン化
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そしてその直後――。
緊張の糸が切れたように、緑谷の体が大きく揺れた。
「……っ。」
ドサッ。
今度こそ、その場に倒れ込んでしまう。
「緑谷!!」
誰よりも早く駆け寄った爆豪が、思わずその名を叫んだ。
いつも「大丈夫」と笑っていた緑谷が、初めてみんなの前で限界を迎えた瞬間だった。
――続く。
コメント
1件
いや、もう読んでて胸がギュッてなったわ……。緑谷くん、最後まで「大丈夫」って笑顔貼り付けてたけど、それで倒れた瞬間の爆豪の叫びが刺さりすぎた。無理してるって分かってるのに、自分からは言い出せないタイプってリアルにいるから余計に辛い。あと相澤先生の「限界をどれだけ隠してきた」は名台詞すぎる。次、どうなるんだろう……続きが気になって仕方ない🔥