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やっと、仲間がお見舞いに来てくれた。
数日ぶりだったから凄く嬉しい。
『奏……、?』
「うん、この病院に奏が入院してると思うんだけど……何処の病室か知らない、?」
『えぇ……あんまり名前とかも見ないし…、』
瑞希、ごめん、私……嘘ついた、
「うーん、まぁそうだよね…」
『な、何かあったの?』
「……実は、ナイトコードで ー」
『……え、奏…が……、?』
あの日あの時、トイレ内で言われた言葉
꙳﹏
「絵名、貴方は才能が無いよ」
꙳﹏
到底あの優しい奏が発する言葉とは思えなかったし、未だに信じられていない。
……でももし、奏が…壊れてしまったのなら
『それは……、』
「え、絵名…?大丈夫?」
『あっ、だ、大丈夫…!』
「……そっか、」
どうしたら、いいんだろ…。
『……ねぇ、瑞希』
「うん?」
『…ニーゴはどうなるのかな、』
静かな病室にポツリ、ポツリと私の声が零れる。
「…………それは、ボクにも分からないよ」
瑞希は窓の外を見つめる。
「…もう、皆壊れちゃったね……、」
瑞希は壊れた写真立てを優しく撫でた。
「この写真立てが壊れたのは、きっと…
そういう事でしょ?」
『ッ……、』
突きつけられた真実は、やっぱり飲み込めなくて。
「……絵名、もう一度聞くね」
瑞希は私の方を向き、真剣な面持ちで話し始めた。
「ボクは、この前奏に良く似た少女にすれ違いざまに到底奏が言わないような言葉を言われたよ、」
『……!』
それは、心当たりがあった。
「……本当に、奏を知らない?」
『っ、それ、は……』
きっと私は今、*あの目*になってる。
……真実を知ってるのは、、
『……私も、会ったよ』
「!」
『奏に良く似た……いや、奏に!奏に酷いことを言われた、』
「…………そっか、話してくれてありがとう」
瑞希は写真立てをゆっくり置くと、「よし」と小さく呟いてからまた口を開いた。
「……奏は隣に入院してるよね?」
『ッ、!?』
驚いた。
まさか、瑞希が分かるなんて。
思いもしなかった。
『ど、どうして…そんな、事…ッ……』
「…看護師さんから聞いたよ」
「隣……名前は宵崎じゃないけど、奏なんでしょ?看護師さんから教えて貰ったならそりゃあ……そうって事だよね、?」
『ッ……そうよ、隣には奏が入院してる、!』
瑞希は「うーん」とまた考え込んだ。
「…でもいつも会いに行っても居ないんだよね…なんでだろ?」
『ああ……奏はいつも25時になると帰ってくるわよ』
「……えええっ、!?
じゃあ25時にならないと奏に会えないって事!?」
『そういう事になるわね……』
いつも、何処にいるかなんて到底分からない
……どうして、奏は………
「……じゃあ仕方ないかぁ…、また来るよ」
瑞希はリュックを背負うと、扉に手を掛けた。
『……うん、分かった…ありがとね』
「うん!またね!」
扉が閉まる音がした後、足音が聞こえ始めた。
『……楽しかった、』
少しでも瑞希と話せて良かったと思う。
……でも、奏の事が引っかかる。
外出は禁止されてる筈…抜け出すなんて事は出来ないだろうし……じゃあ何処に…、?
「そうだね、分からないよね」
『うん…………ッえ、!?』
声がした方を咄嗟に向く
……そこには、奏に良く似た少女が居た。
『な、なんで……此処、に、?』
「……看護師さんから鍵を借りたの。
…言ってる意味、分かるよね?」
仲間は鍵をゆっくりと見せる。
『み、密室…?』
「……そうだね、絵名は”また”閉じ込められたんだよ」
急展開すぎて頭が追いついていない…。
『ど、どうして……、何が目的なの、!』
すると少女は棚を漁り始めた。
『ちょ、何して……!』
少女が取り出したものは……ノート?だった。
『あ、それ、は……、』
「……やっぱり、絵名も……へぇ、」
少女は日記を叩きつけた。
『ちょ、何するのよ……!!』
「……呆れた、ッッ………なくて、」
何か言ってる…?だけどよく聞こえない。
『な、何……!?何が悪いのよ、!!』
少女は俯いて何かをブツブツ言っている。
「……い、………さい、」
『、?』
少女は日記を拾い上げると、窓を開けて外に捨ててしまった。
『ちょ、ちょっと…!私の日記が……!!』
『なんて事して……!!』
私は目から零れ落ちる涙も気にせず奏に掴みかかった。
『何すんのよ!もうどっかいって…!!』
「ッヤダ……!」
少女も私に掴みかかった。
お互い投げ飛ばしたり首を絞めたりもうそれは修羅場だった。
『はあッ、カヒュッはあ~~ッ…、』
「はあ、はあっ、は~ッ……」
お互い呼吸を整えるのに必死で周りの声に気が付かなかった。
「……何、してるの?」
やっと誰かの声がするのに気付き、私は顔を上げた。
……そこにいるのは瑞希だった
『え……瑞希、?』
「絵名…何してるの?どうしたの…… 」
瑞希は何故か私の日記を持っていた
『え!それ、私の……』
「外に落ちてたから……それより、どうしてそんなに荒れてるの…? 」
『え、それは此奴が……あれっ、?何処…行って……』
「……絵名、今日はもう休みな 」
『え、違う!!違うの!”奏が”…』
「奏…?何言ってるの絵名、この部屋には」
「”絵名しか居ないでしょ?”」
その言葉の意味を理解するのに大分掛かった。
……そっか、逃げたんだ…
『…………そうね、もう今日は寝る… 』
疲れきった体でベッドに潜る。
「うん、部屋はボクが片しておくから……」
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まさか、絵名と喧嘩するなんて思いもしなかった。
『……違うの、こんな事…ッ… 』
「何言ってるの、もう君は充分悪魔だよ𐤔 」
私を撫でながら貴方はケタケタと笑う。
「もう、嫌われたよ!良かったね、おめでとう𐤔 」
笑いながら私を踏みつける。
『痛”いッ…、』
『やめて、違う……、』
病室にはイヌホオズキが綺麗に咲いていた。
19日目
今日は私が書くね、あ、絵名です
彰人が書いてるのは知ってるよ、それと……
今日は、色々あって。
…ここで、終わりにするね
……私は、元気だから…その、心配しないで
…って誰に言ってるの……笑
絵名
コメント
6件
イヌホオズキの花言葉「嘘つき」は、見た目と実際の効果のギャップに由来してて、小さく無害に見える花だけど、毒性を持つ部分がある。 そんなことするはずないってわかってるけど、傷つくような発言をされた。まさに今の奏ちゃんだな…
イヌホオズキって、 有毒植物なんだね … 。 奏…どうなっちゃうんだろ。