テラーノベル
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hbkn
今回は出ない⬇⬇
ngkn、srkn
名前有りモブとkntが仲が良い描写があります。
恋愛感情は一切ないです。
モブの発言は[]となっております。
入学して、今日で五日目。
たった五日。
されど五日。
最初は教室のあちこちに漂っていた「誰に話しかければいいんだろう」という空気も、今ではすっかり薄れていた。
周りを見渡せば、いつの間にか気の置けない友人を見つけたらしく、いくつかのグループが出来上がっている。
無論、僕も例外ではない。
席が近い藤田と平林とは自然と行動を共にすることが増え、今では昼休みに一緒に昼食を食べる程度には仲良くなっていた。
──そんな平和な日常。
……のはずだった。
「…………」
僕は教室を見渡す。
そして、また見渡す。
右。
左。
前。
後ろ。
いない。
「…………」
今日もいない。
いや、正確には
「入学してから攻略対象とヒロインを一目も見てない!!!」
朝の教室に、僕の叫び声が響き渡った。
「…………」
言ってから、ふと我に返る。
……やってしまった。
けれどSHR後の特有の騒がしさは、僕の失言すら雑音の海へと飲み込んでくれたらしい。
一緒に行動している友人以外には、幸いそこまで注目されていない。
(助かった……)
[どうした、風楽。急に声上げて]
「いやー……その、なんと言いますかぁ……?」
誤魔化すように笑ってみる。
しかし、そんな僕を見ていた平林が、突然ニヤリと口角を上げた。
嫌な予感がする。背中に汗の道筋ができたことを自覚する。
[あっ! 俺分かったぜ、奏斗!!]
「……何?」
[ギャルゲーでもしてたんだろ!!]
「……!」
思わず目を見開く。
「……そうそう! よく分かったね!」
[だろ? 俺はすげーんだ]
危なかった。
渡りに船とは、まさにこのことだ。
乙女ゲームをやっていたなんて口が裂けても言えない。
ここはギャルゲーということにしてしまおう。
[だろ? 俺はすげーんだ]
「いや、本当に助かった……」
[ん? 何が?]
「いや、なんでもない」
平林は得意げに胸を張っている。
……ありがとう、平林。
48
凶悪。
210
今日だけは君のその謎の自信に救われた。
[いや、それ本当か? 風楽がギャルゲーやるようなやつではないだろ]
藤田が横から疑いの目を向けてくる。
「…………」
変なところで我が友人の勘が鋭い。
藤田よ。
頼む。
それ以上、何も言わないでくれ。
[奏斗もDKじゃん。することするだろって]
[お前とは違って風楽は万年発情期じゃねえだろ]
[んだと、てめえ!!]
「……ふふっ」
また始まった。
僕の目の前で繰り広げられる、もはや恒例行事。
二人の言い争いは、殴り合いに発展しないだけで、もはやプロレスと大差ない。
「ww、うるさっ!」
僕は笑いながら二人を見る。
……まぁ、こういうのも悪くない。
この世界に来てから、
僕が初めて手に入れた"ゲームには存在しない日常"だった。
しばらく二人のプロレスを眺めていると
ふと、近くにいた女子グループが盛り上がっていることに気づいた。
さっきまでより、ほんの少しだけ声のトーンが高い。
それでいて、声量は抑えられている。
こういう時の女子の会話は、妙に気になる。
僕は二人のプロレスから意識を切り離し、そちらへ耳を傾けた。
[え、でさでさ、三組の……なんだっけ? わたらいだったかな?]
「………!」
わたらい。
その名前を聞いた瞬間、耳が勝手に反応した。
[その子、イケメンなのに彼女いないらしいよ!!]
まさか。
いや。
そんなわけ、
[でも三組の子が言ってたんだけど、恋塚さん? って子とわたらい君、仲がいいんだって!]
[だから狙うなら早めがいいよ!]
「…………」
一瞬。
世界の音が遠ざかった気がした。
わたらい。
渡会。
(…………渡会雲雀?)
体の奥を、雷でも落ちたような衝撃が駆け抜けた。
間違いない。
この世界で攻略対象の一人。
渡会雲雀。
そして恋塚、恋塚ネネ。
このゲームのヒロイン。
僕の頭の中で、前世の記憶が一気に巻き戻される。
そうだ。
確か、渡会と恋塚は同じクラスだった。
入学直後。
まだ右も左も分からない恋塚が校内で迷い、渡会と出会う。
そこから始まる、渡会ルート最初のイベント。
何度もプレイした。
何度も見た。
攻略情報だって覚えている。
なのに。
「…………」
僕はゆっくりと顔を上げた。
まさか。
いや、待て。
ということは。
(僕……)
嫌な予感が、背中を這い上がってくる。
(…出会いの場面、見逃してた!?)
「あぁぁぁぁ!! やらかしたー!!!」
思わず頭を抱える。
しまった。
完全に油断していた。
まさか別のクラスだったとは。
いや。
ちょっと考えれば分かったことだ。
ゲームの設定を思い出せば、一発だった。
『当て馬・風楽奏斗』は1組
『ヒロイン・恋塚ネネ』は3組、
『攻略対象・渡会雲雀』も3組。
それなのに僕は、
「何やってんだ僕ぅぅぅ……!」
僕の叫び声が、今度こそ教室に響き渡った。
そして。
少し離れたところにいた女子グループから、冷めた視線が飛んでくる。
「…………」
……見られた。
ものすごく見られた。
あの目は完全に、
『何こいつ』
の目だ。
「…………」
やめて。
そんな目で見ないで。
こちとら好きで叫んでるわけじゃないんだよ。
心の中で必死に言い訳をしながら、僕は机に突っ伏した。
[奏斗、さっきからおかしいけど、どうした?]
[これに関しては平林に同意見。体調悪いなら保健室行ったら?]
「…………」
聞こえている。
聞こえてはいる。
けれど、今の僕に返事をする余力はなかった。
頭の中では、さっきの情報がぐるぐると回っている。
渡会雲雀。
恋塚。
2人は同じクラス。
つまり
僕が見逃したイベントは、もう始まっている。
ゲームのページが、僕の知らないところで勝手にめくられていた。
「…………」
嫌だ。
見たい。
見たかった。
せっかくこの世界に来たのに。
せっかく生でイベントを見られるのに。
よりにもよって、最初のイベントを見逃すなんて。
そんな悔しさが胸の中で渦を巻き、僕はそのまま机に突っ伏した。
そして
「……あれ?」
次に目を開けた時。
僕は保健室のベッドの上にいた。
「…………」
白い天井。
消毒液の匂い。
カーテン越しに差し込む、少しだけ薄暗い光。
「……ここ、保健室?」
重い体を起こす。
どうやら、平林と藤田に運ばれたらしい。
(…………あいつら、僕を担いでったのか……)
申し訳なさと恥ずかしさが同時に押し寄せてくる。
壁に掛けられている時計を見る。
(……もう授業始まってるじゃん)
教室へ戻らなければ。
そう思った。
けれど、体が鉛のように重い。
今の僕には、教室まで戻るだけの気力すら残っていなかった。
「……まぁ」
今日はもういいか。
せっかく運んでもらったんだ。
ここは友人たちの厚意に甘えて、少し休ませてもらおう。
そう決めて、僕は再びベッドへ体を預ける。
白いシーツに沈み込む感覚は、まるで現実から少しだけ切り離されたようで心地よかった。
「…………」
静かだ。
教室の喧騒も聞こえない。
今だけは、ゲームのことも忘れて
そう思って目を閉じた。
その時。
保健室の扉が、ゆっくりと開いた。
「失礼しまーす」
聞き覚えのない声。
僕は重い瞼を持ち上げる。
そして、
「……誰?」
カーテンの向こうから現れた人物を見た瞬間。
眠気なんて、一瞬で吹き飛んだ。
「…………」
そこにいたのは。
僕が今日、一番会いたいと思っていた人物だった。
渡会雲雀。
──攻略対象、その人だった。
続きます。
コメント
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うわ、第2話めっちゃ面白かったです……! 風楽くん、ギャルゲー誤魔化しでなんとかやり過ごすところとか、女子グループの冷たい視線にパニックなるところ、めっちゃ共感しちゃいました。でも一番は「やらかしたー!!」の絶叫シーン、思わず笑っちゃいましたww そんな中で保健室でまさかの渡会雲雀と直接対面……! 続きが気になりすぎます、早く読みたいです…!