テラーノベル
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凶悪。
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コメント
2件
コメント失礼します🙌🏻🙌🏻素晴らしい作品をありがとうございます😖💞最後の方の僕の方が渡会雲雀に攻略されているみたいという言葉が大好きです꒰ ᐡᴗ͈ ·̫ ᴗ͈ ꒱ ♡更新お待ちしております🙇🏻♀️"
うわ、雲雀くん、思ったよりずっと距離感近いんですね!「一緒にいて楽しいやつがいい」って言われて、奏斗くんが内心めちゃくちゃ動揺してるのが伝わってきて、こっちまでドキドキしました。保健室で学年主任に怒られた後の「同じベッド」のくだりも、なんか男子高校生同士の無邪気な空気が良かったです。そして最後の「攻略されてるみたいじゃないか」の自覚、続きが気になります!
hbkn
今回も出ない⬇⬇
ngkn、srkn
今回も、名前有りモブとknt仲が良い描写があります。一切恋愛感情はないです。
hbの口調難しい🫠🫠🫠🫠
条件反射だった。
「…………」
扉が開いた瞬間、僕は反射的に身を隠していた。
ベッドの上で布団を引き寄せ、カーテンの隙間からそっと外を覗く。
(え、なんで!?)
寝起きの頭をフル回転させる。
(なんでここに渡会雲雀がいるの!?)
いや、待て。
落ち着け。
ここは学校の保健室。
渡会雲雀はこの学校の生徒。
つまり、ここにいても何もおかしくない。
…理屈では分かる。
分かるけど。
(なんで今なんだよ!)
僕は頭を抱えたくなった。
さっきまで「見逃した」と嘆いていた攻略対象が、まさか向こうから僕のところへやって来るなんて。
ゲームの神様がいるのなら、ずいぶんと性格が悪い。
けれど。
好奇心には勝てなかった。
僕はそぉっとカーテンの隙間から顔を出す。
「……わ、イケメンじゃん……」
思わず小声が漏れた。
183cmの高身長。
整った顔立ち。
そして、目を引くバイオレットの髪。
画面越しで何度も見てきたはずなのに。
実物は、思っていた以上だった。
流石、攻略対象全員が公式でイケメン設定なだけある。
画面の中に収まっていたはずの存在が、今は数メートル先に立っている。
その事実だけで、妙に現実感がなくなる。
男の僕ですら、思わず見惚れてしまいそうだった。
「…………」
やばい。
近くで見ると、本当にイケメンだ。
などと感心していると
「…………ん?」
渡会雲雀がこちらを振り返った。
「…………」
「…………」
目が合う。
「…………」
やばい。
完全に見つかった。
僕は慌ててカーテンから顔を引っ込める。
が、もう遅い。
足音がこちらへ近づいてくる。
「…………」
逃げるべきか。
いや、ここは保健室だ。
逃げたら余計に怪しい。
そうこうしているうちに、カーテンが開いた。
「まぁ、いっか。サボりやし」
「いや、サボりかよ!!」
思わずツッコんでしまった。
「渡会雲雀らしいけども!!」
「え?」
「あ」
「「…………」」
また目が合う。
しまった。
第一声がこれってどうなんだ。
攻略対象との初対面イベントで、もっとこう……
なにかあるだろう。
「こんにちは」とか。
「初めまして」とか。
普通の人間ならそういうものだ。
「えーと……こんにちは……」
結局、僕は苦し紛れに挨拶をした。
「おぉ……こんにちは」
渡会雲雀は少しだけ目を丸くしたあと、気さくに笑った。
「君もサボりなん?」
「いや、なんというか……気づいたらここにいたから……」
「えっ、w 怖。そんなことあるんや」
「僕だって好きでここにいるわけじゃないよ!?」
「ははは、まぁ確かに」
初対面だというのに、妙に話しやすい。
攻略対象ということもあってか、渡会雲雀はかなりコミュ力が高いらしい。
人との間にある見えない壁を、最初から存在しないものとして扱っているような感じだ。
「俺、1年3組の渡会雲雀。あんたは?」
「僕は1年1組の風楽奏斗。よろしく、ね……?」
一応、礼儀としてよろしくと言った。
けれど。
僕と渡会雲雀は別のクラス。
今まで一度も話したことがない。
そもそも、この先関わることがあるのだろうか。
そんな疑問が頭をよぎったせいか、最後の"ね"が妙に上ずってしまった。
「おん、よろしくな。奏斗」
「……うん」
名前を呼ばれただけなのに、少しだけ妙な感じがした。
ゲームの中では、何度も聞いた名前。
何度も見た立ち絵。
何度も選択肢を選んだ相手。
それが今、僕の目の前で普通に笑っている。
……なんだか不思議だ。
まるで、画面の向こう側だった世界が、少しずつ現実の形を取り始めているみたいだった。
それから。
「でさ──」
「いや、それは違うって!」
「え、マジで?」
「マジマジ」
「ちょっ、奏斗それやばいw」
「いやいや、これは僕の計画通りだから!」
「どんな計画だよw」
「このKNTを舐めると痛い目を見ることを分からせてあげただけだよ!!」
「KNTってなんだよww」
気づけば、すっかり話が盛り上がっていた。
初対面とは思えないほど会話が弾む。
雲雀は話題を次から次へと投げてくるし、僕もそれに乗っかっているうちに、いつの間にか笑っていた。
(……おかしいな )
僕はもっと緊張すると思っていた。
だって相手は、あの渡会雲雀だ。
けれど実際に話してみれば、そんな緊張なんてどこかへ吹き飛んでいた。
「ちょっ、奏斗それやばいww」
「だから言ったじゃん!」
「マジで腹痛くなってきた……w」
「笑いすぎだって!」
「いや、お前が面白いんだってw」
「僕の実力を思い知ったか!」
「何の実力だよw」
二人の声はどんどん大きくなっていく。
最初は小さなさざ波だった会話が、気づけば大波になっていた。
そして 、
[……お前ら]
「…………」
学年主任の先生に注意された。
[声、大きいぞ]
「「すみません……」」
二人揃って頭を下げる。
……ですよね。
保健室って、静かに休む場所だもんね。
むしろ注意だけで済ませてくれた先生が優しいまでもある。
[ ちゃんと静かにしろよ]
「……はい」
「はい……」
先生が戻っていく。
「…………」
「…………」
僕と雲雀は顔を見合わせた。
「……怒られたな」
「怒られたね」
「まぁ、でも反省文とかなくて良かったな」
「それは本当にそう」
二人で小さく笑う。
そして僕たちは、さっきの注意を頭に叩き込むように、今度こそ静かにベッドへ横になった。
……なぜ同じベッドなのか。
男子高校生二人だから余計に狭い。
それは考えないことにした。
考えたら負けな気がする。
天井を見上げる。
白い天井。
静かな保健室。
さっきまでの騒がしさが嘘みたいだった。
「…………」
隣には雲雀がいる。
ゲームの中では攻略対象。
本来なら、恋塚と恋をする人物。
そして 僕の頭に、昼休みに聞いた女子たちの会話が蘇る。
『恋塚さんと、わたらい君って仲がいいんだって!』
「…………」
そういえば。
今の渡会は、恋塚をどう思っているんだろう。
ゲームでは、この時期はまだ恋愛感情が芽生える前だったはず。
でも。
この世界はゲームそのものじゃない。
僕が来たことで、どこかが変わっている可能性だってある。
「…………」
気になる。
ものすごく気になる。
その疑問が、頭の片隅に小さな棘のように引っかかって離れない。
そして僕は 悪いことを思いついた。
(…………聞いてみるか)
そう。
カマをかけてやろう。
「ねぇ、雲雀」
隣にいる雲雀へ声をかける。
「んー? どしたん?」
「好きな子いる?」
「ぶっは!」
渡会が吹き出した。
「なに、お前、修学旅行生みたいなこと言いやがって!」
「いいから、声大きい!」
僕は慌てて口元に指を当てる。
「静かにして!」
「あっ」
渡会も今の状況を思い出したらしい。
「ごめん」
小さくなった声で謝る。
「……で?」
「ん?」
「なんで急にそんなこと聞いてきたの?」
渡会がこちらを向く。
「んー……」
僕は天井を見ながら答えた。
「特になんにもないよ。ちょっとだけ、雲雀はどうなんだろうって思っただけ」
「…………ふーん」
雲雀が少し考えるように黙る。
僕は横目でその様子を窺った。
さぁ。
どう答える?
恋塚の名前が出てくるか。
それとも
「まぁ、入学したてだし、まだよく分かんないかなぁ」
「…………」
「でも」
雲雀が天井を見ながら続ける。
「一緒にいて楽しいやつがいいな、とは思ってる」
「…………なるほど、ね」
僕は小さく頷いた。
胸の奥が、妙にざわつく。
……なるほど。
つまり、今のところ特定の相手はいない。
そして、恋愛対象として求めているのは
『一緒にいて楽しい人』
「…………」
これは。
これはもしかして
この先の展開が楽しみすぎる。
口角が上がりそうになる。
いや、上げるな。
平静を装え。
僕は必死に口元を抑える。
……抑えているつもりだった。
「なぁに、にやにやしちゃってんの」
「え」
バレてた。
僕は思わず顔を固める。
「やらしいねぇ、奏斗w」
「声デケェよ! 黙れ!」
僕は慌てて渡会の口元に指を当てるような仕草をする。
「ここ保健室だから!」
「あっ、ごめん」
雲雀は素直に声を落とした。
「…………」
「…………」
再び静寂が戻る。
けれど。
僕の頭の中だけは、さっきから嵐の真っ最中だった。
(一緒にいて楽しいやつ……か)
その言葉が、頭の中で何度も反響する。
チャイムが鳴った。
その音が、静かな保健室の空気をぱっと切り替える。
どうやら休憩時間という名の授業は終わりらしい。
「……あー」
僕は天井を見上げた。
さっきまで頭の中を占領していた雲雀への興味も、チャイムの音を境に少しずつ現実へ引き戻されていく。
そうだ。
僕は学生。
そして今は授業前。
だから、
「……教室、戻らないとじゃん」
ようやく理性が仕事を始めた。
危うく、このまま一日中保健室で駄弁るところだった。
僕はベッドから起き上がり、軽く伸びをする。
「じゃあね、雲雀」
「え~~、奏斗もう行くん?」
隣から、露骨に残念そうな声が飛んできた。
「もう一時間だけサボらん? な?」
「僕は雲雀と違って真面目な人間だから」
「ひっど!」
雲雀が大げさに胸を押さえる。
「俺だって真面目だし!」
「授業サボって保健室にいる人が言っても説得力ないよ」
「まぁ、それはそう」
「認めるんだ……」
あっさり認められてしまい、逆に何も言えなくなる。
雲雀は少しだけ考えるように天井を見上げると、パン、と手を叩いた。
「……まぁ、奏斗いないなら保健室いる理由もないか」
「え?」
「よし、俺も授業行こ」
「おっ、行く気になった?」
「おう、行こうぜ」
「……素直だなぁ」
こうして僕たちは、二人並んで保健室を出た。
廊下を歩く。
たったそれだけのことなのに、妙に楽しかった。
さっきまで保健室で話していた続きをするように、どうでもいい話をして。
くだらないことで笑って。
気づけば、僕の声も雲雀の声も、どんどん大きくなっていた。
「でさー、その時にw」
「いや、それは絶対おかしいって!」
「だってマジなんだって!」
「そんなことある?」
「あるある!」
笑いながら歩いているうちに、気づけば僕の教室一年一組の前まで来ていた。
「あ」
僕は足を止める。
ここで解散だ。
僕はそう思った。
けれど。
「……あれ?」
隣を見る。
雲雀はあたかも僕の隣を正位置だと言っているようにずっと隣にいる。
「雲雀?」
「ん?」
「三組、行かなくていいの?」
「なに、俺が早く行ってほしいってこと!?」
雲雀が少しふざけたように眉を下げる。
「あ、はい」
「え、冷たっw」
「いや、だって普通に自分の教室あるでしょ」
「まぁ、そうなんだけどさ」
雲雀は一度、僕の教室を見る。
それから、僕を見る。
「クラスのやつより、奏斗といた方が楽しいんやもん」
「…………」
一瞬。
脳が停止した。
「…………おま」
思わず雲雀を見る。
「よくそんな恥ずかしいこと言えるな……」
「え?」
本人は、本当に何とも思っていないらしい。
「なんで?」
「なんでって……」
普通、そんなこと初対面の相手に言うか?
いや。
もう初対面ではないのかもしれないけど。
それにしたって距離が近い。
「……恥ずかしくないの?」
「全然?」
「…………」
なんなんだ、この人。
こっちが勝手に照れさせられているみたいで、なんだか悔しい。
そんな僕の反応を見た雲雀が、ニヤッと笑った。
「あれ、奏斗くんもしかして恥ずかしがってんの~?w」
「…………」
「顔赤くなって〜〜」
「あーーもう!」
これ以上は無理だ。
「授業始まるまで時間ないから、もう行くね!!」
僕は半ば逃げるように教室へ向かう。
「…バイバイ!!」
「またな~」
背中から聞こえる雲雀の声。
僕は振り返らず、そのまま教室へ入った。
「…………」
なんだろう。
妙に腹が立つ。
別に悪いことを言われたわけじゃない。
むしろ普通なら、仲良くなった相手から言われたら嬉しい言葉なのだろう。
なのに。
「……あいつ、絶対楽しんでるだろ」
僕は小さく呟きながら、自分の席へ向かった。
そして
「…………ん?」
何かがおかしい。
教室に入った瞬間から、妙な視線を感じる。
ちら。
ちらちら。
僕が歩くたびに、周囲の視線がこちらへ集まってくる。
「…………」
何?
僕、何かした?
制服の着方がおかしい?
寝癖でもついてる?
それとも保健室から帰ってきたことがバレた?
疑問符が頭の中を飛び交う。
その視線がどうにも落ち着かなくて、僕は少しだけ足を速めた。
そして、逃げ込むように藤田と平林のところへ向かう。
「なんか視線感じるんだけど……気のせい?」
僕が小声で尋ねる。
[気のせいじゃね?]
平林。
[気のせいじゃないな]
藤田。
「……どっちが正解?」
[まぁ、平林が合ってるわけないし]
[おい]
[風楽が違和感を感じてる時点でもう100%俺が正しい]
二人のやり取りを聞いていると、藤田が呆れたようにため息をついた。
[まぁ、一緒にいた人。渡会だっけ? そいつが原因だろ]
「……え、なんで?」
[なんでって、昼休みの女子の会話聞こえてなかったのか?]
「いや、聞こえてたけど……」
[一組の女子が、わざわざ三組のやつを話題に出してたんだぞ?]
「…………」
[それだけで、そいつがどれだけ有名か分かるだろ]
「…………」
僕はゆっくりと教室を見渡す。
さっきまで感じていた視線。
何人かの女子がこちらを見ている。
そして、ちらほらと男子まで雲雀の名前を話しているのが聞こえる。
「……皆、顔知ってんの?」
[まぁ、そりゃ知ってるだろ]
「怖すぎだろ……」
思わず肩を落とす。
僕にとって渡会雲雀は、ゲームの中に存在する攻略対象だった。
だからこそ、彼の顔も名前も、設定も知っている。
けれど。
この世界の人たちにとっては、ただのゲームキャラなんかじゃない。
同じ学校に通う、実在する一人の生徒だ。
それなのに、たった五日でこんなに有名なのか。
「…………」
僕はもう一度、教室の中を見渡す。
どうやら僕は、知らないうちにかなり有名な人物と一緒に歩いてきてしまったらしい。
「……もしかして僕、今めちゃくちゃ目立ってる?」
[今さら?]
「…………」
藤田の一言が、妙に胸へ刺さった。
まるで、静かに過ごすつもりだった僕の計画に、特大の石を投げ込まれたような気分だ。
「……最悪だ」
僕は静かに絶望する。
攻略対象を遠くから観察する。
それだけのつもりだった。
なのに。
初めて会ったその日に、保健室で一緒にサボって。
そのまま隣を歩いて教室まで送られて。
挙げ句の果てには、クラス中から注目される始末。
「…………」
これじゃあまるで。
僕の方が渡会雲雀に攻略されているみたいじゃないか。
続きます。
寝ぼけながらで書いたので恐らくミスあります。