バレンタイン当日
「なんか急に緊張してきた」
リュックの中にはなかなか上手くできたガトーショコラが入っている。
「大丈夫だよ。試作品あんなに美味しかったでしょ?」
「…うん」
「璃音だってきっと喜んでくれるよ。あ、いたよ」
恋雪ちゃんの視線の先には璃音がいた。声をかけようとすると、大量の女子が走ってきた。
「何!?」
何事かと思い見ていると、女子たちはみんな璃音にチョコを渡していく。
「え?璃音ってあんなにモテるの?」
「あちゃー。間に合わなかったか。なんか密かに人気があるらしいよ。」
知らなかった。
「…」
「月?」
「恋雪ちゃん、私今はちょっと渡す勇気ないや。また後でにする。」
「そっか。」
きっとあの中には私のよりも美味しくてすごいチョコがあるんだろうな。私にはあの大群の中に飛び込んでチョコを渡せるだけの勇気がない。
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