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放課後
あの後数回トライはしてみたものの、璃音の人気が強く、渡すことができなかった。部活でなら渡せるかな?と思っていたのだが、先輩、後輩、同級生にまでもらっていた。結局渡すことが出来ずに部活終了時間になってしまった。
「あ、月!」
恋雪ちゃんがいつものように校門前で待っていてくれた。
「渡せた?」
私はふるふると首を振った。
「なんで!?いいの?」
「渡したいけど、タイミングが分かんなくて…」
その時、後ろから腕を引っ張られた。
「月!」
「え、璃音!?」
「ちょっと話があるんだけど。」
「あー、私用事があるんだったー。月、ごめん。先帰るね」
恋雪ちゃん演技下手だな。
「ちょうど良かった。私も璃音に用事があったの。」
「本当?でもごめん。俺からいい?」
「いいけど…?」
なんだろう。
「はい、これ。」
そう言って璃音が渡してきたのはうさぎのぬいぐるみだった。
「わぁ!かわいい。…ん?」
よく見ると、うさぎが手にチョコを持っていた。
「え?なんで?」
「逆チョコ。」
「ギャクチョコ?」
「そう。月のチョコ待ってたんだけどな〜。くれなかったから逆チョコ。」
くれなかったから逆チョコって…。
「璃音面白いこと考えるね。」
私は思わず笑った。
「はいこれ。私からもあげる。」
私がガトーショコラを渡すと、璃音はポカンとしていた。
「え?…え!?なんで?てか、持ってきてたの…?」
「うん。なんか璃音モテてたから渡しづらくなっちゃってさ。」
「うわ…。超嬉しい…。ありがと」
璃音はニコッと笑った。
「せっかくだし一緒に帰っていい?」
「逆にいいの?」
「うん。月は夜道怖いもんね。」
璃音は私の頭をポンポンと撫でた。
「!」
「あ、固まった。」
「バカにしてるでしょ!」
「ごめんて。」
好きだ。璃音といると自然と笑顔になれる。