※何でも許せる方向け
kn視点
「…」
もしかしたら俺はとんでもないものに手を出してしまったのかもしれない。
肌寒い日が続く2月の下旬。
誰もいないリビングで俺は1人、目の前に置いてあるものは見ながらため息をついた。
中に液体が入った茶色の小瓶。
これは先日、友人のNakamuから貰ったものだ。
…いや、貰ったというか押し付けられた、という方が正しいか。
遡ること数日前
『ねぇ、きんときこれ見て!!』
子供のように無邪気な笑顔でこっちに駆け寄ってきたNakamuが差し出したのは、茶色の小瓶だった。
『なにこれ?』
『ふふーん!これはNakamu特製、猫になれる薬でーす!!』
『猫になれる薬?』
『そうそう!飲んだらたちまち、猫みたいな見た目になるんだよ!』
『へぇ、それはすごい…』
『でさ!きんときにお願いがあって!』
『お願い?』
『きんときにこれを飲んで試してほしいなって!』
『……え?』
『な、なんで俺?』
『だってきんとき、猫好きでしょ?』
『いや、まぁ、好きだけど…』
『でしょ!猫になってみたくない??』
『いや、俺はべつに、、』
『だよね!なってみたいよね!!』
『えぇ…?』
『来週までに感想聞かせてね!じゃっ!』
『え、あ、ちょ、!』
…とまぁこんな感じで押し付けられたわけだ。
「…」
机に置かれた小瓶を見つめる。中に入っているのはドロリとした液体。
Nakamuが作った薬だから、命に関わることはないだろう…たぶん。
「猫になれる薬…ねぇ。」
好奇心はある。猫になれるというなら尚更。
ちらりと時計を見ると、秒針は夜の7時を指していた。
そういえば同棲している恋人のぶるーくは、今日は残業で遅くなると言っていたか。
つまり今家にいるのは、俺1人だけ…。
試すなら今だ。
そう思って、好奇心で震える手で、テーブルの上に置かれた小瓶に手を伸ばした。
蓋を開けてみて匂いを嗅ぐが何も感じない。本当にこんな薬で猫になれるのだろうか?
疑いながらも、瓶の中身を一気に煽った。
数分後
あれから数分経ったが、体になんの変化も感じない。
体の大きさが変わる感じもしないし、体温の変化すら感じない。
やっぱり猫になれる薬なんてあるわけないのか…
「…飯作ろ。」
期待とは違う感覚に肩を落としながら、夕ご飯の準備をしようとして、
ふと、リビングに置いてある鏡を見た時だった。
鏡に映る自分の姿に目を疑う。
…Nakamuの言葉は嘘ではなかった。
「え…?」
頭の上に生えた黒い猫耳と、腰に生えた黒い尻尾。
目の前の鏡に映るのは猫耳と尻尾を生やした俺だった。
「え、え、、?」
猫になるってこういうこと?
俺もっと本格的な猫想像してたんだけど…?
こんな『ちょっとコスプレしちゃいました』みたいな感じの猫なの??
想像とは違う猫に少し驚きながらも、鏡に映る猫耳と尻尾をまじまじと見る。
触ってみると、ふわふわで暖かい。手足と同じような感覚がある。
「すご…」
ふわふわの猫耳も尻尾も、まるで本物だ。
ただ、触り心地は本物みたいだが、側からみたらただのコスプレみたいに見えるので少し恥ずかしい。
「効果は確か、明日の朝までだったよね…」
この格好を見られるのも恥ずかしいし、ぶるーくが帰ってくる前に家事を終わらせてさっさと寝てしまおう。
ちょうどそう思った時だった。
ガチャ
玄関のドアが開いた音がした。
br視点
よかった。
薄暗い帰路を歩きながら、ホッと息をつく。
本当は残業が長引く予定だったけど、珍しく上機嫌な上司が仕事を手伝ってくれたから、いつもより仕事が早く終わった。
最近は仕事続きで、きんときと恋人らしいことはおろか、喋ることも少なくなっていた。今日は久しぶりに早く帰れる。
「あー!早くきんさんで癒されたい〜!!」
ガチャ
「ただいま〜!」
ドアを開けてそういうが、いつもなら帰ってくるはずのきんときの声が聞こえない。
こんな時間に寝ているのだろうか。いやでも、リビングの電気はついている。
「…きんさ〜ん?」
少し不安になりながら、明かりがついているリビングに向かう。
「え、!ぶ、ぶるーく、⁉︎」
「なんだ、いるじゃ…ん…」
びっくりしたように目を見開くきんときの姿を見て、今度はこっちがびっくりする番だった。
きんときの頭に生えた黒い猫耳に、ぴょんぴょん跳ねている腰から生える尻尾。
きんときが猫になっていた。
「きんとき…?」
「ち、ちがッ!違くてっ!、!」
きんときはそう言うと、顔を真っ赤にさせながら必死に耳を腕で隠した。
上手く言葉が出ないのか、口をぱくぱくとさせている。
目の前にいるのは間違いなくきんときだ。
一見コスプレのように見える猫耳と尻尾は、原理は分からないが本物ように動いている。当のきんときは、『これは薬のせい』だとか、『貰ったもの』だとか言っている。
色々ツッコみたいことはあるけど、全部置いといて…
なんだこの可愛い生き物は。
「ちょっとちょっと、きんさ〜ん!なんでそんな可愛い格好してるの〜?」
ニヤニヤと、口角が上がったまま下がらない。
だってしょうがなくない?あのきんときが猫になっちゃってんだよ?
可愛いすぎてヤバいんですけど!!
「あッ、ちがっ!これはッ!」
きんときは僕にこの姿を見られたのが恥ずかしいのか、顔を真っ赤にして頭をふるふると振っている。
いつもはツンツンしているきんときがこんな表情をするなんて…
可愛い。可愛すぎる。
「やめろッ…//見んなッ//」
さらに顔を赤くして、恥ずかしそうに猫耳を隠すきんとき。
え、まって、とりあえず愛でていい??
「きんさん、ちょっとこっち来てよ。」
「…」
僕が呼んでも、きんときは頬を紅く染めたままそっぽを向いている。
仕方ないから僕が歩み寄ろうと一歩踏み出たら、きんときは逆に一歩後ろに下がる。
「きんさ〜ん…?僕も触りたいんだけど…?」
「……やだ。」
『やだ』?『やだ』ってなに?言い方可愛すぎない??
「僕、仕事頑張ったから、きんときに癒やしてほしいなぁ〜??」
わざとらしくとそういうと、きんときの耳がピクリと反応する。
よし。あともう一押しだ。
「ね、きんとき!ちょっとだけ!ちょっとだけ触らして?」
上目遣いでのおねだり。
きんときがこの顔に弱いのは僕が1番知ってる。
「う………ちょっとだけだからな。」
だいぶ長い間まって、ようやくきんときが首を縦に振った。
「やった!」
許可が下りたので、「おいで」と両手を広げると、きんときは遠慮しがちに近づいてきた。
ギュッ
近くにきたきんときを腕の中で抱きしめる。
きんときの規則正しい心音と、温かい体温が伝わってきて落ち着く。
サラサラでストレートなきんときの髪の毛を手櫛でとく。特別な手入れをしているわけでもないのに、なぜかきんときの髪は触り心地がいい。
響くのは時計の秒針の音のみの部屋の中。
髪を撫でられるのが気持ちいのか、きんときからゆったりとした呼吸音が聞こえてくる。
やがて、きんときの体の力も抜け、僕に体を預けてくる。その姿はまるで、機嫌がいいときのむーちゃんみたいだ。きんときに委ねられているのが嬉しくて、優しく頭を撫で続ける。
撫で続けていると、ふと、ぴょこぴょこと動く尻尾が目に入った。
(…ちょっとだけ。)
『触ったら絶対きんときに怒られる』。
そう分かってても、好奇心を抑えることが出来なかった。
ぴょこぴょこと動く尻尾に手を伸ばす。
「ッあっ♡」
「…え?」
尻尾に触った途端、耳元で甘い声がした。
目線を向けると、きんときがギョッとしたような顔をしながら手で口元を抑えている。
「きんとき…?」
「ちがッ!し、しっぽ、触られたら、、急に、、」
「しっぽ…」
僕が問いかけると、きんときは顔を真っ赤にしながらそう言った。
(…!もしかして…)
スリッ
「んあっ♡あッ♡ちょ、ぶるーく、♡!」
「だめッ♡へんな、こえ、、でちゃッ、♡」
「あッ♡ひッ、、♡や、ぁッ♡」
頭、首周り、尻尾の付け根。
ゆっくり優しく撫でると、きんときは僕の服を掴みながらビクビク震える。
「あれー?どうしたの、きんさ〜ん?」
「やッ♡な、んか、からだ、びりびりする、ッ♡」
「え〜?僕、撫でてるだけなのに〜?」
「、ッ♡お、おまえ、♡わかって、やってんだろッ」
「まさか〜」
やっぱり、思った通りだ。
さっきから触るといい反応をする頭、首周りや腰は、猫の喜ぶ場所。所謂、性感帯だ。
原理は分からないが、どうやらきんときは性感帯まで猫になってしまったみたいだ。
「も、もういいだろっ!」
限界がきたのか、きんときがそう声を上げる。僕の胸板を押して、飛び退くように離れてしまった。
「え〜?もう終わり?」
「ちょっとだけって言ったろ、、!」
「もう寝るッ!」と言って、僕に背を向けて寝室に行こうとするきんときを阻止しようと、腕を掴む。
「僕、きんときとイチャイチャしたいから早く帰ってきたんだよ?」
「い、イチャイチャって…」
渋るきんときの腰に手を回して、抱き寄せる。
「せっかくきんさんが猫になってんだから堪能させてよ。」
「で、でも、、」
「ほんとはきんときだって、触ってほしいんでしょ?」
「…ッそんなこと…んぁッ♡」
頭を優しく撫でると、瞳がとろん、と飴玉のように溶ける。
本当は気持ちいいのが大好きなくせに、きんときは自分の気持ちに素直じゃない。
まぁ、そんなところが可愛いんですけどね!
「きんとき、ベッド行こ。」
僕が耳元で囁くと、きんときはコクリと頷いた。
「あッ…♡あぁッん♡うぁ…♡」
真っ暗の部屋の中に、きんときの甘い声が響く。
「ッな、もう、いいだろ、、ッ」
最近新調したばかりの寝具の上で、きんときが焦ったそうに身を捩った。
「え〜?ダメだよ?ちゃんと慣らさなきゃ。」
そう言ってきんときのナカに3本目の指をいれると、きんときの甘い声は更に大きくなっていく。
「ッお、おまえ、いつもはッ♡そんなんじゃ…ッんぁ♡」
「ん〜?僕はいつも通りだよ〜」
「…ッくそっ、♡」
快楽に溺れかけているのに、素直じゃないきんときの口は相変わらず悪態をつく。
「ぶ、ぶるーく、、♡」
「…ねぇ、見てきんとき。」
「え…ッ?」
「きんときの腰、すっごい揺れてるよ。」
「ッ…」
「僕のこと誘ってるみたいだね?♡」
「ッは、いやッちが…ッ!」
「違くないでしょ?」
ヘコヘコと無様に揺れる腰のことを指摘したら、きんときは顔を耳まで真っ赤にする。
恥ずかしいそうにしているのに、嬉しそうにぴょこぴょこと動く尻尾があまりにアンバランスで、とにかく可愛かった。
尻尾があると、いつもよりきんときの感情が分かりやすい。
「ほら、尻尾も揺れてるし。」
「ちがッ、ちがう…ッ!」
「きんときはホントは僕にいじめられるのが嬉しい、変態さんなんだね?♡」
「そんなことッ」
僕がそういうと、きんときはびっくりした様に目を見開いて弱々しく否定する。その反応を見れば、僕の言うことが図星だってことは丸わかりだ。
首を横に振ることすらままならないきんときは、あまりに滑稽で、可笑しくて、、愛おしかった。
……あ、そうだ。いいこと思いついた。
「ねぇ、きんとき。」
こう言う時の自分のひらめきのセンスには我ながら脱帽する。
「おねだり、してみてよ。」
「は…?」
可愛い恋人は僕の提案を聞いて、意味が分からないというように目を見開いた。
「おねだりって、、」
「ずっと生ぬるい刺激だけじゃイけないでしょ?だからきんときが上手におねだりしてくれたら、僕の挿れてあげる。」
僕の言葉を聞いて、さらに顔を赤く染めるきんときが可愛い。
恥ずかしいよね、おねだりなんて今までやらせたこともないし。ましてや、自分の欲求を口に出すことの少ないきんときなら尚更。
「ッむりッ!そんなの、できな、、」
「できるでしょ?」
でも恥ずかしがるきんときが見たいから、今日は甘やかさない。
きんときのナカから指を抜いて、僕の下で組み敷かれているきんときを見下ろす。
「どうする?きんとき。」
中途半端なとこで止められて焦ったいよね?
早く僕の突っ込んでほしいって顔にかいてあるもん。
「あッ、、や、、」
渋るきんときの頭を撫でると、きんときは困ったように眉毛をハの字にして僕を見る。
「ね、きんとき。お預けは嫌でしょ?」
「…ッ♡」
「おねだり、できる?」
きんときが弱い耳元で、声を押し込むように囁く。
そのとき、きんときの瞳の奥にハートが浮かんだ気がした。
僕が耳元から顔を離すと、きんときはゆっくりとさっきまで閉じかけていた足を開いた。
そしてぐちょぐちょになったアナルに手を伸ばし、ピースの指で僕にナカを見せつける。
「お、おれの、ここ、、さ、びしい、から、、ぶるーくので、いっぱいに、して、、?♡」
小さい声で、遠慮がちに言ったその言葉。
瞳にハートを浮かべ、僕に媚びるきんときはメス猫そのもので、とても妖艶だった。
「はッ、上出来♡」
焦らした分、たっぷり注いであげる。
ばちゅんッ″♡♡
「ッ♡♡あぁ゛ー♡♡♡あへ″ッ♡おッ゛んおッ″♡♡♡♡」
「はーッやっば♡」
たくさん焦らしたからか、きんときのナカはとろけるようにあったかい。
はじめての感覚すぎて、僕もあんまり持ちそうにない。
「お゛ほッ♡♡んあ、あ、ッ♡♡おッ゛♡♡♡」
「ね、きんとき、」
「『にゃー』って鳴いてよ、『にゃー』って。」
「あっ♡ぅあッ??♡♡♡」
「できるよね??♡だってきんときはメス猫だもん♡♡ほら、『にゃー』って鳴いて??」
「ッ?♡♡にゃ、にゃぁッ♡♡♡にゃッん♡♡」
「はッ♡かわい♡」
僕の下でにゃーにゃー鳴くきんときは本当にメス猫みたいだ。
えっちで、可愛い、僕だけのメス猫♡
「ねぇきんとき、僕たち交尾してるみたいじゃない?♡」
「ッ♡あッ♡♡こーびッ、?♡♡♡」
「そ、交尾♡僕と交尾できて嬉しい??」
「うんッ♡うれしッ♡♡ぶるーくとの、こーびッうれしい♡♡♡」
「そっか♡」
ごりっ♡ごりゅッ♡♡
腰を両手で掴んで、奥に思いっきり打ち付ける。
僕の動きに合わせて、締め付けるきんときのナカが気持ちよくて限界が近づいてきた。
「はッ、でる♡」
「おッ゛♡♡にゃッあッ♡♡あひッ♡♡あぁ゛ん♡♡♡」
「だすから、きんとき、ちゃんと受け止めてね?♡」
「うんッ♡♡ぶるーくの、、ほし、、♡♡」
「ッ♡おねだり、上手になったね♡」
えらいえらい、と頭を撫でると更にギュウッとナカを締め付けてきて、きんときのナカに欲を吐き出す。
引き抜くと、きんときの体は脱力してベッドに沈んだ。
「ッ♡はッー♡♡はッ♡」
息を整えているきんときを宥めるように、背中を撫でる。
しばらくすると、きんときから寝息が聞こえてきた。
どうやら寝てしまったようだ。
寝てしまったきんときを抱き上げ、風呂場に向かう。
「…あ、猫って水嫌いなんだっけ?お風呂大丈夫かな?」
一瞬そう思うも放置はできないので、後片付けを続ける。
まぁ、仮に水嫌いだったとしても、その時はその時だ。
とりあえず片付けが最優先。
行為の後片付けも含めて、行為というものは成立するのだから。
(それはそうと、猫になったきんとき可愛かったなぁ。)
お風呂場できんときの体を清めながら、さっきのきんときの姿を思い出す。
猫になれる薬なんて、どこのだれがそんな素晴らしいものを作ったのだろう。
会えるものなら是非、会ってみたいものだ。
あとがき。(長め)
これは猫の日に考えついたもので、本当は猫の日にあげたかったのですが、受験生でしたので書くことができず…ようやく今日、上げることができました。嬉しいです。
それはそうと、私事なのですが、この度第一志望に合格することができました。良い結果になったのは、間違いなく皆様の応援のお陰です。皆さま本当に大好きです。皆様への愛を伝える文章だけで原稿用紙5枚分は余裕で書けそうです。応援、本当にありがとうございました。
コメント
2件
初コメ失礼します、土筆さんが書くkn受けが本当に大好きです!これからも土筆さんの作品を楽しみにしています🥰