※注意書き※
・お嬢様とメイドの百合です
・転生モノです。
・年の差(受け年上)百合です
・私の性癖バチバチ入ってます
・初心者なので多少のミスはどうかゆるして
第一話
ーこれは百合というには棘があるメイドとお嬢様の話ー
「お嬢様、起きてください」
「んー…もーちょっと!」
「もー…」
この起きるのを渋っている人はこの屋敷の主、花園梨々愛(はなぞのりりあ)お嬢様。14歳の可愛らしい人。最近お母様が亡くなられたばかりなのに、誰にでも分け隔てない優しさと高貴さを持ち合わす人。それにとっても美しい。ウェーブの金髪に緑色と水色のオッドアイ。そんななんでもできるお嬢様なんだけど、ちょっと…不思議な所がある。でもそんなところも含めてこの屋敷のみんなに愛されている。もちろん私も。あ、でも、お嬢様のお父様は違うかも…お母様が亡くなってから、自暴自棄になって賭け事にお金を費やすようになってしまった。
「お嬢様!もう3分経ちましたよ」
「んー…しょーがないなぁ…よいしょっ!ギッ」
ベッドが軋んだ音を立てる。
「で、一華(いちか)。今日は何があるんだっけ?」
そう。私の名前は月愛(つきあい)一華。私の家が没落してお嬢様に拾ってもらった時から、お嬢様の専用メイド兼秘書。
「今日は、鳥ノ和秀一 (とりのわしゅういち)様とのご対談があります。あとは〇〇と…〇〇と…です。」
「ええ…今日もあいつと話すの?一昨日も話したじゃない!」
「婚約者なのですから、あいつなどと言ってはなりませんよ。」
「だってえ…」
文句を言うのもしょうがない。お嬢様と秀人様は望まれた婚約ではない、家の事情で婚約したのだ。まあ秀人様はお嬢様のこと好きらしいけど…。
「今日もお父様は帰ってきてないかしら?」
「…はい。」
お嬢様のお父様は重度のギャンブル依存症で浮気症だ。お母様が亡くなられたのでさらに拍車がかかっている。そんなお父様は昼帰りも珍しくない…。なのでお嬢様は基本的に1人で本を読んでいるか私と話している。お嬢様とお話するのは光栄だし楽しいけれど、私は口下手だからお嬢様はきっと嫌だろう。
「はあ…じゃあまた1人での朝食ね。今日のメニューはなに?」
「今日は…確かスクランブルエッグとベーコン、パンとシーザーサラダです。」
「うーん…ねえ。一華一緒にご飯食べない?」
「えっ!?」
思わず声が出た。だってメイドと主は壊したくても壊せない壁がある。一緒に食事なんて…最高!お嬢様とお話したり何か一緒にするのは楽しいし、お嬢様の食べてる姿が見れるなんて…!私は前世で徳でも積んだのだろうか?でも…やっぱり主従関係は守らないと…。梨々愛様のお母様から託された想い。破るわけにはいかない…!
「ご冗談はそこまでで、朝食を食べに行きましょう。」
「結構”リアルガチ”で言ったのにぃ…」
「りあるがち…?」
りあるがち…?リアルならば現実とか、再現が高いなどの意味で使うけど…がち?というものはなんだ?流石聡明なお嬢様。6歳も上の私の知識などとうに上回っている。
「お嬢様。リアルはわかりますが、がちとはなんですか?」
「あっ…やば…”こっちの世界”にはないんだ…」
「ん゙っん(咳払い)!なんでもないわ。行きましょうか。」
…危ない危ない。こっちの世界にはガチって言葉ないのか…。私の名前は梨々愛。花園梨々愛。なんだけど…私には前世の記憶がある。確実に。私は前世で消防隊をやっていた。ある時アパートの火事で、取り残さた子供がいるらしく、無事発見した。そこまではよかったのだが、突如崩れてきた木片から咄嗟に同僚と取り残された子供を庇い、木片に潰され死んだ。そこで、私は梨々愛としてベッドから起き上がったのだ。最初は夢だと思いたかった。でも、あの感触は夢じゃない。リアルすぎる。それに、夢じゃないと思ったのにはもう一つ理由があった。それは、その夢の中には今の私の姿が映ったゲーム画面もあった。前世の記憶から推測するに、私は「乙女ゲーム」というものにハマっていた。私が特にハマっていた乙女ゲームは「きらきら☆没落お嬢様からの成り上がり!?」略して「きら成り」。めっちゃダサいタイトルだけど内容は面白かったらしく、悪役キャラの梨々愛の元でメイドとして働くことになった一華。そんな一華と梨々愛の婚約者の秀一と恋していく。他にも色々な男が出てきて、各種のHAPPY ENDへと向かっていく。ちなみに梨々愛は全部のルートで死ぬ。というゲーム。そう。私は悪役の花園梨々愛に転生していた!そこでもびっくりなんだけど…一番びっくりなのは転生してすぐがヒロイン・一華との出会いだったこと。いやいやなにこれ!?いきなり!?…いやでも…ここで私がヒロインのこと拾わなかったら私が死ぬことはないのでは?いや、さすがにボロボロになって泣きそうになってる子を目の前で見捨てる気はない。まあ、拾ってもこれからどうにかするか…。
そして現在。立派に有能なメイド兼秘書になっちゃった…そしてめっちゃかわいく育っちゃった…艷やかな藍色の髪に、月のように輝く黄色の瞳。前世の私がこのゲームが好きな理由が分かった。ヒロインがタイプだったんだ…まあ好きになるよね…こんな可愛くて優しい子。てか、気遣いもできるしそこらの男、少なくともきら成りの攻略対象よりはかっこかわいい!そんなところに惹かれて…いつのまにか恋愛対象として見るようになった。一華も私のことを慕ってくれてるみたいでうれしい。でも、たまに距離が近くなるのやめてほしい。めちゃくちゃドキドキする…でも私は主…この子の主…頼れて優しくてかわいくて…大好き。でも、私はこの子の主であり実質花園家当主。(あのクソ父は滅多に帰ってこないし公務も全て私がしてるから。)今は我慢のとき…
「?お嬢様、聞いてますか?」
ちょちょ…顔近づけないで〜〜!?
第1話 終わり