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「お嬢様ぁ〜!婚約者様のところ行きますよぉ〜!」
「やだ〜!顔も知らないのに結婚なんていや!」
「顔なら写真が届いたじゃないですか!」
「そういうことじゃないもん!」
「今逃げてももう一回会うことになりそうですけどぉ…まあ、会いたくないなら言っておきますよ。でもそのかわり今日の夕食のキャロットグラッセはちゃんと食べてくださいね!」
「うー…一華のいじわる!」
パチッ)目が覚めた。懐かしい夢だった。お嬢様が秀人様とはじめて会う時の今ではかわいい思い出。お嬢様はお転婆なところもあるけど、落ち着いてるところもあってとっても可愛い。それに、眉目秀麗、金髪碧眼の秀人様の隣に並ぶとものすごくお似合いだ。メイドとしては主人に幸せになってもらいたいし、危険な目には合わせたくないから、反対される結婚はしないでほしい。だから、決められた結婚でもなるべく幸せになるように手助けしたい。でも、なんかモヤッとするんだよね、お嬢様と秀人様が話してるのを見ると、全てを壊したくなって、私しか知らない所が無くなって、私には何も残らなくなってしまうのが、きっと怖いんだ。ずっとお嬢様を慕ってきて、ずっと一番そばにいて、それでもわかんないことが、秀人様によって暴かれていくのが…。さみしくて…。幸せになって欲しいと願っているのに、ふとした瞬間、お嬢様を閉じ込めて、誰にも会わせないようにしたい。ずっと私のそばにいてくれるように。この思いは、何なのかわからない。わからないけど、このままほったらかすのはダメな気がする。それはわかる。でも、この思いに名前を付けてしまったら、きっと私は後に戻れない。だから、この思いは、お嬢様が暴くまで、撮っておこうと思う。そんなことを思いながら、今日もお嬢様を起こしに行く。
「お嬢様〜!」
第2話 おわり