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おばけの存在…信じる?
私は信じてない
だって目で見えないもん
見えないけど聞こえるとかあるけど私はそんなことないし体験したこともない
だけど最近少し変な臭いがするの
何かが焦げたような…
でも転勤で引っ越してきたばっかりだしすごくいい立地だから引っ越すのももったいない
本社に移動という嬉しい転勤だからいいんだけど…
やっぱり臭いが気になる
転勤でとあるアパートに引っ越してきてから数か月
部屋で臭いは無い
だけど玄関の扉を開けて隣の部屋から焦げ臭いにおいがする
隣には人が住んでいる
私と同い年ぐらいの男性
毎朝仕事へ向かおうと扉を開けると高確率で会うことがある
会うたびにさわやかな挨拶をしてくれる
「おはようございます!」
私はこれが毎日、少しずつだけど楽しみになっていた
あれから数か月
日を追うごとに臭いが強くなる
そして隣に住んでいる男性の元気がなくなっていく
「…大丈夫ですか?」
最初見た時と明らかに様子が違った
見るからにやつれていて目の下はものすごいクマだった
いつも挨拶だけだが思い切って声をかけてみた
「大丈夫ですよ…ここ最近暑くて寝れていなくて」
「あの…よければこれ使ってください」
私が渡したのはアイマスクだった
「では私はこれで」
そう言って私は仕事へ向かった
仕事が終わり家に帰ると朝渡したはずのアイマスクが落ちていた
なぜ落ちているのか、家に入るタイミングでうっかり手から落ちてしまったのかとポジティブに考えインターホンを鳴らそうとしたときこのアパートの大家さんに声をかけられた
「ちょっと、どうしたの」
いきなり話しかけられ驚いた
「あ、すいません、この部屋の方が落とし物をしたそうで」
そう大家さんに話しかけた
「…ちょっとこっちへ来なさい」
ここの大家さんは明るい人だがこの時だけ低い声で断ることができないような圧力があった
ついて行くと大家さんの部屋に上がることになった
大家さんはとある写真を見せてくれた
「その部屋に住んでるっていうのはこの写真に写ってる男かい?」
その写真は若い頃の大家さんと隣に住んでいる男性の写真だった
まるで家族写真のように幸せそうなっ写真だった
「そうです!この人です!」
その言葉を聞いて大家さんの表情は固まっていた
「…この子はね、私の息子だよ」
その後大家さんは淡々と話し始めた
「この子は私だけで頑張って育てた息子でね
体が弱くていつもそばにいたんだ
もうすぐ成人するという時に近所から猫を連れてきてね
このアパートはペット可だから自分で世話をするならという条件で飼うことになったんだ
ずっとそばにいたんだ家にいるときは必ずと言っていいほど隣にいた
ある日夜遅く、やんちゃな学生がタバコの火を消さずに捨てたらしくてね
火でタバコが転がってきてこのアパートに着いちまったのさ
今ではこのアパートは新しいが当時はすべてが木造でね
すぐに火が広がったよ
最初はみんな避難できたさ、だけど息子が『猫がいない』と火の中に入って行っちまったんだ
連れ戻そうとした時、猫が火の中からするりと出て私たちの方に来たんだ
息子もそれを見てこっちに来ようとしたんだ
その瞬間、唯一支えてたであろう柱が崩れて私の目の前で重い火の塊に潰されたんだ
必死にこっちに手を伸ばして助けを求めてきたのを今でもはっきり覚えてる
助けに行こうとしたらアパートに住んでた人たちに引き留められたんだ
必死に助けをも問えて腕を伸ばしてる息子を私は見殺しにしちまったんだ」
大粒の涙を流しながら話してくれる
「あの部屋は誰も住んでない、住んだとしてもすぐに出て行っちまう
男が出るってね
あの部屋の場所はちょうど息子が潰れてしまった場所だったと思うの
だから今でもあの場所で誰かが助けてくれるのを待ってるのかなって思ってるの…」
私はこの話を聞いた後すぐに引っ越した
おばけはいないと思っているがあんなにはっきりと会話もできた
そして私が住んでいた隣の部屋で亡くなった
その事実がこれ以上ここに住んではいけないと本能で感じた
新しい家はマンションでものすごく綺麗だった
事故物件サイトで調べても出てこないので大丈夫と安心し今も住んでいる
そして前住んでた時よりも引っ越してからの方が仕事が順調に進んでいた、そして楽しかった
家にいる時間より会社にいた方が楽しいと思えるぐらい
そうして今日、久しぶりに長時間家でゆっくりする時間があった
お風呂もご飯もすぐに終わらせ、紅茶を入れ読書をしていた
ふと焦げ臭いにおいがした
「どこかの部屋で料理が失敗したのかな」
そして私は本を閉じ紅茶も飲み切りベッドへ向かった
久しぶりのゆっくりした時間で私はすぐに眠りについた
『お姉さん…僕を助けてくれたよね…ずっと一緒だよ…』