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春  の  花  を  摘  ん  で _

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春 の 花 を 摘 ん で _

4 - 第4話 #4

♥

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2025年08月03日

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食卓に並べられた朝食。ほかほかと湯気がたっている。


久しぶりに食べた治の手料理は、どこか懐かしくて、ずっと求めていた味だった。


豆腐とワカメのシンプルな味噌汁をずずっとすする。


体の芯が暖まる感じがした。



(この飯が毎日食えるなんて、治に選ばれたやつは幸せやな)



「…?」



珍しく何も話さない俺を不思議に思ったのだろう。治がチラチラ視線を送ってくる。



「どしたん侑。具合悪い?」


「いや、なんもない」



どうしたと聞かれて本当の事を言えるわけが無い。女の物を見つけて嫉妬して、そんなやつよりも俺を選んで欲しいなんて。



「ごちそうさま」



手を合わせて挨拶をする。もちろん完食した。



時計を見ると、まだ午前6時をすぎたくらいだった。



「今日予定ある?」



立ち上がった俺を引き止めるように、治が話しかけてきた。



「8時から部活。昼は適当に買って食うわ」



稲荷崎は春高常連校の強豪だ。休日も練習は必ずある。



「そおか」


「ちょっとしたらランニング行ってくる」


「きいつけてな」


「おん」




10分ほどリビングで胃を休めた後、運動用のジャージに着替えた。


外はまだ日が登りきっておらず、涼しくて走りやすかった。


でも、頭の中は治だらけで、どうしても集中出来なかった。


いつものランニングコースから外れたり、なんどかつまずきそうになったのはそのせいだ。



家に帰ってこれたのは7時過ぎくらいで、丁度いい時間だった。


服を着替えて、荷物を持つ。


治は厨房で食材の下準備をしていた。



「治」



何も言わずに出ていくのはいくら身内でも良くないと思った。せめてお礼だけでも言おう。



「飯とか..その、泊めてくれたりとか..色々ありがと」



言い慣れていないのと、恥ずかしさでカタコトになってしまった。



「ええよ、そんなお礼なんか。部活頑張ってな」



笑顔で手を振り見送ってくれる治。そのおかげで気持ちを切り替えて学校に向かうことができた。







─────

───









侑が学校へ向かったあと、まだ開店まで時間があったので、寝室の様子を見に行った。


昔はよく寝具が荒らされていたり、物色されたりしていたが、流石にもうそんなことはしないと思う。でも一応。


がちゃ。


部屋を見回す。

ベッドは掛け物が綺麗に3つ折りになっていた。


床に目を移すと、本が置かれていることに気がついた。侑が置いたのだろう。


本を手に取る。これは元カノの忘れものだ。今も持っているのは何となく。元カノと言っても、別に好きだった訳では無い。俺からしたらただのセフレだ。



侑は気づいてくれたのだろうか。


この本はわざとすぐ目がいく所に置いていた。見つけて欲しかったのは挟めているしおりだから、目立ちやすい色の本にした。このしおりはチューリップの押し花で作ったものだ。数年前貰ったあの赤いチューリップ。


でも、侑が朝食を食べに来た時はなんだか表情が曇っていた。



(そおか…)



きっと侑は勘違いしているんだ。女のものが家あって、きっと俺に彼女がいると。


侑がいつもに増して機嫌が悪かったことにも納得がいく。


でも、安心せえ。俺はずっと前から気持ちは変わっとらん。


なんせ、俺は一途やし、大事なもんはずっと手放さんから。


侑は知るはずもないが、俺はずっと前からお前のこと大事にしとるし、兄弟以上だと思っとる。


だから、早く気づいてや_























あとがき─



赤いチューリップの押し花の意味は「永遠の愛」、「真実の愛」などです。







前回の投稿から時間が結構空いてしまいました、ごめんなさい🙏


部活とか勉強とかがあってだせてませんでした😭


あとどうでもいい話なんですけど、8月1日は私の誕生日でした!今年で14歳です


私チョコが好きなので、チョコケーキ食べれて最高でした😋


ではまた次の投稿で👋










NEXT♡500
















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