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人は裏切る。嘘をつく。
酷い嘘もあれば、優しい嘘もある。
彼は、彼は、何をしたかったのか。彼の嘘を知る者は私しかいない。
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私の名前は 倉橋 心音です。
これは私が大好きな彼のお話です。
少しの間ですが、嘘つきな彼のお話をお聞きください。
彼の名前は、小鳥遊 真子。
「結婚したら私も小鳥遊になるんだね。」
なんて言っていました。
彼には何回も面白い嘘をつかれました。
例えば、
「舌をだして呼吸することはできないんだよ。」
と言われてやってみたら
「んふっ、犬みたい。」
なんて言われたり、とにかく
いたずらっ子…?でした。
彼の嘘をつく時の癖は目をそらすというところ。何度目を合わせようとしても合いません。
彼とは学生の頃から付き合っていました。
彼は、顔が綺麗で、頭も良くて、運動もできました。
なので、とにかくモテていました。
彼は変わっていて、端っこで本を読んでいる私によく話しかけに来ました。
「その本○○だよね。」や「その後○○になるんだよ。」
と本を知っているようでした。
ネタバレされた時は少し許せませんでした。
私は、だんだん彼に引かれていきました。
ある日彼に
「心音、付き合ってくれない?」
春の日、桜の木の下で暖かい日差しの祝福を受けながら。
私は迷わず
「喜んで。」
恋とは素晴らしいものです。
彼を知るほど、もっと
好きになって会えないと苦しくて……
時が経つにつれて、彼と恋ではなく、”愛”を育みたいと思いました。簡単に言うと結婚することです。
しかし、彼は出かけることが増えました。
疑いたくはないけど……
人は疑ってしまうもの。彼に浮気をしているんじゃないかと尋ねてみました。
「してるよ、だから別れよ。心音はしつこいんだよ。新しい男つくって幸せになった方がいいよ。」
あぁ、彼は嘘をついている。彼は嘘をつく時に目をそらす癖があります。目が合わない。
彼は言いました。
「俺が出てくから別れよ。もう連絡もしないから。 」
「うん、わかった。別れよ。」
私は別れることにしました。彼の嘘をついた理由を本当は少し知っている。
別れたくない。本当に嫌 だけれど、
別れたいなら、別れなくては。
後ほどに聞きました。
彼は癌で亡くなったと。私は彼が薬を飲んでいたことを知っていました。
この嘘は、嘘つきな彼が最後に残した私への優しさだったようです。
彼は安らかに眠れているでしょうか?
彼の未練に私はなっていないでしょうか?
まだ、疑問や悲しみなどの苦しさは残りますが、深く息を吸って昔の記憶にひたると少し紛れる気がします。
あの日の桜の木の下で、暖かい日差しの祝福をまた2人で浴びれることを願って。
これで嘘つきな彼のお話を終わりにさせていただきます。






