#ファンタジー #奴隷
苦手な方はご注意を
──
「なぁ、お前も奴隷買ったんだって?」
「あぁ」
「あんなに毛嫌いしてたやつがね」
「へぇ、今度連れて来いよ」
「断る」
「んだと!?」
「お前らに見せられるような奴じゃない」
「あぁ、ゴミみたいなやつってことか」
「そりゃそうだよなぁ」
「お前じゃ俺らみたいに上等な奴隷買える金がないもんな」
「「ギャハハハハ」」
「俺は帰る」
勝手に言っとけ
あいつは誰にも見せない
──
高い奴隷を持つのは一種のステータス
奴隷はまず病持ちかどうかで金額が変わる
病持ちであれば捨て値同然の値が、
病持ちでなければ見た目でまず金額が付けられ
能力に対する金額は最後になる
あいつらが所持する奴隷は見た目だけはいい能力なしだ
能力なしは主人がまわりに一通り自慢した後、飽きたら処分される
あいつらもそういう人種で何度違う奴隷を自慢されたことか
その行為が俺は嫌いだったんだ
金は貯めていたから奴隷はいつだって買えた
ただあいつらと同類になるのが嫌で
買うなら能力あり一択だった
──
あれに出会ったのは本当に偶然だった
奴隷商の前を通りかかった時たまたま
入荷したばかりの奴隷に値付けをする所だった
いい機会だと思い店主と話をして
値付けを見学させてもらうことにした
次々に値が付けられていく中で病持ちと判断されたやつが異様に騒いでいた
話を聞けばこの病は治せる、自分は能力があると
そこで俺は思った
こいつの言ってることが本当ならば
見た目も良いこいつにはかなりの高値が付く
思わぬ掘り出しものかもしれない
もしどちらも嘘だったとしても病持ちだ
懐は痛くない
「店主こいつを貰おうか」
「そりゃ病持ちですぜ いいんですかい?」
「あぁ見学代だ」
「そういうことなら遠慮なく」
帰宅してすぐ病の治し方と能力を問い詰めた
でたらめだったらすぐに処分するつもりで
「まぁまぁそんなに急がないでよ」
「幸運だねお兄さん」
「僕をこんなに安く買えるなんてさ」
その日のそこからの記憶がない
ただ気持ちよかったことだけが頭にこびりついている
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