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あき💫🌙

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一話完結型がよかったのに書きすぎたので2話連続投稿します。
長ったらしい文章ですみません。これで完結します。
こちらはにじさんじ所属伊波ライさん、緋八マナさんの二次創作小説になります。
センシティブではないですが、一応腐向け作品になります。苦手な方ご注意ください。
それから何年も経った。
俺は相変わらず、あの部屋に住んでいた。
四畳半の小さな部屋。
昔と変わらない机。
少し古くなった本棚。
そして、天井に吊るされたプラネタリウム。
機械はもう限界だった。
電源を入れるたび、小さく音を立てる。
昔みたいに綺麗に星が出ない日もある。
映らなくなった場所も増えた。
それでも、俺は時々スイッチを入れた。
星を見るためというより。
あの頃の自分に会うためだった。
マナがいなくなってから。
最初の頃は、星を見るたびに寂しくなった。
隣にいたはずの人がいない。
同じ景色を見ていたはずなのに、今はひとり。
「綺麗やな」
あの声が聞こえる気がして。
無意識に隣を見る。
もちろん、そこには誰もいない。
何度もそんな夜を過ごした。
でも、時間が経つにつれて。
少しずつ、違うことに気づいた。
俺が寂しかったのは。
マナが遠くにいるからじゃなかった。
あの時間が終わったと思っていたからだった。
ヒーローとして活動していく中で。
俺自身の世界も少しずつ変わっていった。
出会う人が増えた。
守りたいものが増えた。
知らなかった景色を見ることも増えた。
昔の俺ならきっと、変わってしまうことを怖がっていた。
大切なものは、同じ場所に置いておきたかった。
でも。
マナが教えてくれた。
星は動かないから綺麗なんじゃない。
遠く離れていても。
同じ空の下にあるから、見つけられるんだって。
久しぶりに連絡が来た夜。
スマホの画面に表示された名前を見て。
一瞬、時間が止まった気がした。
「久しぶり」
短いメッセージ。
それだけだった。
なのに。
昔と同じように胸が温かくなった。
少しだけやり取りをする。
最近どうしているとか。
忙しいとか。
くだらない話とか。
昔みたいな会話。
でも、昔とは違う。
そこには、今を生きているマナがいた。
俺の記憶の中のままじゃない。
新しい場所で。
新しい人たちと出会って。
新しい時間を過ごしている人。
それが嬉しかった。
ある日。
久しぶりにマナが俺の部屋に来た。
昔と同じように靴を脱いで。
昔と同じように散らかった部屋を見て笑う。
「変わってへんな」
「そっちも」
そう返すと。
「ほんま?」
少しだけ首を傾げる。
「変わったやろ」
確かに。
変わっていた。
声の雰囲気も。
表情も。
昔より少し大人になった気がした。
でも。
笑う瞬間だけは。
あの頃と何も変わらなかった。
夜。
久しぶりにプラネタリウムをつけた。
古い機械は、少し時間がかかった。
やがて。
小さな星が天井に浮かぶ。
マナは黙って見上げていた。
「まだ持ってたんや」
「捨てる理由なかったから」
「そっか」
それだけ言って。
また星を見る。
昔と同じ場所。
昔と同じ光。
でも。
もう昔に戻りたいとは思わなかった。
今ここにいるマナを見ていたかった。
「ねえ」
「覚えてる?」
「何を?」
「本物の星は遠いから綺麗って言ったこと」
少し考えて。
マナは笑った。
「そんなこと言ったっけ」
「言った」
「忘れてたわ」
「ひどいな」
笑い声が部屋に響く。
でも。
その笑顔を見て。
なぜか安心した。
忘れるくらいでいいんだと思った。
全部を抱えていなくても。
大切だった時間は消えない。
昔の俺は。
この星空の中にマナを閉じ込めていた。
変わらない姿。
変わらない声。
俺だけが知っている時間。
でも。
それは本当の意味で大切にしていることじゃなかった。
大切にするというのは。
その人が変わっていくことを受け入れることだった。
知らない場所へ行って。
知らない景色を見て。
知らない誰かと笑って。
それでも。
出会えたことを嬉しいと思えることだった。
帰る時間。
玄関で靴を履きながら。
マナが振り返った。
「また星、見せてな」
昔と同じ言葉。
でも、今度は意味が違った。
「うん」
俺は笑った。
「いつでも」
ドアが閉まる。
静かになった部屋。
俺はひとりで天井を見る。
そこには、小さな星が浮かんでいる。
窓を開ける。
都会の夜空には、相変わらず星は少ない。
それでも。
昔よりずっと綺麗に見えた。
見えないものを信じる方法を。
俺はもう知っている。
四畳半の宇宙は。
もう、誰かを待つための場所じゃない。
過去に戻るための場所でもない。
大切だった時間を抱えたまま。
これからを見るための場所だ。
星は遠いから綺麗なんじゃない。
届かないから大切なんじゃない。
同じ夜を見たこと。
同じ時間を過ごしたこと。
その記憶が本当にあったこと。
それだけで十分だった。
四畳半の小さな部屋。
偽物の星空。
そして。
遠く離れた場所で、今も誰かを照らしている光。
それはもう。
俺を縛る過去じゃなかった。
前へ進むために残った。
俺だけの、小さな星だった。
コメント
1件
# リオンより うわあ、完結お疲れ様でした……。四畳半のプラネタリウムが「待つ場所」から「進むための場所」に変わるラスト、じんわり胸に沁みました。「星は遠いから綺麗なんじゃない。同じ夜を見たこと、それだけで十分」——この反転、好きです。変わっていく相手を受け入れることが本当の大切さなんだ、というテーマが、古びた機械の描写と丁寧に重なっていて。設定の細かい使い方、本当に上手いですね。