『あ…説明してくれてありがとうございました』
多分私だけじゃ思いつかなかったです、と紡ぐと
急に2人して動揺したから何かしたかと驚いた。
……ていうかカートはさっきも動揺してたはずだ。
女の子が苦手とかそういうのだろうか…?
『なんかすみません…別の車両行きますね』
マックス「急にどうしたの!?」
カート「は?なんで急に?」
慌てて引き留めようとするマックスと、
三白眼が一気にぱっと目が見開かれ、瞳が小さくなったカート。
先程まで見せていた動揺の顔をすっ飛ばした代わりに
慌てて引き止められるわ、驚きの顔をするわで
──は訳が分からずただ困惑するしかなかった。
『えっと…ここにいて大丈夫なんですか?』
マックス「全然良いよ。むしろ居てくれる?」
カート「ゲーム持ってたよな?一緒にやろ」
半ば強引にゲームを起動させられ、座らせられる。
なんかあまり理解出来ない人達かもしれない、と
思いつつもゲーム機に目をやった。
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『…あの、なんで感謝する度に動揺するんですか?』
──の質問に2人が気まずそうに口を閉じた。
先程ズカズカと聞かないと決めたばかりなのに、
やってしまったかと弁明しようと良い感じの言葉を
頭の中に並べたとき、マックスが口を開いて
マックス「…ごめん、今まで誰も”ありがとう”って
言ってくれなかったから」
そんな辛い言葉を吐いた。
『え……』
“誰も「ありがとう」と言ってくれなかったから”
思ってもみなかった言葉が出てきて唖然とする。
“今までの感謝した直後の彼らの言動から
そう推測できたのではないか?”
“辛い過去を私が掘り返してしまったのではないか?”
そんな考えが頭をよぎってしまう。
『聞いてごめんなさい。配慮足りてなかったですね…』
マックス「平気だよ。ごめんね」
カート「別にいいよ」
固まる2人の口から感謝してくれてありがとうと
小さく呟かれる。
しかしその言葉は──へ届く前に消えてしまった。
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