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初めまして!くりーむそーだです!!
キャラ崩壊や口調の違和感はあるかと思いますがご容赦いただけると嬉しいです!
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今日の収録はあまり上手くいかなかった。一日の仕事を終え,遅くに帰宅したカイは収録での出来事を思い出していた。
「あの時うまくまとまらなかったのは俺の落ち度だな…」
静かな部屋にカイのつぶやきだけが響く。
リョウガの顔が見たい。
そう思うもののリビングにリョウガの姿はない。時刻はすでに 24 時を回っていた。
「リョウガ~?もう寝ちゃった?」
音をたてないように寝室の扉を開けたカイは小さく声をかけた。
少し膨らみのあるベッドからは静かな寝息が聞こえてくる。
「やっぱり寝ちゃってるか。 」
そうつぶやくカイの顔はほころんでいる。
「寝顔は赤ちゃんみたいだな。 」
恋人が自分のベッドにいるという事実にゆるんだ頬を引き締められずにいたカイは, あまりにも気持ちよさそうに眠る様子に思わず苦笑する。
しばらく寝顔を見ているとある違和感を覚えた。
リョウガのパジャマがいつもの物とは違う。
こんな服着てたっけ。
リョウガの纏う服をまじまじと見つめたカイは気が付いてしまった。
「これ俺のパーカーだ……」
あまりの衝撃に固まってしまったカイに追い打ちをかけるように声が聞こえた。
「んぅ……カイ…」
自分の衣服を身にまとい,名前を呼ぶ恋人の破壊力の凄まじさははかり知れない。
カイはなすすべもなく頭を抱えた。
「はぁ……。なんでこんなに可愛いかなぁ…。
ほんと,俺をどうしたいんだよ」
あまりの可愛さに理性が飛びかけたカイの脳内には,上手くいかなかった仕事のことなどすでに微塵も残っていなかった。
「あー,やべ…。マジで可愛すぎるわ」
カイはこのまま寝込みを襲ってしまいたいという衝動に駆られたが,なけなしの理性で自身を押さえつけ何とか耐えた。
シャワーの流れる音が浴室に響く。
とめどなく降り注ぐ水滴に打たれながら考えた。なぜリョウガが自分の服を着ているのか。
間違えたのだろうか。
いや,間違えるはずがない。あのパーカーは今朝まで着ていたものだ。
いくら周りに興味のないリョウガでも,今朝まで恋人が着ていたものと自分のものを間違えるようなことはないだろう。
寂しかった?
リョウガが寂しいからという理由で自分の服を着るとも思えない。
しかし,もしそうなら…
考えれば考えるほど愛おしさと欲に飲み込まれてしまいそうで,冷静ではいられなかった。
「今日はソファーで頭冷やすしかないかな。」
カイのつぶやきは苦笑とともにシャワーに流された。
「ん…さむ…。
……………今何時だ?てか,カイは…?」
時計の針は午前5時を少し過ぎたあたりを指している。
おかしい。いつもなら背中にあるぬくもりを感じない。
カイに後ろから抱きしめられて眠ることが,リョウガの日常になっていた。
最初こそ恥ずかしさから抵抗していたものの,寒がりのリョウガにはカイの体温が心地よ く,いつしかそれを受け入れるようになった。
ここ最近はむしろ抱きしめられていないと安心して眠れないと感じることもあり,もうカイからは離れられないなと思う始末である。
ただ,自分がカイのぬくもりを求めているという事実が少し悔しくもあるため,カイには言 ってやらない。
そんな自分の求めるぬくもりがないことに寂しさを感じながらゆっくり起き上がったリョウガは,眠い目をこすりながら,リビングに向かうことにした。
リビングに入るとソファーには見慣れた姿があった。
「え,なんでこんなとこで寝てんの。」
春も近いとはいえ朝はまだ冷える。
リビングのソファーで眠るカイの姿に,体調が心配になったリョウガは顔を覗き込んだ。
「カイ?何してんの。こんなとこで寝てたら風邪ひくじゃん。」
軽く肩をゆすり話しかけると,カイはゆっくりと目を開きリョウガを見た。
「んー,………我慢。してんの。」
「は?どういう…」
気が付いた時にはやわらかく触り心地の良いソファーの弾力を背中に感じ,目の前にはカ イの顔があった。
きれいな顔だな。
いきなり視界いっぱいに広がった好きな男の顔にリョウガは思わずそう考えた。
そんなリョウガを,カイは少し熱を孕んだ目で見つめている。
「今,自分がどんな格好してるか分かってる?」
そう言いカイはリョウガの頬を撫でた。
何を言われているのか分からず,まだ覚醒しきっていない頭で必死に考える。
あ,パーカー着てるんだった。
今更気が付いてももう遅い。
「気付いた?なにそんな可愛いことしてんの。
……誘ってる?」
声色こそ優しいが目は笑っていない。
リョウガは慌てて言い訳をする。
「いやぁ, えっと, カイさん…?
その, 昨日寒くてたまたま目に入ったのがこれだったから 適当に…… いやほんとに深い意味はない!
おま,まじ落ち着けってッ」
逃げようと身をよじるが自分よりも体格の良いカイに手首を押さえられていては動く ことができない。
抵抗もむなしく,ゆっくりとカイの顔が近づいてくる。
咄嗟に目を瞑ったリョウガの額に柔らかな感触がした。
するとすぐに体全体に圧がかかる。
重い。
そっと目を開けるとカイがリョウガに抱きついていた。
「カイ…?」
力の抜けたカイはリョウガの肩口に額をぐりぐりとこすりつけている。
「はぁーー ,俺のベッドで俺のパーカー着て,俺の名前呼んでる恋人を目の前にして襲わな かった俺,めっちゃえらいと思わないー?
リョウガさんなんでそんなかわいいの。
もっと自分がかわいいって自覚もって行動しろよぉーー」
可愛すぎるとクレームを言いつつ甘えるカイを見て,強張っていたリョウガの体からも力 が抜ける。
「っっくりしたぁーーー。 なんなんだよマジでぇ。 お前のパーカー着てたぐらいでそんなに騒ぐことか?てか待て名前呼ぶってなんだよ。 」
先ほどまでの熱を孕んだ視線から解放され安心したリョウガはカイの背中に手をまわしつつ文句を言う。
「えー,かわいい恋人がサイズの合わない自分の服着てるとか男のロマンじゃん。
分かってないなぁ。そんなとこもかわいいけどね~ 。」
そう言いつつリョウガの頭を撫でる。
「ちょ,やめろぉー 。寝ちゃうだろ。
てか質問に答えろよ俺名前とか呼んだ覚えないんだけど。 」
「んーーー?俺が寝顔見てたら カイー♡ ってかわいく呼んでたよ。 」
「まじかよ最悪だわ。 」
ニヤニヤと見つめるカイにリョウガは悪態をつくが,恥ずかしさから耳まで赤くなっている。
「照れてるリョウガかわいいーー。 」
「ぐぇっ」
いきなり強く抱きしめられ,情けない声がでた。
「ね,せっかく彼パーカーしてるんだからちゃんと見せてくんない?」
期待の眼差しで見つめてくるカイに,これは何を言っても聞かないなと観念したリョウガ は, カイに言われるがままソファーの前でくるりと回って見せ,いろいろなポーズを取らさ れた。
「いくら何でも撮りすぎだろッ!やめなさいッッ!!」
「んふふ。やめない~ 。 」
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今後も稜海(2×3)固定で書いていくので、リクエストはシチュエーションやテーマのみお受けしたいと思っています(遅筆なのでどれくらいお受けできるかは分かりません)
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