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天文9年 1540年 越後国天文元年1532年から始まった越後の氷川家と越中の新納家で戦が起こる大きな合戦には至らないもいたずらに時が流れ天文7年 1538年氷川家当主が病でこの世を去ると新納家は攻勢を強め越後に進行そんな中、、当主不在の氷川家では寺で僧侶となって出家していた長男を後押しする金森秀久派と次男を押す岩戸政勝派で越後内は荒れていた又新納家に攻められている登呂高統率いる隊は援軍も見込めず城を捨て従う兵だけを連れ逃亡その事は金森秀久の元にも知らされ劣勢を悟り強引に家督相続を済ませ氷川信之であったが信之自身それに不満を露わにして金森秀久に岩戸政勝との和議を結ばぬ限り仏門から出ぬと言い放ち仏門に引きこもり金森秀久は焦り密かに患者を岩戸政勝の城に潜らせ氷川広郷と密かに交渉し金森秀久の越後内での領土を岩戸政勝に譲渡する条件で両家は和睦した、それを報告を受けた氷川信之は納得し仏門から出て弟氷川広郷と直で会うこととなった
氷川広郷「兄上先ずは家督相続誠に祝着至極に存じます」
氷川信之「うむ、血は流れずこうして御主ともまた会えて良かったぞ、そして集まったのはお前達だけか」
岩清水高家「はっ当主様」
郡 光弘「何なりとご明示ください」
岩清水も郡も新納胤久との此度の戦で当主である父を失い家督を継いだばかりではあり同じ境遇からも忠義があった歳も信之のひとつ下で近かった
氷川信之「早速だが軍議を始める新納の兵は約3000はおろう…すぐに集められる兵はどの程度おる光弘、高家?」
光弘は高家は表情を暗くし
郡 光弘「よ…400程かと…」
岩清水高家「某も400程度もう数日はあれは500程度にはなります!」
氷川信之「そうか、無理に募兵はせぬで良い可能な範囲で頼む」
岩清水高家「は、ははっ!」
氷川信之「広郷すぐに動ける手勢はどの程度おる?」
氷川広郷「馬廻衆だけではあるが弓に長けている者らが50人ほど」
氷川信之「某も急遽家督継いだから200もいない程度だ」
笑いながら言い放ち家臣らは唖然としていた
岩清水高家「岩戸政勝様と金森秀久様の隊は…二人はお見えになられませんが」
氷川信之「両お家には年内の謹慎を言い渡している兵は1人として来ぬよ」
頼みの越後内でも東の主力とも言える金森家と岩戸家であったが此度の責めを追い氷川信之の最初の命で二人に謹慎を言い渡していた、その事は他の家臣達もその事は存じてなく驚いた
岩清水高家「せめて金森秀久様の隊だけでも此度だけでも謹慎を解き後詰めとしていくらか兵を」
氷川信之「ならぬ、どちらかを許せば必ずどちらかが挙兵するであろう、今越後内で内乱だけはさせてはならない」
高家は慌てて金森秀久の嘆願を求めたが信之は断固として拒否した
岩清水高家「ははっ」
郡 光弘「では殿如何致します、我らだけでは心許なく」
氷川信之「いや、我らだけで新納胤久と合戦で勝つぞ」
信之の強気な発言に光弘は信之の弟の氷川広郷を観るなり
郡 光弘「広郷殿御主から殿に何とか言ってやって下され殿は戦は初めてなのだ」
氷川広郷「我らは殿の命に従うだけだ諦めて命を殿に預けようぞ」
光弘の訴えも虚しく既に氷川家両兄弟は勝つ気でおり光弘と高家は渋々従う形となった
それから数日後氷川信之率いる隊が新納胤久が向かって来るであろう糸魚川の地で布陣した氷川信之の隊100は新納胤久の隊3000と遭遇した
新納胤久「あれが例の新当主様か兵をわずか100程度の数、奴の首を討ち取った者には城ひとつやろう!全軍突撃!」
新納胤久の隊は縦に大きく延び我先にと氷川信之の居る所まで走り出した
氷川信之「おぉ、この距離からでもわかる迫力だな、よし弓を1度射かけたら全力で馬を走らせ南に逃げるぞ」
馬廻衆「おう」
氷川信之「よし!放て!」
足軽「うぐっ!」
侍大将「追え!追え!城持ちになるぞ!」
氷川信之50の馬廻衆から放ったれた矢は的確に足軽らを射抜くとすぐさま南に馬を走らせ逃げるも欲に駆られた足軽らの統率は取れずそのまま追いかけて行った異変に気づいた新納胤久は足軽らに止まる指示を出すも足軽らはどんどん南に下り長い列となり統率が取れなかった
侍大将「殿!大変です!」
新納胤久「なんだ今こちらも忙しく」
侍大将「兵糧を運ぶ小荷駄隊が敵の奇襲で小荷駄隊は全滅しました!」
新納胤久「なんだと!?」
新納胤久は焦り来た道を引き返そうとしたその時
岩清水高家「今だ攻めかかれ!」
郡 光弘「遅れを取るな!我らも攻めかかれ!」
高家と光弘が伏兵として兵800で潜んでいた隊が一斉に新納胤久の隊に奇襲した
侍大将「ダメです!二陣も突破されました!」
新納胤久「やもえない…来た道を引き返し越中に帰還するぞ法螺貝を吹け、撤退する」
突然の奇襲に為す術なく撤退の法螺貝を吹いた新納胤久の隊は蜘蛛の子を散らすよう越中に帰って行ったこの時、新納胤久の隊の被害は300を超える大敗を喫した
新当主として嫡男氷川信之を新たな当主になり初めての合戦で見事に新納家も撤退させ一時の安定し平穏な時を迎える
それから2年が過ぎた天文9年1540年越後国で不穏な動きが…
天文9年1540年 5月 越後国 春日山城
氷川広郷「兄上入りますぞ」
氷川信之「此処では兄上ではなく…いや広郷如何なされた?」
氷川広郷「また岩戸政勝が兵をあげ既に2000は超えておりまする」
氷川信之「ふむ、郡光弘を此処に」
氷川広郷「はっすぐにも」
郡光弘を呼んでまいり
郡光弘「殿、お呼びで」
氷川信之「其方ワシの名代としてこの書状を岩戸政勝に渡してくれ」
郡光弘「かしこまりました」
天文9年1540年6月郡光弘が岩戸政勝に書状を渡しに岩戸政綱の本陣に行く
侍大将「殿、郡光弘なる将がこの書状を殿に渡すようにと」
書状を政綱に渡し
岩戸政綱「ふん、どうせ氷川の若造当主であろうがまあ読んでやるか」
書状を広げ
氷川「越後守護代氷川信之じゃ政綱殿またも兵を集めていると複数の患者や領民らが申しておってなこうして書状を送らせて頂いた、ワシが氷川家の主である事に未だに不服なのはわかってはおるがされど先代当主の父は病で倒れ亡くなったのだ、そなたが父の良き仲だったのは従順承知しておるされでその嫡男であるワシを何故刃を向けるのかワシには分からぬワシに従えぬのであれば嫡男に家督を譲り隠居するなり、そなたの好きに致せされど同じ民同士争ってはいけない、よいなこれは…」
そのとき政綱は書状を読むのを辞め
岩戸政綱「氷川の若僧がこのワシに偉そうに!」
書状を観た政綱は怒り書状を郡光弘の近くに投げつけ
岩戸政綱「ワシは先々代氷川家の頃から仕えてはいたが今の若僧当主に指図される筋合いはない!」
侍大将「ではこれより」
岩戸政綱「ああ!金森秀久の領土を平らげてた後氷川信之の春日山城に向かう」
侍大将「かしこまりました」
郡光弘はこの事を伝える為急ぎ金森秀久が籠る○○城に馬を走らせた
金森秀久「断る」
一瞬時が止まるかのように固まるも光弘が口を開き
郡光弘「……一応お伺いしてもよろしいでしょうか」
金森秀久「謀反者がいきなり攻めて来たからいってあっさり城を開け渡すなど領民にどの面下げて詫びよと申すつもりだ、第一ワシは政綱とは仲が悪くてな、来るなら全力で御相手しようと伝えて下され」
両者とも戦を止める気がなく交渉は叶わず郡光弘は氷川信之の春日山城に戻り事の次第を報告する
氷川信之「なるほど…ならば奴らなりのやり方で戦で従わすしかないな、各将に5日の内にワシの春日山城に集まるよう使いを送れ、良いな5日の内だぞ」
郡光弘「急な故集まる数は僅かかと…」
助言をし信之の顔色を伺うも
氷川信之「間に合わない者はワシに従えぬ者とし謀反の疑いありと見なす、良いな光弘其方も遅れればワシは」
郡光弘「ははっ急いで向かいまする」
光弘は事の次第を知ると慌てて頭を下げ急ぎ各諸将に急ぎ事の次第を伝えるのである
こうして5日後主だった諸将が春日山城に集まり軍議を始めていた
氷川広郷「皆様此度は御集まり頂き某からも礼を申す、して皆様の数は如何程に?」
岩清水高家「私は近場故手勢は1000連れていたが」
登呂高統「倅と父上に西の備えを任せている故暗示なさらず、手勢は300と少ないが力にはなるだろう」
十河勝興「南の備えと砦建築の為に兵はワシの馬廻衆だけだが200はいる」
氷川広郷「となると私と兄上の隊合わせて2500は集まるであろうが」
その言葉に疑問を抱いた十河勝興が口を開き
十河勝興「ん?この城には3000は常に詰めておろう?守備に2000も残さぬでも」
氷川広郷「ああ、その事だが」
力無い言葉で恐る恐る口を開こうとしたその時1人の男が入って来て言葉を開く
氷川信之「その事はワシから話そうか」
十河勝興「と、殿」
一同頭を下げるが
氷川信之「よいよい、それよりも先程の話だが」
十河勝興「は、ははぁ」
家臣達が頭を上げると信之は話しはじめ
氷川信之「新納の水軍が佐渡の周りに現れてな追い払いはしたがまたいつ攻めて来るか分からぬから佐渡に此処の兵を割いているのだ」
十河勝興「そうでありましたか」
氷川信之「うむ、数は同数程度ではあるが岩戸も金森も同族お互い兵の士気は低く長期間している」
郡 光弘「となると殿のいる士気の高い我らが行けば敵は同数でも勝てると」
氷川信之「そうだ、だが作戦には続きがありな」
その後各将は氷川信之の指示の元動きだす
天文9年1540年9月
岩戸政綱「よし、あと一息だぁ!秀久の首はすぐそこだ」
既に3ヶ月続く城攻めで兵の既に疲弊し兵糧も僅かな状態であった、金森秀久は徹底防戦をしていたのが長期間し三ノ曲輪、ニノ曲輪と落とされるも本丸の居城で指揮していた、そして氷川信之の軍が金森秀久を救う為城東口に集まりつつあった
侍大将「政綱様、偵察隊より急ぎの報告が」
岩戸政綱「なんだ申せ」
侍大将「ははっ氷川信之の隊と思われし隊が此方に迫っております数はざっと2000は超えて居るとの事です」
岩戸政綱「此方と同数か負傷兵も動かせばいけるか…」
政綱の動かせる兵は1000程度で半分以上の負傷兵を抱えており、矢の数も心もとない状況であった
侍大将「負傷した者達を使うので?」
岩戸政綱「城の包囲だけさせとけ、城攻めはしなくていい、動ける兵は我と共に若僧の氷川信之を迎え撃つぞ」
侍大将「ははっ」
岩戸政綱は動ける兵を率いて氷川信之の来る方角に兵を向かわせる、一方の氷川信之は敵が釣れた事を確認すると布陣して迎え撃つ構えをしていた
氷川広郷「先ずは敵が釣れましたな、兄上」
氷川信之「うむ、敵の布陣する前に一気に攻める、かかれ!」
一斉に氷川信之の兵達は突撃する、遅れずと各隊も動き出し岩戸政綱の兵は動揺する
岩戸政綱「狼狽えるな!急ぎ持ち場につけ!」
それから半時と持たず岩戸政綱隊は半数がやられる事態までなっていた
侍大将「政綱様、二陣も突破されました急ぎ退却の指示を」
岩戸政綱「半時も経たずにか……全軍居城まで撤退せよ、城攻めを止め直ちに撤退せよ」
余りにも早く決着が着き唖然とする氷川陣営の諸将達
十河勝興「何?もう撤退を?」
侍大将「はっ、既に金森様の所には氷川広郷様が向かっております、若殿様は岩戸政綱の居城に向かっております」
十河勝興「あいわかったぞ、急ぎ我らも殿の元に向かうぞ!急げ!」
馬を走らせ氷川信之の後を追うように全速力で向かうそれに遅れまいと十河達も必死に追いかける
仮の陣では氷川信之と岩戸政綱が会話しており戦は終息した時に十河勝興が遅れて到着し
十河勝興「殿!ご無事で」
氷川信之「うむ、すまぬな勝興、もう済んだ故案ずるな」
氷川信之は此度の岩戸政綱に謹慎処分と亡くなった者達のする事だけを命じただけであった、また岩戸政綱に加担した諸将達にも同じ処遇を言い渡された、一方金森秀久も氷川信之の命を背いた事を咎められ同じ処遇をくらう
新当主となった氷川信之の最初の戦であったが戦での合戦の早期終息を知り隣国の大名達から警戒されるようになった。